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リコージャパンとメイクリープス、電子帳簿保存法改正に対応するサービスを提供 請求・会計業務のデジタル化を支援

 リコージャパン株式会社は29日、2021年1月から電子帳簿保存法(電帳法)が改正されることを受け、企業の対応を支援するソリューションについて説明を行った。

 電帳法は1998年に制定されこれまで何回か改定されてきたが、リコーのグループ会社であるメイクリープス株式会社 代表取締役CEOの児玉哲氏は、「2022年1月の改正では大幅な見直しが行われ、全国の企業260万社のうち70%に影響があると推測される」と述べ、多くの企業に影響が出ると指摘している。

リコージャパン株式会社 ICT事業本部 EDW企画センター トレードエコシステム企画室室長 兼 メイクリープス株式会社 代表取締役CEOの児玉哲氏

 リコーでは今回、改正に対応するために、メイクリープスが提供するクラウド型請求管理サービス「MakeLeaps」や、自社のクラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH Cloud OCR」、企業間取引デジタル化ソリューション「RICOH Trade Automation」などの機能強化版を10月にリリースし、さらにソリューションやサービスを拡充していく計画だ。

 こうした施策により、「既存のリコーユーザー数のポテンシャルから、60万社程度に訴求できるのではないか」(児玉氏)と見込んでいる。

3つのクラウドサービスが電子帳簿保存法に対応

 メイクリープスでは2021年9月から、改正される電帳法に関するセミナーを実施。「いずれの回も多くの来場者を集めた」(児玉氏)そうで、企業からも高い関心が寄せられている。

 高い関心が寄せられていることには理由がある。「これまで電帳法は何回か改正されているが、電子保存を実施するためのハードルが高いままという課題があった。初期投資のための費用も高額となることから、資金に余裕がある大手企業は取り組むことができても、多くの企業が取り組むには至らなかった。しかし、2022年の改正では大幅な見直しがあり、多くの企業が電帳法に取り組むきっかけになるだろう」(リコージャパン株式会社 ICT事業本部 トレードエコシステム企画室 RICOH Cloud OCR プロダクトオーナーの田村りつ子氏)というのだ。

これまでの電子帳簿保存法

 しかしハードルは下がったものの、どう対応すればいいのかはわかりにくいところがある。例えば、国税関係帳簿、国税関係書類の決算関係書類、自己が発行した取引関係書類、相手方から受領した取引関係書類については大幅に要件が緩和され、紙のまま保存するのか、電子データで保存するのかは任意となっている。

 一方で、EDIや電子メールでのやり取りに関しては、紙ではなく、電子データで保存することが原則義務となる。

 ただし電子取引のデータは、電子取引後に紙での出力・保存できる措置が廃止になる。可視性要件の緩和として、検索項目は取引年月日、取引金額、取引先に限定される。可視性要件についても、税務職員によるダウンロードの求めに応じることができる場合、日付/金額の範囲検索や2つ以上の任意項目での組み合わせ検索機能が不要となるといった緩和が行われる。

令和4年1月施行 電子帳簿保存法概要

 その一方で罰則規定は強化され、データの改ざん等による不正発覚や、要件を満たさない電子保存を行って過少申告があった場合には重加算税が増額になる。2022年1月から電子保存は義務となり、電帳法の要件を満たした電子保存でなくては法令違反になることから、確実な保存・運用が必要となる。

 今回の改正は、メールも含め電子での送信、受信は原則電子データで保存しなければならない。一方、紙で受け取ったものは、従来は必要だった税務署への申請が不要になるなど、申請のわずらわしさが緩和されるなど、多くの企業にとって影響が大きい。

 しかしリコーの顧客からは「電帳法に対応したいが、何から対応したらいいのかがわからない」という声が寄せられているという。

 そんな場合、先行例として、「電子帳簿保存は一気にではなく、段階的に進めていくことがポイント。最初に重要書類である請求書からスタートする例が多い」(児玉氏)という。請求書をメールで送る企業が多く、その対策が必要になること、「一部の部門からスタートできる書類から取り組みたい」という要望に対応できることから、請求書から始める例が多いようだ。

 リコージャパンが10月から順次対応するのも、まさに請求書がらみだ。クラウド型請求管理サービス「MakeLeaps」、クラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH Cloud OCR」、企業間取引デジタル化ソリューション「RICOH Trade Automation」は、いずれもSaaSプロダクトとなる。

 メイクリープスは2018年にリコーが買収した企業で、現在は書類をかんたんに作成、管理、郵送できるクラウド型請求ソフトウェアを提供している。導入実績としては中小企業から大企業まで幅広く、業種、業態を問わない。今回は、電帳法改正に伴い、多くの企業が手軽に電帳法に対応できるように書類の保存・検索に関する機能を強化し提供する。

 リコーでは従来の複合機など製品販売からサービスビジネスへのシフトを急いでおり、メイクリープスのソリューションと複合機を組み合わせたサービス型ソリューションを提供していく。

MakeLeapsが電子帳簿保存法に対応する

 RICOH Cloud OCRは、リコー独自の帳票解析技術と画像処理技術を搭載した AIにより、請求書・納品書に記載された情報を自動認識し一括データ化し、基幹システムと連携することで、お客さまの業務プロセスのデジタル化・効率化を進める。今回の電帳法改正では、請求書や納品書の保存・検索に関する機能の強化を行う。

RICOH Cloud OCRも電子帳簿保存法に対応

 RICOH Trade AutomationはMakeLeapsと連携し、購入側企業の発注・受領請求処理業務と 企業間のワークフローをデジタル化する。仕入れ先との注文書・請求書のやり取りを電子化し、バックオフィス業務の効率化・省力化をすることで、在宅勤務などリモート環境での業務においても、紙に縛られない柔軟な働き方を実現する。

 なお、これらの販売は、リコージャパンが持つ100万の顧客基盤を活用するとともに、中小企業との接点が多い地銀、信用金庫、商工会議所と連携して各種サービスを提供していく計画だ。

リコージャパンが保有する販売戦力を生かしていく