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NSSOLと日鉄テックスエンジ、デジタル製造業領域でのIT/OT統合ソリューションの共同開発を推進

 日鉄ソリューションズ株式会社(以下、NSSOL)と日鉄テックスエンジ株式会社は14日、それぞれの持つIT/OT領域でのソリューションと技術知見を融合させ、統合ソリューションの共同開発を推進すると発表した。

 両社は2023年12月20日に、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズへの対応力強化を目的とした、デジタル製造業領域での業務提携に関する基本合意書を締結していたが、今回の発表はそれを受けたもの。

 NSSOLの持つ基幹システム・生産管理システムの経験と、日鉄テックスエンジの持つ製造現場の知見・ノウハウ、制御システムの構築技術、また両社に共通する、日本製鉄の製造現場で蓄積された、実効性のあるさまざまなユースケースを掛け合わせ、顧客企業のDXニーズに応えるとしている。

 具体的には、3分野を重点領域として定め、具体的なソリューションの共同開発を進めていく。

 1つ目は、「設備状態監視システムと設備保全管理システムの連携による最適保全の促進支援」。製造業の設備保全の領域では、設備メーカーによる推奨メンテナンス時期や経年劣化予測をベースとした設備保全(Time Based Maintenance:TBM)ではなく、その設備の稼働状態を正確に把握した上で設備のオーバーメンテナンスを抑制し、操業停止リスクを未然に防止するための施策(Condition Based Maintenance:CBM)が求められているという。

 そこで、両社が持つ設備状態監視システム上のIoTデータと設備保全管理システム上の保全計画・実績データを連携させ、顧客企業のCBM化を実現するためのシステムを開発するとした。

両社の設備状態監視システムと設備保全管理システムの融合イメージ

 また2つ目は、「設備故障予知における両社保有の分析モデルを融合した設備予知保全システムの強化」である。両社はこれまで、製造現場の生産設備から運転データ・IoTデータを収集するとともに、クラウドへの一元的な蓄積により、独自開発した分析モデルを活用した設備予知保全システムを独自に開発し、顧客企業の主要設備への導入を行ってきた。

 両社では今後、個々のプロジェクトを通じて蓄積した分析モデルなどのアセットを融合し、トータルソリューションとしての強化を図る考え。両社のソリューションを融合することにより、大規模なIoTデータ蓄積への対応力や予知保全対象設備の拡大など、顧客ニーズに幅広く応えられるようになるとのことだ。

両社の設備予知保全システムの融合イメージ

 最後の3つ目は、「生産計画・生産実行の最適化領域における両社アセットのプール化を通じた案件対応力の強化」。

 これまで、両社が有する数理モデルの技術を用いて、配船・原料調合・製造・置場・物流・整備・修理などの各業務領域において、多数の最適化プロジェクトを実行してきたが、多様化する顧客企業の最適化ニーズに対して、よりいっそう充実した対応を行えるよう、両社が有するアセットのプール化を通じて案件対応力を強化するとした。

 具体的には、1)上流工程での生成AIの活用、2)開発環境の共同利用、3)案件知見とSE研修ツールの共有――により、各社戦力の拡充と共通化を行うとしている。

最適化プロジェクトにおける両社のアセット融合の施策