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OCIが選択される4つの理由とは? 日本オラクルがクラウドの強みをアピール
4種類のハイブリッドクラウドソリューションも展開可能
2021年3月17日 06:01
日本オラクル株式会社は16日、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に関するハイブリッドクラウド製品戦略についてオンライン説明会を開催した。
同社 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治常務執行役員は、「システムのモダナイゼーションやDXの推進のためには、ハイブリッドクラウド戦略が重要である。オラクルだけが、最も包括的なハイブリッドクラウドソリューションを提供できると考えている。今後も継続的に必要とされるサービスを開発するとともに、導入を通じて得られたベストプラクティスを横展開し、お客さまのビジネスの成長に貢献したい」述べた。
会見の冒頭、OCIが選択されている理由として、竹爪常務執行役員は、従来のパブリッククラウドでは難しかった性能、セキュリティ、拡張性、データ管理を、一から再設計したことで実現する「ミッションクリティカルワークロードの容易な移行」、従来のクラウドでは実現できなかった「最良の性能と安価なコストによる最適なROIの実現」、インフラの暗号化やテナントの分離だけでなく、「データ中心のあらかじめ組み込まれたセキュリティの実現」、40年以上培ってきたデータベースの自動化、10年以上培ってきたエンジニアドシステムによるハードウェアの自動化、それにAIや機械学習を組み合わせることで実現した「自律化データベースによる簡素化された管理」、そして、オラクルのパブリッククラウドの機能を、場所を問わずに提供できる「ハイブリッドクラウド戦略の完全なサポート」の5点を挙げた。
「東京データセンターを開設して2年弱が経過し、大阪データセンターを開設して10カ月が経過した。日本におけるOCIの活用が増加しており、エディオンではExadataで動いていた基幹システムをクラウドサービスへと完全移行。オカムラでは、他社のデータウェアアプライアンスを、オラクルのAutonomous Databaseに移行した例などがある」などと、国内における先進的事例を示してみせた。
4種類のハイブリッドクラウドに対応するオラクルのクラウド
一方、日本オラクルでは4種類のハイブリッドクラウドに対応できることを強調した。
ひとつめは、ハイパースケール・クラウド・リージョンに対応した「OCI public region」である。
竹爪常務執行役員は、「パブリッククラウドは、デプロイメントサイズが大きいと、構築コストは高くなり、サービスの数は広がり、その分設置する場所は限定的となる。こうしたニーズで求められるハイパースケール・クラウド・リージョンは、コントロールプレーンとデータプレーンの統合により、オペレーションを分離した自己完結型の仕組みとなっている」と前置き。
「OCIは、全世界29リージョンで展開しており、カバレッジでは他社に劣らない。デュアルリージョンをサポートしている国も増やしている。共通の顧客が多いマイクロソフトとの直接接続を行うためのAzure Interconnectリージョンは、世界に6カ所ある。エンタープライズユーザーが必要としているディザスタリカバリにも対応できる体制を強化した。日本でも、東京、大阪のデュアルリージョンに加えて、東京でのAzure Interconnectを用意しており、顧客の幅広い要件に応えることができる」と、大規模なデプロイメントにも対応できることを示した。
2つめは、シングル・サーバー・ディスコネクテッド・エッジ・デバイスの領域だ。AWSのSnowball Edgeや、マイクロソフトのAzure Stackなどが提供されている分野であり、ネットワークが完全に切断された状態でも運用可能でき、あらゆる場所に設置が可能だが、提供されるサービスの数は限定されているというものである。
ここでは、新たに投入したOracle Roving Edge Infrastructureを紹介した。
「耐久性があり、ポータブルであり、拡張性を持ちながら、OCIの基本的な機能を提供。シングルデバイスとしての利用だけでなく、5~15ノードのクラスタ構成も可能になる。また、ネットワーク接続がない環境においても、低遅延で高性能なデータ処理と、カスタムアプリケーションを稼働させることができ、OCIと同等の使用感を実現できる。ネットワーク接続時にはパブリッククラウドのオブジェクトストレージと自動的に同期することができる」とした。
Oracle Roving Edge Infrastructureは、データの近くにあるエッジとして、あるいはネットワークが安定してつながらない場所や低速の場所などで、データ収集やデータの前処理のニーズとしての利用を想定。「病院や工場、農場、船舶、防衛、災害現場などのエッジでの利用を見込んでいる。他社が提供する同様のソリューションに比べて、OCPUの性能やストレージ容量、機械学習に必要なGPUの搭載など、性能面で優れているのが特徴だ」と述べた。
