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リコー、「RICOH IM C6010」など複合機7機種16モデルを発売、DXを支える“新しいエッジデバイス”に

 株式会社リコーは、A3フルカラー複合機の新製品「RICOH IM C6010」、「RICOH IM C5510」、「RICOH IM C4510」、「RICOH IM C3510」、「RICOH IM C3010」、「RICOH IM C2510」、「RICOH IM C2010」の7機種16モデルを2月14日に発売する。「複合機は企業のDXを支える新しいエッジデバイス」と位置づけ、入出力機能の強化、強固なセキュリティ実現、トップクラスの環境性能の3点に注力した製品となっている。

今回の新製品

 リコージャパン株式会社 ICT事業本部オフィスプリンティング事業センター センター長の石井晃氏は、「複合機の台数を売るビジネスからサービスを提供するビジネスへの転換は、順調に進んでいる。どの程度か具体的に数値で示すことはできないが、まだまだやるべきことは多い。今回はテレビCMも実施しているRICOH kintone plusとの連携なども実現しており、アプリとの連携などによる付加価値ある新製品となっている」と、製品をアピールした。

リコージャパン ICT事業本部オフィスプリンティング事業センター センター長の石井晃氏

 また、「行政サービス、公共サービスのデジタル化をはじめ、法令化、王改正、補助金制度の拡充と企業がデジタル化を進める環境は整ってきている。特に電子帳簿保存法の改正、インボイス制度のスタートに対しては企業の関心も高い。ところが、中堅・中小企業のデジタル化は対応が加速しているものの、拡大余地はまだまだ大きいのが実情となっている。リコージャパンでは、エッジデバイスとソリューションを組み合わせた付加価値を提供している。特に複合機は、デジタル化を行う際の入り口となっており、特にアプリケーション利用のハードルを下げる大きな役割を担っている」と説明する。

 デジタル化が進展することで印刷物を出力する複合機の利用場面は減少する印象があるが、「入り口としては依然残る紙をデジタル化する役割を複合機が果たしている。出力についてはこの先はデジタル化進展で利用場面が減ることもあるだろうが、現状では紙の出力はまだ多く、例えばFAXの送受信は増加傾向にあり、これが数年でゼロになるとは考えにくい」(石井氏)と、現実的にはオフィスでの活用場面も多いと指摘する。

 こうした状況をかんがみ、複合機を企業のDXを支えるエッジデバイスと位置づけて、入出力機能の強化、強固なセキュリティ、トップクラスの環境性能の3点を新製品の強化ポイントとした。

新製品の強化ポイント

 入出力機能の強化としては、アナログtoデジタルの場面では、従来はガラス面から1枚ずつ読み取っていた名刺や領収書のような小さいサイズの原稿、はがきのような厚紙、薄い紙などをADFから直接読み取ることができるようになった。両面自動読み取り機能も強化され、従来の片面150ページ/分、両面240ページ/分から、それぞれ150ページ/分、300ページ/分へと機能向上している。

 リコーでは複合機でスキャンしたデータを、電子帳簿保存法の要件にのっとった証憑データとしてクラウド保存できる「RICOH受領請求書サービス」、さまざまな証憑を一元保管し、可視性の入力も入力代行を利用することで支援する「RICOH証憑電子保存サービス」を提供しており、これらのソリューションと新製品をあわせて利用することで、電子帳簿保存法への対応にかかる作業負担を減らせるとしている。

 また顧客管理を強化するために、名刺をはじめ紙文書をスキャンしたデータを「RICOHカンタン名刺電子化アプリ for PHON APPLI PEOPLE」を使ってクラウド上で管理し、そのデータを「RICOH kintone plus」と連携することで、注文書や見積書、日報などを作成する際の作業負担軽減につながるとした。

 「複合機でスキャンした名刺データを当社が提供するアプリに取り込み、連絡帳として社内で共有できる。kintone plusでデータを取り込み、顧客管理や案件管理など販売にまつわる業務の効率化に利用することも可能。さらに、業種ごとにさまざまなテンプレートを用意しているので、名刺だけでなく、FAXで受けた注文書や図面などをテンプレートに沿って業務で利用することもできる。最新の複合機とクラウドサービス、アプリケーションの連携によりお客さまのDXにつなげていける」(石井氏)。

電子帳簿保存法への対応
顧客管理における名刺・紙文書の電子化&活用

 デジタルtoアナログの場面では、複合機のインナー紙折りユニットを強化した。顧客に郵送で書類や資料などを送る場合、新しいインナー紙折りユニットを利用することで3枚まで重ね折りができる。内三つ折り、外三つ折りに対応しており、折り上がったものをそのまま封筒に封入すれば済む。

 同じくデジタルtoアナログでは、教育機関や病院などから要望が多かった針なし綴じへの対応が強化され、1カ所綴じに加え2カ所綴じが可能となった。針があることによる事故を懸念する病院などで利用しやすいほか、針がないことでシュレッダーにそのままかけられるなどのメリットがある。

インナー紙折りユニットの強化
針なし綴じ機能の向上

 エッジデバイスとしての強化2点目が、セキュリティ機能の強化だ。TLS1.3、TPM2.0、WPA3の3種類の最新暗号技術を搭載。セキュリティを強化しているユーザーに対応するために、米国のセキュリティガイドラインNIST SP800-171に基づいた、必要な機能を搭載している。

 また、リコーが提供するRICOH Always Current Technologyによって、複合機を導入後も最新のセキュリティ機能へのアップデートすることが可能となっている。

セキュリティ機能の強化

 3点目の強化ポイントが環境性能の強化だ。新製品では、前身機では6.3%だった再生プラスチック利用率を50%とするなど、環境負荷低減を実現。材料メーカーと協力し、回収材を利用した新しい材料開発と新製品開発を同時に進めることで、再生プラスチック利用率の高い新製品を実現した。

 梱包(こんぽう)についても、従来の発泡スチロールから古紙由来の梱包材に切り替え、プラスチック使用量を約54%まで削減した。これにより年間のプラスチック廃棄量は260トンとなると試算している。

 トナーボトルもリユースとプラスチック削減を進め、トナーの防湿性能を向上したことで従来は利用していたプラスチックの包装紙が不要となった。これにより年間約76トンのプラスチック削減につながる見込みだ。

 消費電力量も改善し、印刷時、待機時の省エネ性能の向上を実現。「標準消費電力量で、A3カラー複合機としては業界トップを実現した。新開発の低融点トナーを採用し定着加減温度を12℃低下させたこと、新開発の省エネ制御マイコンによる待機時の省エネ性能向上などによって実現されており、標準消費電力量は10%削減となった」(リコー リコーデジタルプロダクツビジネスユニットOC事業本部 OC事業センター 所長の佐藤訓之氏)。

商品ライフサイクルを通じた環境負荷低減
リコー リコーデジタルプロダクツビジネスユニットOC事業本部 OC事業センター 所長の佐藤訓之氏

 リコーでは製品に加え企業としての環境配慮を強化しており、「今後もお客さま、地球環境、そしてリコーの三方よしとなる製品提供を続けていく」(佐藤氏)と、さらなる環境配慮を進めていく方針を示した。

 新製品の価格(税別)は、RICOH IM C6010が270万円から、RICOH IM C5510が219万円から、RICOH IM C4510が191万円から、RICOH IM C351が167万円から、RICOH IM C3010が143万円から、RICOH IM C2510が121万円から、RICOH IM C2010が105万2000円から。