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統計センター、政府統計共同利用システムを「Oracle Cloud Infrastructure」に移行

 日本オラクル株式会社は7日、独立行政法人統計センターが運用管理を行う政府統計共同利用システムにおいて、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の「Oracle Exadata Database Service」などが採用され、2023年1月に稼働を開始したと発表した。

 政府統計共同利用システムは、統計結果を一元的に提供する政府統計総合窓口(e-Stat)、インターネットを通じて統計調査の回答を行うオンライン調査システム(e-Survey)、企業・事業所向けの統計調査の基盤となる事業所母集団データベースなど、15のサブシステムで構成され、各府省や地方公共団体そして国民・企業など多様なユーザーにサービスを提供している。

 2019年には、OCI上でRDFデータの格納とSPARQLクエリをサポートする「Oracle Graph」および混合ワークロードを高速化する「Oracle Database In-Memory」を活用し、国勢調査や経済センサスなどの統計データをLinked Open Data(LOD)として公開する「統計LOD」を、e-Statのサービスの一つとして構築した。

 政府統計共同利用システムは5年のライフサイクルで設計されており、2022年12月に運用が終了した。この更改に際して、統計データ管理システムとして最適な情報セキュリティ、優れた柔軟性、可用性を実現するため、クラウドサービスによるシステムの構築が検討された。有事の際にも継続して利用できる構成とするため、国内リージョンでの災害復旧(DR)構成に加え、オンプレミス環境でもデータバックアップを保管でき、クラウドやネットワークの障害が発生した際にデータを即時に利用できる環境も求められていた。また、ユーザーの継続的な利便性向上を目的に、従前システムの課題に対応する機能の見直し、レスポンス時間などの向上も求められていた。

 今回の政府統計共同利用システムでは、OCIが求められる要件を満たし、2022年6月に採用された。「Oracle Exadata Database Service」の高い性能、「Oracle Database」のコンバージドデータベースエンジンによるさまざまなデータモデルやワークロードへの対応、日本オラクルのコンサルティング・サービス部門による構築支援実績が高く評価されたという。

 新しいシステムでは、秒単位で数万件の処理を必要とする登録システムから、繁忙期には数千万件の登録処理を4時間以内に完了させるデータベース基盤など、複数の異なる高性能要件に対応する。Oracle Databaseのコンバージドデータベースエンジンにより、JSON、CSV、テキスト、地理空間データ、RDFデータなどのデータが混在する15のサブシステム内で、異なるデータ形式の管理およびアプリケーション開発の複雑性を解消する。また、全ての格納データと通信を暗号化するOCIの標準機能に加え、「Oracle Cloud Guard」による、リスクある設定や行動の自動検知、「Oracle Data Safe」を活用したデータベースの構成や監査などのセキュリティ対策を自動化し、安心して利用できるサービス提供に向けたセキュリティの向上も図っている。

 統計センターでは、日本オラクルのコンサルティング・サービス部門の支援のもと、OCI上での新システムの本番環境、DR環境やオンプレミスのデータバックアップ環境の構築に着手した。システムおよびデータの移行、テスト運用を経て、約6カ月という短期間でオンプレミス環境からのリフト&シフトおよびデータ移行を完了し、政府統計の総合窓口(e-Stat)を停止することなく、2023年1月に稼働を開始した。また、オンプレミスからクラウドへの移行検討のフィジビリティスタディにおいては、無償のクラウド移行支援サービスである「Oracle Cloud Lift Services」が活用された。