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Dynabook子会社のAIoTクラウド、アルコールチェック義務化範囲の拡大に対応した新サービスを提供

酒気帯び検査の実施や管理の効率化を支援

 Dynabook株式会社の子会社である株式会社AIoTクラウドは7日、白ナンバー事業者でのアルコールチェック義務化に対応した「アルコールチェック管理サービス」を、3月下旬から提供開始すると発表した。

 市販のアルコール検知器で、運転者の酒気帯びの有無をチェックし、スマートフォンアプリで検査結果データをクラウドに送信・保管可能なサービスで、運転者が外出先で検査した結果を遠隔からリアルタイムに管理したり、車両情報との連携によって、車両の予約時間の前後に正しくアルコールチェックを実施し、検査漏れがないことを簡単に確認したりできるという。

アルコールチェック管理サービス

 2022年4月1日から施行される改正道路交通法では、11人以上の乗車定員となる自動車を1台以上保有する、あるいは自動車を5台以上保有している安全運転管理者選任事業者を対象に、運転前後に目視による運転者の酒気帯びの有無の確認や、その内容を記録し、記録した内容を1年間保存することを義務化する。さらに2022年10月1日からは、アルコール検知器を常時有効に保持し、これを使用したアルコールチェックを行うことも義務づけているという。

事業者の飲酒運転根絶の取り組み強化

 AIoTクラウド 取締役副社長の松本融氏は、「安全運転管理者を選任している事業者は全国に約34万カ所あり、管理下にあるドライバーは約770万人に達する。白ナンバーの営業車を保有する企業は多く、これらの企業のすべてでアルコールチェックを行うことになる。だが、これらの企業では、記録の管理や保管の手法のほか、運転者の直行直帰への対応、複数拠点の管理、導入費や維持費の抑制といった課題がある。新たに提供するアルコールチェック管理サービスにより、こうした課題にも対応でき、事業者のアルコールチェック管理業務の効率化を支援し、飲酒運転撲滅につなげたい」と述べた。

AIoTクラウド 取締役副社長の松本融氏

3つの特徴を持つアルコールチェック管理サービス

 アルコールチェック管理サービスは、3つの特徴を持つ。

 ひとつめは、さまざまなアルコール検知器を選択できるという点だ。

 Bluetooth機能でスマホと連携するアルコール検知器に加えて、Bluetooth機能を持たないスタンドアロンタイプのアルコール検知器にも対応。導入済みの検知器をそのまま活用できるほか、導入コストを抑えたり、ニーズにあわせたりした形でアルコール検知器を選択可能だ。

 Bluetooth機能を持たないアルコール検知器の場合には、スマホのカメラで検知した情報を撮影して送信すれば、OCRで自動読み込みを行える。また検査中の本人写真、位置情報、時刻も確認でき、なりすまし防止にも対応する。

 「改正道路交通法の施行を前に、市場では、すでにアルコール検知器が品薄の状態になっている。同一機種をそろえられなかったり、すでに導入している検知器とは異なる検知器を導入しなくてはならなかったりする場合にも一元管理ができる」という。

 対応機種は、Bluetooth対応モデルでは、中央自動車工業のSC-502、フィガロ技研のFALC-31。スタンドアロンモデルではタニタのEA-100、フィガロ技研のFALC-21。今後は、アルコール検知器協議会(J-BAC)の認定機器のなかから順次対応していくとした。

予算や目的にあわせた検知器を選択可能

 2つめは、酒気帯び検査の実施や管理を効率化する管理機能の採用だ。

 運転者によるアルコールチェックの検査結果はクラウドに蓄積・管理され、管理者はパソコンやタブレットのWebブラウザを利用して、どこからでも確認できる。また車両予約のデータを活用し、車両の運行時間を管理できるので、アルコールチェックが未実施のまま運行するといったことが起きないように検査漏れの確認も行える。また検知器からアルコールを検出した場合には、管理者に自動で通知し、監視の負担を軽減することが可能だ。

 「車両の予約時間を過ぎてもアルコールチェックが未実施の場合には、管理者から運転手に注意を促すことができる。また、複数拠点や出張、直行直帰もまとめて管理でき、エビデンスの出力も簡単に行える」とする。

酒気帯び検査の実施・管理の効率化を支援

 3つめが運転日誌と組み合わせたプランを用意している点だ。アルコールチェックと連動して、運転日誌の自動作成、回付、管理を可能な機能を用意。今回のアルコールチェックの義務化によって発生する管理者、運転者の業務増加に対応し、効率化、コスト削減を支援するという。

 「運転前後の運転日誌をスマホで入力することができ、クラウドで管理。アルコールチェック記録と運転日誌を一元管理できる。運転日誌のペーパーレス化が可能になり、管理者の負担を軽減できる」とした。

運転日誌と組み合わせたプランをラインアップ

 運転者1人あたりの利用料金(税込)は、アルコールチェック測定記録を行える「シンプル」が月額330円、検査漏れ簡単チェック機能を加えた「スタンダード」が月額550円、アルコールチェックと連動した運転日誌も提供する「プレミアム」が月額990円。そのほか、初期導入費用(税込)として、1事業所あたり1万6500円が必要だ。

 今回のアルコールチェック管理サービスにおいては、販売代理店を通じた事業拡大を目指す。「多くの事業者で短期間に導入することが求められており、急速な需要に対応するためには、直販に加えて、販売代理店を通じた展開を行う必要があると考えた。SaaS型としていることで、検知器とは独立したクラウドサービスの提案が可能であり、多くのパートナーに扱ってもらいやすいと考えている。2022年度には2000社への導入を目指す」とした。

シャープのIoT事業本部を母体して設立されたAIoTクラウド

 AIoTクラウドは、2019年8月に、シャープの子会社としてスタート。2021年1月からは、グループ再編に伴い、シャープ傘下のDynabookの100%子会社となっている。もともとはシャープのIoT事業本部を母体としており、シャープICTグループのなかに位置づけられている。シャープグループにおいては数少ないソフトウェア専業会社といえる。

シャープグループ内での位置づけ

 現在、シャープのAIoT家電およびサービスの開発、運用のほか、シャープの社内IT向けクラウドサービスの開発、運用、シャープのプライベートクラウドの運用を行っている。現在、AIoT対応家電は11カテゴリー669機種となり、累計400万台を出荷している。また、社内向けITでは、シャープグループ社員2万人が利用しているという。

 スマートワークの領域においては、独自のビジネスコミュニケーションサービス「LINC Biz」や、自動車業界向けのテレマティクスサービス「LINC Biz mobility」などを提供。「AIやIoT技術を活用し、機器やサービスから収集したデータを価値化。さまざまな事業者と連携し、真のスマートライフの支援、スマートワークの実現を目指している」としている。

 今回のアルコールチェック管理サービスは、テレマティクスサービスのLINC Biz mobilityで提供してきたIoTとクラウドを活用した車両管理ソリューションの開発ノウハウや導入実績をベースにしているという。

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