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ServiceNow、「Now Platform」最新版の「Utah」を国内でリリース
2023年4月12日 06:00
クラウド型デジタルワークフローのServiceNow Japan合同会社は11日、同社サービスのプラットフォーム「Now Platform」の最新版である「Utah」リリースを発表した。米国では3月にリリースされたものだ。
Now Platformは年に2回リリースされ、リリース名にはアルファベット順に都市の名前がつけられる。前リリース「Tokyo」は2022年の第3四半期にリリースされた。
同日に記者説明会が開催され、Utahリリースや、ServiceNow Japanの事業状況について説明がなされた。
「シンプルなエクスペリエンス」「目的に応じた自動化」「組織全体のアジリティ」の3つの柱
ServiceNow Japanの原智宏氏(執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括 事業統括本部長)は、「従来のエンタープライズITは業務ごとに分かれていたが、これをヒューマンセントリック(人間中心)にするのがServiceNowのコンセプト。そのために、既存のシステムを作り変えるのではなく、オーケストレートするのがNow Platformだ」と説明した。
そのためにServiceNowでは、デジタルワークフローのテクノロジーを根幹に、さまざまなポータルやアプリケーションを提供している。
具体的には、Customer Workflowや、Industry Workflow、Employee WorkflowといったワークフローのアプリケーションをSaaSで提供している。また、ノーコード開発のプラットフォームであるCreator Workflowも提供している。
そして、こうしたワークフロー製品群を支えるプラットフォーム全体がNow Platformだ。
原氏はUtahリリースのコンセプトとして、3つの柱を紹介した。
1つめは「シンプルなエクスペリエンス」。よりユーザビリティに優れ、コンシューマーサービスと同じようなエクスペリエンスを提供するというものだ。これには、「Theme Builder」や「Workspace Lease Administration」などが該当する
2つめは「目的に応じた自動化」。Now Platform上のアプリケーションで自動化やプロセス最適化を推進するために、プラットフォームからのサポートを大きく拡充している。これには「Process Optimization」や「Workforce Optimization」などが該当する。
3つめは「組織全体のアジリティ」。時代の変化に柔軟に対応していかなければならない組織にアジリティを提供する。これには「Health and Safety」や「Security Incident Response Workspace」などが該当する。
プロセス最適化などの新機能
Utahリリースの主な新機能については、ServiceNow Japan合同会社の古谷隆一氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長)が紹介した。
仕事の処理を最適化する 「Process Optimization」 アプリケーションは、ITサービスを管理するITSM(Information Technology Service Management)だけでなく、Field Service Management(FSM)など、Now Platform内のほかの機能のワークフローをサポートするように拡張された。ServiceNowが取得しているビジネス状況の情報から、Now Platformの持つプロセスマイニングの機能によりプロセスを発見し、AI/MLを利用した分析によりボトルネックをピンポイントで特定する。
Process Optimizationについては、古谷氏がデモも見せた。デモしたサンプルは、人事部門の処理が遅くなって社内の効率が下がっているケースだ。
まず「サマリーとインサイト」で全体の傾向を表示し、「ボトルネック分析」でさまざまな処理(プロセス)をステータスごとに分類して表示した。
また「バリアント分析」では、プロセスをその中のステップの経路ごとに分類し、その平均時間順に表示。それにより、多い時間がかかっているプロセスは長いステップを踏んだものであることや、完了してクローズしたあとになぜか対応中に戻っているものもあることがわかるところを示した。さらにそこからプロセス分析を表示して処理経路を可視化して、プロセスが下から上に戻ってしまっているものや、その発生状況などがわかるところも見せた。
チームのスケジュールやチーム割り当てを可視化する 「Workforce Optimization」 は、ITSMやCustomer Service Managementだけでなく、HR Service Delivery などの分野のワークフローをサポートするように拡張された。また、AIを活用したスキルや学習レコメンドで学習機会を創出したり、過去のプロセスに基づき需要の予測を判断し可視化したりできる。
「Health and Safety」 は、Utahリリースで新しく追加された。従業員がセルフサービスで安全事故やヒヤリ・ハット、傷病などを報告することで、安全管理チームが調査を行い、是正や予防を講じることを可能にする。また、OSHA(労働安全衛生庁)インシデントログや年次サマリーのエクスポートによるコンプライアンス遵守の機能も持つ。
「Security Incident Response Workspace」 は、San Diegoリリース以降で提供されている「Next Experience」の一部として提供される。セキュリティインシデントの初期分析から封じ込め、根絶、復旧までのライフサイクルを、一元的なワークスペースで検証できる。
「Workplace Lease Administration」 も新しいアプリケーションで、オフィス施設管理者がさまざまなリース契約を一元管理できるようにする。
「Next Experience」には、今回 「Theme Builder」 が追加された。Next Experience上で、Web UIについて自社のブランドテーマを簡単に作成し管理できるようになっている。本番適用前にプレビューすることもできる。
また、自動テーマ生成機能により、アプリのワークスペースやWebポータルにもブランディングを簡単に追加できる。さらにUtahリリースからは、Next ExperienceのUIがServiceNowモバイルアプリのデフォルトスタイルとなるため、Webとモバイルで一貫したビジュアルエクスペリエンスを実現する。
「日本で1300億円規模のビジネスを目指す」
原氏は、ServiceNow Japanの2023年のビジネスについても説明した。
ServiceNow Japanでは1月より新しく鈴木正敏氏が日本法人社長に就任した。それと同じタイミングで、ServiceNow JapanがAPACから、米国本社の直轄組織に昇格している。
その背景として原氏は、2022年の日本のビジネスが堅調に成長が見られたことと、特に非IT領域での顧客が大きく増加してDXで大型の契約があったことを挙げた。
そして日本でのビジネス拡大のために、マーケットの成長とあわせて大手パートナーとの協業も加速していることや、カスタマーサクセスのためのServiceNow Impactのローンチとその日本での契約、エグゼクティブに知ってもらうためのブランディングへの投資、ServiceNowデベロッパーコミュニティへのリーチの拡大などを実行する状況が、2023年度に整ったと述べた。
今後については、日本でCACV(累計契約額)で1300億円規模のビジネスを目指していきたい、と原氏は語った。