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アラクサラ、放送向けスパイン/リーフスイッチやネットワーク可視化ソリューションなどを展示

腐食性ガス対策の基板コーティング効果展示も

 「Interop Tokyo 2019」で、国産ネットワーク機器ベンダーのアラクサラネットワークス(アラクサラ)のブースでは、ネットワーク管理のためのシステムや、キャリアが利用帯域を平均化する機能、スイッチの最新機種、環境性能への取り組みなどを展示していた。

端末トレーサビリティが無線LANに対応

 展示内容のうち「端末トレーサビリティソリューション」が、各社の製品を審査する「Best of Show Award」のマネジメント部門で審査員特別賞を受賞した。

 端末トレーサビリティソリューションは、「AX-Security-Controller(AX-SC)」が情報を自動収集して、端末をリアルタイムに特定・可視化するソリューション。端末がどの装置の、どのポート、どのVLANにいつから接続されているかを把握できるのみならず、端末の資産番号、ユーザー情報などの付加情報も一元的に確認可能にしている。

 ただし従来の端末トレーサビリティソリューションでは、無線LANについては、無線LANコントローラ配下のネットワークが見えないという問題があった。そこで、その情報を無線LANコントローラから収集する機能をAX-SCに追加することが5月に発表されており、強化されたソリューションとして今回展示された。

端末トレーサビリティソリューションの説明
端末をリアルタイムに特定・可視化
端末の詳細情報を表示

 AX-SCについては、「サイバー攻撃自動防御ソリューション」も展示されていた。各社のセキュリティ製品と連携し、セキュリティ製品がインシデントを検出するとAX-SCがネットワークで自動遮断するというもの。ブースでは、パロアルトネットワークスの次世代ファイアウォールとの連携をデモしていた。

サイバー攻撃自動防御ソリューションの説明
サイバー攻撃自動防御ソリューションとパロアルトネットワークスの次世代ファイアウォールとの連携

マルチベンダーでネットワークをGUIで表示・設定

 ネットワーク管理製品では、新製品「AX-Network-Manager」も展示されていた。9月に発売予定だという。

 ネットワーク情報を吸い上げて、ネットワークトポロジをグラフィカルに表示し、状態表示やコンフィグ設定などをGUIからできるようにする。対象機器はマルチベンダー対応(ただし標準的なMIBに対応したもの)のため、既設インフラで使えるのが特徴だという。

 例えば、VLANも、筐体を模した画像からポートを選んで設定できる。これにより、ネットワーク運用の負荷軽減と簡易化を実現する狙いだ。

AX-Network-Manager。ネットワーク情報をGUIで表示する
VLANも筐体を模した画像から設定できる

機械学習でサイレント障害も検知するネットワーク可視化

 ブース正面には、「機械学習を活用したネットワーク可視化・異常検知」がデモされていた。

 大きな画面には、社内ネットワークの模式図が表示され、そこで起きているネットワーク障害が3D表示で示されていた。これは、ネットワーク機器のミラーリングポートから小型のネットワークセンサー「AX-Sensor」でトラフィック情報を収集し、NetFlowで送られた情報を、「AX-Controller」ソフトウェアで収集・分析・可視化したものだ。

 AX-Controllerでは機械学習エンジンと連携し、トラフィックのパターンを見て障害を検知することにも対応している。これにより、サイレント障害など、いままで検出できなかった障害も検出できるという。

 デモでは、5分ごとに疑似的に障害を発生させ、それを検出・表示させていた。

 そのほか、Spirentのネットワークパフォーマンステスターで100Gbps・100万ユーザーのトラフィックを発生させ、10台のAX-Sensorで情報収集してトラフィック情報をカウントし、可視化する様子もデモしていた。

ネットワーク障害の可視化
5分ごとに疑似的に障害を発生させる
小型ネットワークセンサー「AX-Sensor」
AX-Sensorの説明
100Gbps・100万ユーザーのトラフィックを10台のAX-Sensorで収集
トラフィック情報をカウントして可視化

ごく一部のヘビーユーザーを制限するボックス型スイッチ

 「ヘビーユーザー対策ソリューション」のコーナーでは、キャリアなど向けに、大量のトラフィックで帯域を占有する“ごく一部のヘビーユーザー”の帯域をシェーピングで制限する技術を展示していた。他社網のユーザーから来るトラフィックでも、自動追跡して対応するという。

 シャーシ型スイッチ用のラインカードではすでに製品化されているが、ブースではボックス型のヘビーユーザー対策スイッチが参考出展されていた。

 デモでは、機能をオフにするとヘビーユーザーが帯域を占拠してライトユーザーのトラフィックが下がる様子と、機能をオンにすると平均化される様子を見せていた。

ヘビーユーザー対策ソリューションの説明
20万ユーザーのトラフィックで試す。画面左半分がライトユーザー、右半分がヘビーユーザー。途中で機能をオフにしてまたオンにしている
ボックス型のヘビーユーザー対策スイッチ(参考出展)
シャーシ型スイッチの対応ラインカード

放送向けスパイン/リーフスイッチや、10Gマルチリング対応のPoEスイッチなど

 新製品のスイッチ製品も展示されていた。

 AXscala3930Sシリーズ(仮称)は、放送局の4K/8K対応のIPネットワーク向けのスイッチ製品。6月に発表され、2019年度下期からの出荷を予定。

 スパイン/リーフ構成で、AXscala3930S-32QW(40G/100G×32ポート)がスパイン、AXscala3930S-48X8QW(40G/100G×8ポート、10G/25G/48ポート)がリーフとなる。放送向けの機能としては、時刻同期のPTPをサポートする予定。

AXscala3930S-32QW(仮称)(スパイン)
AXscala3930S-48X8QW(仮称)(リーフ)
AXscala3930Sシリーズ(仮称)の説明

 AX2530S-16P4Xは、10Gマルチリング構成対応のコンパクトなL2 PoEスイッチ。5月に発表され、2019年度第2四半期からの出荷を予定。

 4K/HD監視カメラや、高速無線LANアクセスポイントなどを想定。PoEで機器に給電する10Gのネットワークを、マルチリングで区切って使いたいというニーズに対応する。

AX2530S-16P4X
AX2530S-16P4Xの説明

 「AX2530SE」は、ボックス型L2スイッチ「AX2500S」シリーズの「AX2530S」のCPUを強化したモデルだ。機能は継承し、認証性能やL2ループ検知性能をアップさせている。

AX2530SE-24T4X
AX2530SEの説明

腐食性ガス対策の基板コーティングの効果を展示

 そのほか、耐環境性能向上への取り組みとして、腐食性ガス対策も紹介されていた。温泉のボイラー室などを想定したもので、基板コーティングの効果について展示されていた。

耐環境性能向上への取り組み:腐食性ガス対策
スルーホールのコーティングに関する部分
コーティング無で腐食性ガスを浴びた基板
コーティング有で腐食性ガスを浴びた基板
コーティング無の基板のスルーホール付近を拡大
コーティング有の基板のスルーホール付近を拡大