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ServiceNow、最もAIにフォーカスしたNow Platformの最新リリース“Xanadu”を紹介
2024年9月27日 06:00
ServiceNow Japan合同会社は25日、Now Platformの最新版「Xanadu(ザナドゥ)」に関する説明会を開催した。ServiceNowは、春と秋にプラットフォームのアップデートを行っており、Xanaduは9月に発表が行われた最新版となっている。さまざまな機能が加わった中で、注目度が高い新機能が生成AI「Now Assist」の機能強化だ。業界ごとのユースケースに特化したAIで業務を最適化することが可能になり、さらに、新たに加わった「Now Assist Skill Kit」によって、実際のアクションにつながるAIを人々のために活用できる。
同社・常務執行役員 COOの原智宏氏は、「Xanaduは最もAIにフォーカスしたリリースとなっている。AIにフォーカスした機能だけでも、数百のエンハンスメントが行われている。AIは独立した形で用いられるべきではなく、業務を実際に推進していくための環境に組み込まれ、価値を発揮していくと考えている。我々のプラットフォームは、業務を推進していくために活用されるもので、AIを組み込むことでさらに業務改善につなげていくことができるのではないか」とアピールしている。
今回のアップデートのポイントは、大きく次の4点。
1)データベースにRaptor DB Proを採用し、超大規模かつ高性能データベースがAIアプリケーションの需要に対応してパフォーマンスを最適化するなど、将来を見据えたスケール可能なコアテクノロジーの強化
2)Now Assist業界別ソリューション拡張により、テレコム、メディア、金融サービス、公共機関などの業界別ソリューションにNow Assistを拡張する、業界ごとのユースケースに特化したAIで業務を最適化
3)実際のアクションにつながるAIを人々のために活用するために、「Now Assist Skill Kit」を新たに提供し、チャット、電子メールの返信生成、LLMベースのプロアクティブプロンプト、AIエージェントによるパーソナライズされた業務サポートを提供
4)企業全体の生産性を高め、サービスと業務の回復力を強化するために、エンタープライズアーキテクチャ対応の強化、サービスリライアビリティ管理、従業員センターの誘導型セルフサービスなどを提供
その中でもトピックとなっている生成AI機能については、「既に導入している企業がどんな効果をあげているのかを説明することが、一番わかりやすい説明となるのでは」とし、ServiceNow自身の導入成果と、ブリティッシュテレコムの導入事例が説明された。
ServiceNowでは、従業員の生産性向上のためにNow Assistを活用した。これは、従業員サーベイの結果、社員が数多あるソースから情報を探すことに多くの時間を費やしていることが明らかになったことが要因となっている。情報探索後、見つかった情報についても、古かったり正しい答えではなかったり、といったケースもあり、何度も情報探索を繰り返すケースも多かったという。
この課題を解決するために、複数のソースからNow Assistを使い、従業員の検索作業をシンプルなものにするとともに、文脈に沿った適切な答えが迅速に探し出せる環境へと改善を行った。その結果、どこかに問い合わせることなく社員自身で問題検索した回数は80万回となった。また、社員の離職率も14%改善した。
ブリティッシュテレコム(BT)では、Now Assistを導入し、カスタマーサービス変革に取り組んだ。最初に、プラットフォームファーストのアプローチにより、タスクをよりスマートかつ迅速に遂行するために、強固な基盤構築を実現。その上で、Now Assistによるケースノートの自動生成を利用し、問題解決を迅速化して、より良い顧客体験を提供する体制を整えた。
こうして、包括的で適切なセルフサービスオプションを提供することにより、顧客アクセスを拡充。その結果、コンタクトセンターのエージェントが問題解決するためでの時間が平均33%改善し、ケースノートに目を通す時間が55%削減され、顧客への対応内容を社内文書としてまとめる時間も55%削減することに成功したという。
「ブリティッシュテレコムの事例は、当社ではなくブリティッシュテレコム自身が内外に公表している成果となっている」(原常務執行役員)。
そして、このような業務効率化を実現する要因となっているのが、データプラットフォーム、業務のユースケースに合わせて構築された業務特化型AI、組織横断のAIを備えたワークフローによるアクション――という3つの要素だと説明した。
ServiceNowでは、データについてはRaptor DB、AIについてはServiceNow LLM、アクションについてはWorkflowsとNow Assist Skillをそれぞれ提供している。
「今回のXanaduのエンハンスメントは、この3つの要素をさらに強化するものとなっている。Raptor DBは、従来のデジタルWorkフローがサポートしていた、トランザクションをよりスケーラブルに受け止めるだけでなく、AI、プロセスマイニング、アドホックなクエリーやレポーティングといったものにも十分耐えられるスケーラブルなデータベースとなった。外部のデータレイク等にデータを出す、外部プロセスマイニングエンジンにデータを出すことなく、ServiceNow自身で作業を完結することができる」(原常務執行役員)。
LLMについては、以前から業務特化型モデルと、OpenAI、マイクロソフト、GoogleなどのBring Your Own Modelサポートという2種類に対応してきた。今回、このBring Your Own Modelをさらに拡大し、複数のLLMの持ち込みや、ユーザー自身が構築したモデルに対してもAPIを提供していく。
アクションについては、Now Assistによる業務のユースケースに基づいた生成AIスキルが直接業務改善を行い、価値実現までを迅速化する。インシデントやケースの要約、チャットの要約などセキュアでコンプライアンスを順守した生成AIスキル群を用意することで、業務改善につなげていく。また、Now Assistによる推奨アクションの提案によって、適切な文脈でエージェントに回答を提供するとした。
オリジナルのカスタムスキルを必要とする企業に対しては、新たなNow Assistスキルの構築、テスト、設定、公開を簡単に実現する機能を提供している。
こうした機能拡充とともに、他社とのパートナーシップにも対応。マイクロソフトとの戦略的パートナーシップによって、Now AssistとMicrosoft Copilotとの連携も実現している。
原常務執行役員は、「生成AI導入を考えるユーザーの皆さまに対しては、現在の業務のどこにボトルネックかを伺い、生成AI導入によって改善が図れるのではないかといった検討を行うことをお勧めしている。自社で課題が明らかにならない場合には、当社が改善ポイントを見つけ出すお手伝いをすることもできる」と説明。業務のボトルネック改善に向け、生成AI活用を進めていくことをユーザーにアピールした。