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無線LANの柔軟性とコストパフォーマンスを飛躍的に向上――、アライドテレシスがハイブリッド無線LAN「AWC Channel Blanket」を発表
2018年4月5日 06:00
アライドテレシス株式会社は3日、無線LANのアクセスポイント(AP)の構成において、1台ずつ独立したSSIDを持つ「セル型(マルチチャンネル型)」と、複数台を1つのAPとして扱う「ブランケット型(シングルチャンネル型)」のハイブリッド技術「AWC Channel Blanket(AWC-CB)」を発表した。
AWC-CBには、8月に発売予定の無線AP新製品「AT-TQ5403」で対応するが、AWC-CBが利用可能になるのは、ネットワーク管理ソフトウェア「Vista Manager EX」の追加機能(追加ライセンス)が提供される10月になる予定。
アライドテレシスはこれまで、セル型のAPにおいて複数台を自律的に制御し、各AP間や外来波の干渉を抑えて、出力やチャンネルを自動で最適化する「AWC」技術を採用してきた。またブランケット型は、Extricom社から獲得した技術と製品ラインアップにおいて、独自技術で対応してきた。
アライドテレシス マーケティング統括本部の佐藤誠一郎氏は、「セル型では、移動端末ではAP間を移動するローミング時にパケットロスや遅延が発生する。一方、ブランケット型ではローミングが発生しないものの、全端末が単一チャンネルに収容されるため、電波のとりあいが生じる」と、それぞれの長所短所を説明した。
AWC-CBでは、この両者を1つのAPで同時に使えるようにする。AT-TQ5403は5GHzW52/W53帯用とW56帯用、2.4GHz帯用の3つの通信機能を搭載しており、3つのうち1つをAWCを用いたセル型、別の1つをブランケット型にして同時運用する、といったことができる。
ブランケット型のコントローラの役割は、AWCの制御にも使われるネットワーク管理ソフトウェアVista Manager EXが担う。
セル型とブランケット型の長所を両立
アライドテレシス Product Integration Engineering部の瀧俊志氏は、ブランケット型を含むローミングの問題を中心に解説した。
瀧氏によれば、ローミング技術としては802.11k/r/vの「高速ローミング」もあるが、端末側も対応している必要があるという。またローミング全般の問題として、ローミング判断が端末に任されているため、受信感度が下がってもローミングしない端末では通信速度が低下し、同じAPに接続しているほかの端末も遅くなる「Sticky端末問題」があるとのこと。
これらの問題に対して瀧氏は、ブランケット型では端末の種類によらずローミングレスで使えること、Sticky端末が原理上発生しないことをメリットとして挙げた。
また、従来のブランケット型では高価な専用コントローラが必要となり、さらにそのポート数やスループットが制約になっていたのに対し、AWC-CBではソフトウェアであるVista Manager EXをコントローラにするため、それらの問題を回避できると語った。
さらに、従来のブランケット型で課題とされていた、ダウンリンクで同時に送信できる端末が原則として1台であり、増やしてもスループットが上がらない問題についても対処されており、条件によって同時送信が可能になるという。
こうした点を総合して、AWC-CBは、ブランケット型の利便性とセル型のコストパフォーマンスを両立したものだと瀧氏は結論づけた。