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Oracleが新プログラム「Oracle Support Rewards」発表、クラウドをより多く利用すればサポート費用を節約可能に

OCI利用料金の25%をサポートリワードとして顧客に還元

 米Oracleは22日(米国時間)、新たなサポートプログラム「Oracle Support Rewards」を開始すると発表した。

 同社のオンラインイベント「Oracle Live」にて、ラリー・エリソン会長兼CTOが発表したもので、新たに「OCI Universal Credits(UCM)」を購入し、OCI(Oracle Cloud Infrastructure)を使用すると、25%のサポートリワードを得ることができる。また、「Oracle Unlimited License Agreements(ULA)」の契約者は33%のサポートリワードを獲得できる。日本においても、同プログラムを開始した。

 取材に応じた米Oracle OCI プロダクト・マーケティング担当バイスプレジデント(VP)のロス・ブラウン(Ross Brown)氏は、「OCIを1ドル利用すると、Oracleが提供するテクノロジー製品ライセンスのサポート費用が25セント削減される。Oracle Unlimited License Agreements(ULA)の契約者であれば、1ドルに対して33セント削減される。このプログラムによって、従来のオンプレミス製品からクラウドに移行する場合、エンタープライズのために構築されたOCIに、コストを削減しながら移行できる。長期間利用すればするほど、大きな効果が見込めるプログラムである」と説明。「ここで得られたリワードが適用できるのは、2021年11月ぐらいになると見ている」とした。

 ULA契約企業のOracleのテクノロジー製品のライセンスサポート費用が50万ドルだった場合、150万ドル分のワークロードをオンプレミスからOCIに移行することで、サポート費を100%削減できるという。

 「今回のプログラムは、オンプレミスからOCIへの移行を促進するためのものである。25%というレートにしたのは、顧客にとってもOracleにとっても意味のあるものにしたいと考えたためだ。もし10%の還元率であれば、OCIを選ばなくてもいいと思われるが、25%であれば、意味を持ったコスト削減へとつなげることができる。魅力的に感じてもらえるものにしたかった」と述べた。

 また「クラウドは使い始めてから徐々にワークロードが拡大することになる。最初は小さくスタートした場合にも、急速に利用が増えた場合にも、逆に利用が減少した場合にも、25%が妥当だと考えた。魅力的なリワードプログラムとして提供したい」と語っている。

 なお対象となるのは、OCIの利用に関わるライセンスであり、WindowsやVMwareなどのサードパーティーのライセンスは対象外となる。また、ボリュームディスカウントに対応でき、50万ドルのライセンス利用企業は、サポートリワードで得られる25%とボリュームディスカウントで得られる10%分の合計、35%分を利用できる。

 ブラウンVPは、今回のプログラムの位置づけを「企業の投資を守るためのプログラムであり、Oracleがソフトウェア企業として成功していくため、よりよいサポートを提供していくためのものである」と語る。

 同社では、2032年までE-Business SuiteやJD Edwards、PeopleSoft、Siebel、Hyperionといった製品をサポートするほか、プラットフォームを移行しても同じメンテナンスコストで維持できるライセンスプログラムなどを提供しているが、これらと同じ考え方に基づくものだとした。

 またOracleでは、クラウドへの移行を促進するために「Oracle Universal Credits」、「Oracle Bring Your Own License(BYOL)」、「Oracle Customer to Cloud」、「Oracle Cloud Lift」プログラムなどを用意しているが、今回の「Oracle Support Rewards」も、これらと同様にクラウドへの移行を促進するための施策と位置づける。

 「Oracleは、テクノロジーを進化させるだけでなく、透明性の高いプログラムによってOCIを利用してもらい、その投資から大きな価値を得てもらうことができる」と話している。

米Oracle OCI プロダクト・マーケティング担当バイスプレジデント(VP)のロス・ブラウン氏

 なおOracleのエリソン会長兼CTOは、「OCIは、Oracleのなかで最も成長率の高い事業となっている。その理由は、最も要求の厳しいミッションクリティカルなワークロードを、オンプレミス環境よりも速く、確実に、安全に実行できる独自の第2世代クラウドインフラプラットフォームであるからだ。第2世代のOCIを、より多くの企業に活用してもらいたい。Oracle Support Rewardsプログラムによって、ソフトウェアのサポート費の削減とクラウド導入の迅速化を同時に実現できる」と自信をみせる。

 またブラウンVPは、「OCIへの移行は増えているが、より多くのオンプレミスユーザーをOCIに移行させたいと考えている。その際に、より多くの顧客に、Oracleをクラウドプロバイダーとして選択してもらいたい。Oracle Support Rewardsプログラムはそのための支援策である」とする。

 その上で、「Oracleにとって、オンプレミスにおけるライセンスビジネスを維持することは重要だが、クラウドに支出をしてもらうために投資をすることの方が、もっと大切である。Oracleにとって、クラウドビジネスを拡大させることが成長の要だ。オンプレミスのライセンスビジネスは大きいが、クラウドビジネスは最も大きくなる。クラウド市場が拡大するなかで、他社のクラウドサービスやデータベーステクノロジーに移行されてしまうことの方がリスクである」とコメント。

 「Oracleは、クラウドの未来にコミットしており、ワークロードをクラウドに移行してもらうための還元策も用意した。これまでのオンプレミスへの投資に感謝し、クラウドへの移行を促進することを支援したい」と、自社の取り組みをアピールした。