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オラクル、OCIのコンピュート/ストレージ/ネットワークで11種類の新サービスを提供

 日本オラクル株式会社は16日、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)で提供するコンピュート、ストレージ、ネットワークにおいて、11種類の新たなサービスを発表した。

 米Oracle OCIプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのレオ・リョン氏は、「お客さまが、より低コストで、より高速に、より安全にワークロードを実行できるように、OCIのサービスを拡張した。コンピュート、ストレージ、ネットワークの3つの領域において最高のフレキシビリティを提供し、シンプルに利用でき、あらゆるワークロードに対応し、価値を体験可能になる。必要に応じた機能をきめ細かな形で提供できる。さらに今回の発表により、クラウドに移行する際にも、アプリケーションを緻密(ちみつ)にリライトすることなく、手ごろな価格で簡単に拡張できるようになる」と述べている。

米Oracle OCIプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのレオ・リョン(Leo Leung)氏

OCI Compute

 コンピュートでは、仮想マシンのホスティングの直接管理や、Kubernetesのオーケストレーションを行うことなくコンテナを利用できる「Container Instances」、NVMeドライブによる低レイテンシ(低遅延)のメリットを、リレーショナルデータベースやNoSQLデータベースなどの多様なデータベースワークロードで利用できる「AMD E4.Dense Compute Instances」、VMware環境でAMDベースの32/64/128コアの新しいコアオプションが用意され、他製品と比較して1ホストあたり2.5倍以上のメモリとCPUを利用できる「Oracle Cloud VMware Solution on AMD」――、の各サービスを提供する。

OCI Compute

 リョンバイスプレジデントは、「OCIは、さまざまなワークロードに対応するために、ベアメタルと仮想マシンを選択でき、コンテナにも対応している。多様なタイプのコンピュートを提供しているのはOCIの特徴だ。また仮想マシンのフレキシビリティにも注力している。最初は少ないコンピュート環境で稼働していたものの、ワークロードが変更し、機械学習のような多くのコアが必要となった場合には、OCIであれば、必要なプロセッシングパワーを追加し、そのまま使いつづけることができる。例えば、83コアの利用が必要に場合には、他社では128コア分の契約をする必要があるが、OCIでは、83コアだけを使うことができる」と、OCIのコンピュートの特徴について説明。

 さらに、「新たなContainer Instancesでは、シンプルなプロビジョニングが可能であり、必要となるマネージドサービスはOCIが提供する。AMD E4.Dense Compute Instancesはベアメタルサイドのサービスで、AMDの最新世代に対応。ローカルストレージを使用することで遅延を最小化できる。Oracle Cloud VMware Solution on AMDでは、VMware Cloud Foundationをas a Serviceとして提供し、低コストでプロビジョニングが可能になる。小さなフットプリントからスタートでき、クラウド上でVMwareを容易に活用できるようになる」と述べた。

OCI Storage

 ストレージでは、需要の変化に応じて、ブロックストレージボリュームの性能特性を自動的に変更できる「Performance-based Block Volume Auto-tuning」、ZFSファイルサーバーをOCI Block VolumesのRAWストレージに使用する「High Availability ZFS」を提供する。

 さらに、ほかのクラウドサービスと比較して、最大95%削減したコストで、最も高いSLAのエンタープライズアプリケーションにも対応する柔軟なサービスを実現するという。

2つの新サービスを提供

 「OCIのストレージの基本姿勢は、機能する仕組みや価格設定、オプションがシンプルであること、フレキシビリティがあり、一貫性の高い環境を実現していることが特徴である。ブロックストレージでは、他社に比べて50分の1の価格を達成しているだけでなく、2021年にはオートチューニング機能を追加し、最適なリソースとコストでの運用が可能になっている。そして、同じストレージサービスがパブリッククラウドでも、Oracle Dedicated Region Cloud@Customerでも利用でき、どんなワークロードにも対応できる包括性なサービスとして提供している点も大きな特徴である」とした。

 加えて、「新機能により、アプリケーションのデマンドに基づいて、ブロックストレージのパフォーマンスとプライシングを自動的にチューニングできる、業界でもユニークな機能を提供するとともに、高可用性のZFSファイルストレージをOCIから利用できるようになり、より高いケイパビリティを提供できる」と語った。

OCI Storageの特徴

OCI Networking

 ネットワーキングでは、新たに6つの機能を発表した。

 「ここ数年、さまざまな機能を追加することで、フレキシビリティを高め、セキュリティを向上し、管理をシンプルにしてきた。ここで提供するネットワーク機能により、OCIの仮想クラウドネットワーク(VCN)にセキュアに接続し、ワークロードのために分離されたセキュアな環境を、動的に構築できるように支援できる」と前置き。

 「新機能についても、フレキシビリティ、セキュア、シンプルという3つの観点から強化を図るものになる」と位置づけた。

 3つの観点のうちフレキシビリティでは、地理的に分散したネットワークにおいて、エンドユーザーに最も近いロケーションから、デジタルコンテンツを配信する「Content Delivery Network Service」、Cloudflareなど特定のサードパーティのCDNプロバイダを利用し、ダイレクトにピアリング接続を確立することでOCI Object Storageのアウトバウンド帯域を無料で提供する「Content Delivery Network(CDN) Interconnect」、ロードバランサーでのWeb HTTPレスポンスのキャッシュと圧縮に対応し、レスポンスタイムの改善が期待される「Web Application Acceleration (WAA)」の3つを提供する。

 またセキュリティでは、一般的なセキュリティ上の弱点を突く攻撃から、アプリケーションを保護できる単一のWAFポリシーを定義する「Flexible Web Application Firewall(WAF)」を用意した。

 さらにシンプルでは、OCI Networkで帯域外でのパケットキャプチャやインスペクションができ、パフォーマンスに影響を与えることなく、トラブルシューティングやセキュリティ分析、データ監視を容易に行える「VTAP」と、構成ベースの接続性チェックを実行し、ネットワークパスを、パス内の仮想ネットワークエンティティに関する情報とともに可視化でき、コンフィグレーションのチェックも可能にする「Network Visualizer」を提供する。

OCI Networking

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 OCIは、現在、37カ所のグローバルリージョンで展開し、今後3カ月で7つのリージョンを追加し、2022年末までに合計44リージョンに拡大することになる。

 また、OCIの使用量は第2四半期(2021年9月~11月)には前年同期比86%増、最新の第3四半期(2021年12月~2022年2月)では93%増となっており、高い成長率を維持しながら、さらに増加傾向にあることを示した。

 「OCIは、多くの業界の顧客が利用している。金融、サービス、サプライチェーン、物流のほか、AIやHPCでも活用されている。目指しているのは、最大のフレキシビリティがありながらも、シンプルなサービスを提供することである。より優れた形で、さまざまなワークロードに対応したい」と述べた。

 なお事例として、SoundHoundでは音声AIプラットフォームにOCIを活用。FedExでは1510万個のパッケージのデリバリー管理にOCIを活用しているという。またLyftでは、OCIで提供するOracle Autonomous DatabaseやAnalytics Cloudの導入により、決算発表の迅速化とオペレーションの改善を実施しているとのこと。さらに、ある自動車メーカーでは、自動車の設計にOCIを活用している例もあると述べた。