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三井不動産、商業施設の運営管理を担う基幹システムをOCIへ移行 処理の高速化やコスト削減効果を見込む

 日本オラクル株式会社は11日、三井不動産株式会社が、三井アウトレットパーク、三井ショッピングパークららぽーとなどの商業施設の運営管理を担う基幹システム、およびその災害復旧(DR)環境を、「Oracle Exadata Cloud Service」を含むOracle Cloud Infrastructure(OCI)上に移行したと発表した。システムはすでに稼働を開始している。

 三井不動産では、同社が全国に展開する商業施設の出店者契約や工事、施設管理などを担い、商業施設本部や出店者を含む3300人の業務ユーザーが利用している商業施設の運営管理システム基盤を更改するにあたり、従来はオンプレミス環境のOracle Databaseを活用していた既存の基盤と同等の性能を維持すること、DR環境の移行のために国内2拠点での運用が可能なこと、極力自社で資産を保有することなく基幹システムを運用する体制を整えられることなどを要件に、パブリッククラウドへの移行を検討していた。

 当初は、これまで利用していた他社クラウドサービスへのOracle Database移行を検討していたものの、そのクラウドサービスでは、移行対象の基幹システムで利用していたOracle RAC(Real Applications Clusters)と同等以上の性能・可用性を担保するためには、大規模な改修が必要で、時間やコストがかかることが見込まれ、大きな課題となっていたという。

 しかし、クラウド移行の可能性検討をさらに進めていく中で、OCIが東京に続いて大阪リージョンを開設し、国内2拠点での運用の要件を満たしたことから、OCIを選択肢に追加。さらに、オンプレミス環境と同様のOracle RAC構成に対応できる点を受けて、対象をOCIに絞り、OCI上での基本性能の維持から付帯サービスの稼働に至るまで、約半年をかけて徹底的に検証を行った結果、移行先としてOCIを選定している。

 その後、2020年9月から設計を開始し、インフラ環境の構築、データベースおよびアプリケーションの移行、稼働検証などの工程を経て、2021年10月にOCIへの切り替えを完了した。なお、クラウド移行の技術検証(PoC)、OCIの導入、移行支援は、株式会社システムエグゼが担当。移行による業務への影響は一切なく、スムーズなクラウド移行を実現したという。

 パフォーマンス向上の例として挙げられるのは、バッチ処理に要する時間で、以前の335分から162分へと、約50%の短縮を果たしている。またOracle Exadata Cloud Serviceによりデータベースのリストアが迅速化され、DR環境との切り替えに要する時間が240分から175分へと、約1時間短縮された。

 さらにクラウド移行により、5年ごとのハードウェア保守切れに伴うマイグレーションのストレスから解放されたほか、Oracle Management CloudのOracle Log Analytics Cloud Service、Oracle Infrastructure Monitoring Cloud Serviceを利用して、OCIのコンソールからシステムの稼働状況を把握でき、トラブル発生時に、被疑個所の特定のためにベンダーに問い合わせることなく、自ら確認できるようになったことなど、運用面でのメリットももたらされたとした。

 コスト面に関しても、オンプレミスで構築した場合と比較し、5年間のTCOで約30%の削減効果を見込むとのことだ。