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ヤマハは単独ブースで出展 参考展示のスイッチや仮想ルータ、サウンドソリューションなど盛りだくさん
2019年6月13日 06:00
ヤマハ株式会社はこれまで、SCSK株式会社のブースに出展することが多かったが、今回は単独でブースを構えている。
コンセプトとしては、全体を白と黒に分け、“白”の部分でオフィスや商業空間などを、“黒”の部分でその裏方となるネットワーク製品を展示している。また、「ヤマハのDNA」も打ち出しているという。
PoE給電スマートL2スイッチ、ライトL3スイッチ、インテリジェントL3スイッチが参考展示
“黒”のネットワーク製品では、スイッチを中心とした各種製品を体系づけて一覧展示している。特にスイッチは、縦に製品クラス、横にポート数という2軸で並べ、ラインアップの充実をアピールしていた。
その中でも、スイッチの次期モデルが3機種、参考展示されていた。いずれも発売時期は未定。従来の展示会では「X」と数字によるコードネームで展示するのが慣例だったが、スイッチ製品はラインアップと製品名がストレートにつながっていることもあり、リアルな製品名で展示したという。
まず「SWX2210P」は、スマートL2(レイヤ2)スイッチであるSWX2200クラスの最新機種、SWX2210のPoE給電対応モデル。従来機種のSWX2200-PoEは8ポート製品のみだったが、SWX2210(PoEなし)と同様に、8ポート、16ポート、24ポートの3機種がラインアップされる。
「SWX3100-18GT」は、中小規模向けL3(レイヤ3)スイッチ製品であるライトL3スイッチの新モデル。SWX3100-10G(10ポート)から、18ポートにポートを増やした製品だ。通常のLANポートが16ポートで、アップリンクのSFP+が2ポートとなる。
「SWX2310」は、インテリジェントL2スイッチであるSWX2300の後継機種。10ポート、18ポート、28ポート、52ポートの4機種で、SWX2300(8ポート、16ポート、24ポート)から1種類増えている。いずれもアップリンクのSFP+ポートが新たに含まれる。マルチプルVLANやダイナミックVLANなどの機能も拡充している。
新機種はいずれもポート数のラインアップが増えたのが特徴の1つだが、それについてブースで尋ねると、「ヤマハのスイッチが広く使われるようになったため、ポートの要望が増えた」という説明だった。
AWS用仮想ルータがついに今年秋口に発売予定
ソフトウェアベースの仮想ルータも参考展示されていた。ソフトウェア自体は、通常のヤマハルータと同じものがベースとなる。主に、ヤマハのルータとVPN接続の対向としての利用が想定されている。
仮想ルータはこれまでも展示会で何度か参考展示されていたが、とうとう今年の秋口に発売予定だという。まずAWS用として、使用ライセンス形式(買い切りではない形式)で販売する予定。
ブースでは、併催イベントであるAWS Summitのヤマハブースと映像で接続しているところをデモしていた。これは、直接接続しているのではなく、それぞれのブースのヤマハルータからAWS上の仮想ルータにVPN接続し、AWSを経由して両ブースをつないでいるのだという。
また、デモした仮想ルータはAWS上の異なるAZ(アベイラビリティーゾーン)に配置して冗長化していた。その経路は、仮想ルータのLuaスクリプトからAWSのAPIを呼び出して制御しているとの説明だった。
なお、ヤマハでは主に拠点のヤマハ製品をクラウドで統合管理するYamaha Network Organizer(YNO)サービスを提供している。仮想ルータのYNO対応について尋ねたところ、YNOでは拠点のヤマハ製品のGUI画面を使うこと、仮想ルータは拠点ルータとは逆に中央側の設定となることなどから、まだ先になるという。「それより、最初は横(AWS以外のクラウドサービス)に広げたい」との説明だった。
RTX830のDPI機能が9~10月に登場
拠点用ルータのRTX830を通るパケットのアプリケーションを調べるDPI(Deep Packet Inspection)も参考展示されていた。9~10月をめどに発売するという。RTX830の別売オプションのファームウェアとして、ライセンス形式で販売する予定。
DPI機能により、通過するアプリケーションを判断して、フィルターや経路変更、QoS制御などにつなげられる。例えば、「拠点からは中央を経由してインターネットと通信しているが、Office 365とは拠点から直接インターネットと通信(インターネットブレイクアウト)したい。ただしOffice 365はIPアドレス範囲が変わるのでIPアドレスでは制御できない」という場合に、アプリケーションで判断して経路を変えられる。
それも含め、統計情報をRTX830のWebダッシュボードに表示できるようになる。一定期間に使われたアプリケーションや、それを使っている端末などを調べることができる。これを元に、インターネットブレイクアウトやフィルターなどの対応がとれる
なお、ある程度の期間の統計情報を保存するには、データ蓄積用にUSBメモリをRTX830に挿す必要があるという。
ちなみに、従来機種等でも、LuaスクリプトでOffice 365のIPアドレス範囲情報を収集してインターネットブレイクアウトを実現する方法を、ヤマハのサイトで公開していることも紹介されていた。
オープンスペースでも遠隔会議できるスピーカーフォン
“白”のエリアでは、オフィス向けサウンドソリューションが展示されていた。
遠隔会議用スピーカーフォンのコーナーでは、小規模会議用の新製品「YVC-330」が展示されていた。11月発売予定。
最大の特徴は、オープンワークスペースで快適なリモート会議を可能にする「SoundCap」機能だ。通常のオフィススペースのように話し声や電話の呼び出し音、コピー機の動作音などが聞こえているオープンなワークスペースなどでも、まるで“仮想的なドーム”があるかのように集音範囲を限定して周囲の音がマイクに入りにくくするという。ブースの説明では、範囲はだいたい「テーブルの周辺」ぐらいとのことだった。
そのほか、人間の音声を瞬時に判別して話が止まったらマイクを自動ミュートする機能や、周囲の音量に合わせてスピーカーを音量自動調整する機能なども搭載する。
“白”のエリアではそのほかにも、オフィスの防音製品が展示されていた。
オフィス用の防音ブースは、オフィスの中で外部に音が漏れないように通話などができるブース。ヤマハの楽器練習用ブースの技術を元に開発した。楽器練習用の違いは、周囲に窓が付いていることで、それによって楽器練習用より少し価格が上がっているという(窓6枚の構成で約100万円)。
また、Inabaとの共同による防音実験として、Inabaのパーティションに、会話が外で聞こえにくくするヤマハのマスキング音スピーカーを組み合わせて、吸音性能を実証実験したものを展示していた。
そのほかにも、店舗向けBGMシステムを「Y's Cafe」として展示していた。