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富士通、Palantirとの戦略的提携を強化 企業における生成AIの業務実装と業務変革支援を推進

Fujitsu Uvanceのオファリングを拡大

 富士通株式会社は19日、米Palantirの日本法人であるPalantir Technologies Japan株式会社と、生成AIを容易に業務に組み込むためのプラットフォーム「Palantir AIP(Artificial Intelligence Platform)」に関するライセンス契約を8月5日に締結したと発表した。

 富士通とPalantirでは、2020年より、日本市場におけるデータ統合および業務DX支援に関する協業を開始し、2023年にはグローバルパートナーシップを締結するなど、協業を強化してきた。

 その中で富士通は、さまざまなシステムに分散した大規模データを統合管理するプラットフォーム「Palantir Foundry」を提供するのみならず、自社が推進する「Fujitsu Uvance」において、「Palantir Foundry」のデータ統合・分析基盤に自社の業務知見を組み合わせ、サプライチェーンやエンジニアリングなどの領域における業務最適化を実現するオファリングを提供している。

 今回の協業は、これまでの取り組みをさらに強化するもので、富士通は、現在提供している「Palantir Foundry」に加えて、「Palantir AIP」のグローバルでの提供を2025年度中に開始する予定だ。

 その「Palantir AIP」は、「Palantir Foundry」との連携により、企業内で収集したデータの分析および意思決定において迅速な生成AIの機能実装を実現するプラットフォーム。企業内のネットワークに任意の大規模言語モデル(LLM)を呼び出せ、金融や防衛など機密性の高い分野でのグローバル導入実績を持つ。

 これを活用することで、短期間で生成AIおよびAIエージェントを活用するシステム設計・開発が実施できるようになり、サプライチェーンの最適化、業務フローの自動化、経営層の意思決定の迅速化などが実現するとした。

 また富士通では、前述のように、「Fujitsu Uvance」において「Palantir Foundry」を組み込んだオファリングを提供してきたが、今後はさらに、「Palantir AIP」を組み込んだオファリングも提供。生成AI・AIエージェントによるシナリオシミュレーション、要因分析、提案生成からアクション実行までを一体化して支援し、業務プロセス全体の最適化を進める考えだ。

 さらには、「Takane」や「Fujitsu Kozuchi」など、自社が展開するAIサービスとの連携によって日本語機能や業務特化機能を強化し、AIエージェントの、企業の業務への迅速な実装を支援することで、従来の可視化中心の分析から、データに基づく自律型の意思決定ワークフローの実現に貢献するとした。

 なお富士通は、「Palantir AIP」を活用した試験的な社内実践を行い、適性に応じた人材活用の最適化を実現するなど、業務負荷の削減と意思決定の迅速化の面で成果を確認している。今後は、自然災害や財務・コンプライアンスなど、自社サプライチェーンに関する多様なリスクを事前に検知・予測し迅速に対応できる仕組みを構築するなど、さらなる経営の可視化と意思決定の高度化を進め、それらの社内実践を通じて得た知見を「Fujitsu Uvance」のオファリングに反映して、新たな価値創出へつなげていく考えだ。

 同社では、今回のパートナーシップを通じて高付加価値なオファリングを提供し、製造業や流通業、官公庁、金融など、さまざまな業種の企業・団体に向けて意思決定の高度化を支援することで、2029年度末までに、1億ドル規模の売上を目指すとしている。