3つめが、リモート・テザー・コンピュート・ストレージ・アプライアンスである。パブリッククラウド側でコントロールプレーンを動作させ、ローカル側ではデータプレーンを動作させる仕組みで、一部もしくはすべてのサービスのために、パブリッククラウドへの接続が必要になる領域だ。フットプリントが小さいため、顧客のデータセンターなどに設置できるメリットを持つ。
ここでは、OCI Exadata Cloud@Customerが当てはまるとする。
「OCI Exadata Cloud@Customerによって、Exadataをお客さまのデータセンター内で展開でき、パブリッククラウドの特徴である運用性、柔軟性、性能を実現可能だ。継続的な進化を遂げており、OCI Exadata Cloud@Customerの上で、Autonomous Databaseを動作させ、自律化したデータ管理を実現したり、最新のパーシステントメモリによって、高速なOLTPとデータウェアハウスを実現したりできるようになった」とした。
2021年1月には、NTT西日本がExadata Cloud@Customerを導入。自治体、教育機関、企業に対してアプリケーションサービスを提供する「地域創生クラウド」の拡大に向けて、それを支えるデータベース基盤、クラウド基盤として利用しているという。
さらに、日本オラクルしか提供ができないハイブリッドクラウド環境として、OCI Dedicated Regionを挙げた。これが4つめの領域だ。
「OCI Dedicated Regionは、オラクルがリージョンで提供するOCIのすべての機能を、お客さまのデータセンターに展開できるものであり、性能やセキュリティ、データ主権といったパブリッククラウドの課題を解決しながら、パブリッククラウドのメリットを100%活用できる。データセンターのなかにケージで区切りを入れて、オラクルが設置、運用を行うことで、OCIと同等のサポートとSLAが提供され、課金体系も同等となる。SaaSを含めて、65以上のサービスが利用可能であり、リリースサイクルはパブリックリージョンのサイクルと同期している」とした。
OCI Dedicated Regionの第1号ユーザーである野村総合研究所の竹本具城常務執行役員は、「オンプレミスとしての高可用性を維持しつつ、シームレスな拡張が実現できること、SOC2やFISCなどに準拠した高度な金融統制が維持できること、また、オンプレミスの運用負荷が大幅に軽減されるというメリットがあり、オンプレミスに導入していたリソースをDXなどにシフトできる。また、高い可用性を維持しながら性能を向上させることができる」などとした。
なおOCI Dedicated Regionは、オマーン政府が導入し、120を超える政府および準政府機関のIT運用の標準化を実現しているほか、Australian Data Centersが、政府に対して、独立したクラウドサービスを提供するために、Oracle Dedicated Regionを選択したという。
Oracle Cloud VMware Solutionによるハイブリッドクラウド戦略
一方、クラウド仮想化環境の管理特性という観点から、同社のハイブリッドクラウド戦略についても説明が行われた。
「オンプレミスでVMwareを運用しているユーザーは、マネージド・サービス・プロバイダに委託しているような管理レベルが低いケースと、お客さま自身で管理している管理レベルが高い場合とに分かれる。また、日本ではSIerが個別の要件にあわせて、VMwareの環境を開発、運用しているケースも多く、これも高い管理レベルのなかに含まれる。こうしたユーザーがクラウド移行を考える時に、必要なサービス、リソースを必要な量だけ、必要な時に利用したい、利用した分だけコストを支払いたいといったパブリッククラウドのメリットを享受しながら、高い管理レベルでの運用を求めることになる。そこに解決策を提案するのがOracle Cloud VMware Solutionになる」とした。
Oracle Cloud VMware Solutionは、ほとんどのリージョンで利用が可能であり、北米のガバメントリージョンやDedicated Regionでも利用可能だという。OCIで提供する65以上のサービスとの連携が可能であり、ソフトウェアアップグレードや暗号化キーなどをユーザー自身が管理。最大64ノードまでの拡張性を持ち、3328のOCPUや147TBのRAM、9.79PBのNVMe SSDストレージをサポートする。
日本では、すでに数社のユーザーおよびパートナー企業が利用しているという。
ヴイエムウェア 執行役員 ソリューションビジネス管掌の秋山将人氏は、「Oracle Cloud VMware Solutionのリリースにあわせて、オラクルは、VMware Cloud Provider Partnerの一員となり、お客さまは、仮想基盤上のワークロードをOracle Cloud VMware Solutionでも利用できるようになる。オンプレミスと、シームレスに連携、管理、運用でき、VMwareにとっても、ハイブリッドクラウド戦略を加速させるものになる」と述べた。