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ヤマハ、仮想ルータ「vRX」のVMware版を提供 オンプレミス環境でも仮想ルータが利用可能に

 ヤマハ株式会社は18日、仮想環境上で動作する仮想ルータ「vRX」において、VMware ESXi版(以下、VMware版)を発表した。ソフトウェアライセンスを2021年1月より販売開始する。

 vRXは、これまでハードウェア製品として提供されてきたヤマハルータの標準的な機能を、仮想環境向けのソフトウェアとして提供する製品。ソフトウェアの大半が共通化されており、ハードウェアのヤマハルータで高い評価を得ている機能をそのまま使うことによって、さらに柔軟なネットワーク構築に対応できるという。

 第1弾としては、2019年8月にAmazon Web Services(AWS)環境向けが発表され、クラウド環境での利用がスタートしていたが、今回のVMware版により、企業本社のサーバールームやデータセンター内のサーバー上に構築された仮想環境でもvRXが利用可能となった。

 従来のハードウェアルータとvRXを併用すれば、オンプレミス(自社運用型)とクラウドのネットワーク同士をヤマハルータだけで接続できるほか、コマンド体系が共通しているため、従来のハードウェアヤマハルータで培った設定ノウハウを生かしてネットワーク構築を行える。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、テレワークを全面的、あるいは一部に取り入れている企業は依然として多いが、在宅勤務者によるスマートフォンやPCからのリモートアクセスVPNの同時接続数が増加した場合、従来はハードウェアルータを買い換えたり増設したりする必要があったという。

 しかしvRXでは、ライセンスを買い足すだけで簡単にVPN接続数を拡張できるので、需要変動の大きいテレワーク用VPNを収容するセンタールータとしての利用にも向くとのことだ。

 さらに、1台のサーバー上で複数のvRX VMware版を動作させ、拠点や業務システムごとに専用の仮想ネットワークを構築することで、セキュリティの向上や運用負荷の軽減といったメリットも得られるとした。またvRXでは、独立したルーティングテーブルを保持できる構成となっていることから、拠点や業務システムごとに独立した経路制御を行えるとしている。

 ライセンスとしては、先行するAWS版と同様に、年間サブスクリプション型の基本ライセンスと、買い切り型のVPNオプションライセンスの2種類から構成される。基本ライセンスの価格(以下、すべて税別)は、10Mbpsが年間1万6500円、100Mbpsが6万2000円、1Gbpsが年間30万円など。一方のVPNオプションライセンスは、10対地で2万円、100対地で18万8000円、500対地で86万円など。このほか、無料で試用できるトライアルライセンスも用意されている。

 対応するハイパーバイザーは、VMware ESXi 6.0 Update 3以降/6.5/6.7。ヤマハでは今後、サーバー選定の際の目安となる性能指標を、発売にあわせて順次公開する予定だ。なお、vRX VMware版も仮想化プラットフォーム上で1台の仮想マシンとして動作するため、VMware vCenter Serverから、ほかの仮想マシンと同様に一元管理できるとしている。