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デロイト トーマツ、渋谷区職員ポータルサイトをServiceNowの「HR Service Delivery」で構築

 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、デロイト トーマツ)とServiceNow Japan合同会社は4日、東京都渋谷区の職員用ポータルサイトを、ServiceNowの製品である「HR Service Delivery(HRSD)」を導入して構築したと発表した。このポータルサイトで、職員に対する周知や問い合わせ管理、各種申請などのワンストップな運用が可能になり、HRSDが自治体の職員用ポータルサイトに採用されるのは全国で初めてだという。

 HRSDは、ServiceNowのNow Platform上で運用され、さまざまな部門のメンバーが統一されたプラットフォーム上で各種の業務ができるSaaS製品。

 渋谷区ではこれまで、職員が必要とする情報は全庁ポータルサイトのほか、課の独自サイトやファイルサーバーなどに散在し、検索が難しく、欲しい情報にたどり着くまでに時間がかかっていた。庁内の問い合わせはチャットやメール、電話など複数のツールを使い、回答する側の情報共有や負荷の分散ができず、業務量の可視化もできていない課題があった。

 一方で、多くの自治体と同様に、人口減で将来的な職員不足が予想され、内部事務の効率化や業務の高度化が急務になっていることから、こうした課題をポータルサイトの一元化で解決し、職員が本来の業務に十分な時間をかけられるようにするため、2022年度からHRSDを導入して新たな職員ポータルサイトの構築プロジェクトを進め、2023年5月に運用を始めた。

 新たな職員ポータルサイトは、業務システムへのリンクや周知用掲示板などを集約し、各主管課からのお知らせや作業依頼を職員の属性に応じて一括配信。職員からの問い合わせとその対応を集約し、チャットボットでの回答も導入。各主管課に対する庁内申請業務の電子化、各部門同士の連携管理といった特徴を備える。

 渋谷区の在籍職員数は約2700人。職員用のポータルサイト機能を統合管理してから約4カ月が経過し、成果として問い合わせ対応業務において月間平均50時間削減を実現するとともに、他部署からもポータルを利用した業務改善提案が見られるなど、住民サービスにより注力できる環境が醸成されつつあるという。

 具体的には、1)問い合わせの自己解決率が上がり、定型的な問い合わせのリードタイムが削減された、2)問い合わせを受ける側は、担当者タスクの平準化が実現でき、さらに特殊問い合わせについては対応履歴を参照できるので経験の浅い職員でも対応可能になった、3)申請手続きは、処理がどこまで進んだのかワークフローが可視化されることにより問い合わせが減った、4)対象者を指定したタスク配信により、リマインドをしなくても着実な処理実行が行えるようになった、5)BYOD(個人所有の携帯端末)で移動中や隙間時間にも職員ポータルをチェックできるようになり、情報連携が密になった――といった効果が挙げられている。

 また、ローコード開発が可能であるNow Platformを採用したことで、将来的には職員自らが必要な機能を拡充し、継続的な改善や次なるDXにつなげられるとしている。