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2024年の国内クラウド市場、前年比29.2%増の9兆7084億円に――IDC Japan調査
2025年8月19日 16:45
IDC Japan株式会社は18日、国内クラウド市場予測を発表した。それによると、2025年の国内クラウド市場は前年比29.2%増の9兆7084億円(売上額ベース)。その後、2024年~2029年にかけて年間平均成長率(CAGR)14.6%で推移し、2029年の市場規模は2024年比約2.0倍の19兆1965億円まで成長すると予測している。
現在の国内クラウド市場では、クラウドに移行しやすいシステム(例:Webシステム、パッケージアプリケーションソフトを活用したシステムなど)のクラウドマイグレーションはピークを過ぎたものの、レガシーマイグレーションやスクラッチ開発したシステムのクラウドマイグレーションが本格化しているとのこと。また、急拡大するAIの需要に対応するために、サービスプロバイダーによる大型投資が見られることもあり、2024年の国内クラウド市場は、ほぼ前年並みの高い成長率(2023年は前年比29.6%増)を記録したという。
また、ユーザー企業のクラウドの導入/利用は、アプリケーション/ワークロードのシステム特性を基準としてクラウドを選択する「適材適所」の方針の下で進んでおり、今後の国内クラウド市場の成長を牽引する配備モデルはパブリッククラウドになると指摘。その理由として、パブリッククラウドは生成AIなどの新しい機能の実装が早く、企業のデジタル戦略に大きな影響を与えているためと説明した。
他方で、プライベートクラウドも高い成長の継続が見込まれているとのこと。ただし、過去資産の継承性と柔軟性に優れ、基幹系システムの移行先として導入が進んできたという傾向は今後も変わらないものの、サイロ型の導入から、ハイブリッドクラウドの一部としての利用が進むと、IDC Japanは予測している。
この背景として、統合管理によるガバナンスやセキュリティの強化、コストの最適化に加えて、新しい技術の活用が進むという点を指摘。また、プライベートクラウド、特にホステッドプライベートクラウド(HPC)は、データ主権だけではなく、運用主権を含めたデジタル主権を実現するクラウド環境(ソブリンクラウド)へと発展していることを付け加えた。
なお現在、生成AIの発展に促されるように、企業のデジタルビジネスに対する関心はますます高まっており、クラウドがデジタルビジネスを支える基盤であるとの認識も浸透しているが、IDC Japanでは、デジタルビジネスを実践するためには、企業はガバナンスを強化する必要がある点を指摘。
「ベンダーは、IT視点だけではなく、業務や産業知見を集約して、ガバナンスの強化を支援するコンサルティングサービスを提供する必要がある」と、同社 Software & Servicesのリサーチディレクターの松本聡氏は述べている。