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日本オラクル、顧客のDC内でクラウドサービスを提供する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」を提供

オンライン記者説明会レポート

 日本オラクル株式会社は13日、「Oracle Cloud Infrastructure」のリージョンを顧客のデータセンター内に設置するフルマネージドの新サービス「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」と、同サービスの一部となる「Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」を発表した。同日より提供を開始する。

Oracle Dedicated Region Cloud@Customerではパブリッククラウドと同等の機能を提供する

 日本オラクル 執行役 最高経営責任者のケネス・ヨハンセン氏は、Oracle Dedicated Region Cloud@Customerについて、「Oracle Autonomous DatabaseやOracle Cloud Applicationsなどのパブリッククラウドサービスが、顧客のデータセンター内で100%利用できる」と説明。同サービスの主な対象として「パブリッククラウドへの移行を進めているものの、規制やパフォーマンス、レイテンシーなどが要因でオンプレミスに残すべきワークロードを抱えている顧客」を挙げた。

ビデオメッセージにて会見に登場した日本オラクル 執行役 最高経営責任者のケネス・ヨハンセン氏

 Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customerについては、「Oracle Autonomous Databaseの自己稼働、自己修復、自己保護といった機能をすべて提供し、Exadata Cloud@Customerを介してオンプレミスでのデータベース管理者の役割を自動化する」(ヨハンセン氏)としている。

 Oracle Dedicated Region Cloud@Customerで利用できるオラクルのサービスは、コンピュートやストレージ、セキュリティ、ネットワーク、アプリケーション開発、データ管理、アナリティクスなど50以上におよぶ。オラクルが管理し運用するフルマネージドのクラウドリージョンとなり、オラクルのクラウドサービスを顧客の希望する場所で提供する。

50以上のクラウドサービスが利用可能

 日本オラクル テクノロジー事業戦略統括 常務執行役員の竹爪慎治氏は、「パブリッククラウドで提供しているさまざまな機能やSLA、APIも全く同じで、一貫性を持ったシステム開発が可能となる。データ管理についても、顧客側のデータに関する法規制やデータプライバシーの要望を満たす」としている。

日本オラクル テクノロジー事業戦略統括 常務執行役員の竹爪慎治氏

 竹爪氏は、グローバルでのパブリッククラウドの利用率が4割近くとなっている一方で、日本では2割強にとどまっているというデータを示し、「特にオラクルのインストールベースとなる基幹システムは2割に達していない」と指摘する。

 その理由として、コンプライアンスやセキュリティポリシーなどによって他社と同じスペースで自社データを管理することに抵抗感があることや、パブリッククラウドのパフォーマンスが課題視されていることなどを挙げるが、同時に「業界を超えた競争が激化しており、パブリッククラウドの利点となる柔軟性や迅速性を生かし、自社環境内でデジタルトランスフォーメーションを推進したいと考える顧客も増加している」(竹爪氏)として、今回の新サービスがこうした顧客の要望に応えたものだと述べている。

 新サービスの主なユースケースとして、竹爪氏は3点を挙げる。まず1点目は、金融機関や公的機関など、業界のコンプライアンスやセキュリティポリシーなどにより、オンプレミスと同等の要件が求められるケース。2点目は、既存システムとの密な連携が求められるハイブリッド環境で、以前からオンプレミスでオラクル製品を利用している顧客もこのケースに当てはまる。3点目は、パートナーが主体となってサービスを展開する際の基盤として利用するケースで、主に日本市場が対象となる。

 竹爪氏によると、この3つのケースすべてに当てはまる企業が株式会社野村総合研究所(NRI)だったという。NRIは、Oracle Dedicated Region Cloud@Customerを世界で初めて採用している。

想定されるユースケース

 NRI 常務執行役員の竹本具城氏は、Oracle Dedicated Region Cloud@Customerを採用した理由について、「Oracle Exadataがクラウドとして提供されることで、高可用性が維持できるほか、パブリッククラウドとしてのアジリティとコスト効果が期待できる。また、金融業界へのサービス提供事業者として、物理統制が確保できることや、オラクルの運営に対しNRIの統制ルールが適用できることも重要だった。さらに、さまざまなクラウドネイティブサービスが利用でき、エンジニアがデジタルトランスフォーメーション領域へとシフトできることもメリットとなる」と述べている。

野村総合研究所 常務執行役員 竹本具城氏

 Oracle Dedicated Region Cloud@Customerの価格は月額50万ドルからで、最低3年間の契約となる。月額50万ドルにて提供されるサービス内容など詳細な内訳は公開していないが、竹爪氏は「一般的なパブリッククラウドのスタートラインに近いサービスはすべて受けられる」としている。

Oracle Dedicated Region Cloud@Customerの価格