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ヤマハがハイエンド無線LAN AP「WLX413」を発表、同社初のWi-Fi6対応製品

 ヤマハ株式会社は18日、同社製品として初めてWi-Fi6に対応した無線LANアクセスポイント「WLX413」を発表した。従来製品を大きく上回る最大500台の端末を接続可能なほか、トライバンド対応などの特徴を持ち、ヤマハのラインアップではハイエンド製品に位置付けられる。

 価格は24万8000円(税別)で、3月の発売を予定する。なお、従来のハイエンド製品である「WLX402」も併売となる予定。

WLX413

 WLX413は、最新の無線規格であるWi-Fi6(IEEE802.11ax)、4×4 MIMOに対応したアクセスポイント。単に高速通信を行えるだけでなく、1つの2.4GHz帯(IEEE 802.11b/g/n/ax、最大1147Mbps)と2つの5GHz帯(IEEE 802.11a/n/ac/ax、最大2402Mbps)の、合計3つの周波数帯(バンド)を同時に利用可能なトライバンド対応を実現している。また、そのスループットを十分に生かせるよう、有線LANのインターフェイスを10GBASE-Tや2.5G/5GBASE-Tにも対応させた。

 Wi-Fi6の高速通信や新技術であるOFDMA、4本の内蔵アンテナによるMU-MIMOにより、機器全体で最大500台(2.4GHz帯:100台、5GHz帯:200台×2)の同時接続に対応できる点が最大の特徴で、多数の端末を1台に収容したいといったニーズにも応えられる。

 加えて、すでにトライバンド対応していたミッドレンジモデル「WLX313」と同様、2つの5GHz帯を生かして、航空・気象レーダー波を検出した際も別の5GHz帯に切り替えて60秒間の通信切断を防ぎ、途切れのない通信を実現するFast DFS機能をサポートしている。

 管理機能としては、単独での管理のみならず、クラウド型ネットワーク管理サービス「YNO」に対応し、ネットワーク上にあるWLX413とローエンドモデル「WLX212」の設定や監視、ファームウェアアップグレード、接続端末の監視といった遠隔からの一括管理を実現した。製品には、最大1年間無償で使える「YNO」ライセンスが付属しており、2年目以降もライセンスを購入すれば継続して利用できる。

クラウド型ネットワーク管理サービス「YNO」に対応

 オンプレミスでの管理についても、WLX212から新たに搭載された「クラスター管理機能」をサポートしており、無線LANコントローラなどの専用製品を用意することなく、複数台のWLX413とWLX212を一括管理可能。クラスター管理機能では、LANに接続して電源を入れるだけで設定が完了する「ゼロコンフィグ機能」も利用可能となっており、管理手法がクラウド/オンプレミス管理のどちらの場合でも、アクセスポイントの追加・交換を容易に行えるとのこと。

クラスター機能によって、容易な増設・交換を可能にしている

 なお、従来製品で好評だった、無線LAN環境の見える化機能、RADIUSサーバー機能(最大4000件)、ヤマハネットワーク製品と連携したLANマップ機能、WPA3やWi-Fi Enhanced Openをサポートするセキュリティ機能、動作環境50℃対応などは引き続き搭載した。

 こうした特徴から、ヤマハではWLX413とWLX212を「第3世代」のアクセスポイントに位置付けており、両製品を組み合わせることで、広く無線LAN市場へヤマハ製品の価値を訴求していきたい考え。

 例えば、1台で多数の端末を収容できるWLX413を中心に設置したうえで、無線LANの見える化機能によって電波状況が悪いエリアを確認して、そこへ安価なWLX212を補完的に設置するといった組み合わせにより、設置時のサーベイを入念に行わなくとも、効率の良い無線LAN環境を構築できるという。しかもゼロコンフィグ機能によってアクセスポイントの増設は容易に行えるので、構築時の手間を削減可能とのことだ。

多数の端末を収容できる特徴を生かして、これまでにないネットワークの構築を行えるとした

 また今回はオプション製品として、IEEE 802.3bt(Class 6)に対応し最大60Wの給電が可能なPoEインジェクター「YPS-PoE-BT」も発表された。こちらも10GBASE-Tや2.5G/5GBASE-Tに対応しており、Wi-Fi6対応アクセスポイントや高機能なIPカメラなど、広帯域/大電力が必要なデバイスへのPoE給電用として利用できる。価格は3万4800円(税別)。

YPS-PoE-BT
スイッチとアクセスポイントなどの中間に設置し、イーサネットケーブル経由での電力供給を可能にする

 なおWLX413、YPS-PoE-BTはともに、2020年11月に開催された年次イベントにおいて製品化が予告されていたものだ。現時点ではヤマハのネットワーク製品ラインアップにおいて、10GBASE-Tやマルチギガビットに対応した製品はパワーインジェクターのYPS-PoE-BTに限られてしまうが、同イベントにおいては、スタンダードL3スイッチ、PoE++対応のインテリジェントL2スイッチの発売が予告されており、それらの製品が提供されれば“オールヤマハ”でのネットワーク構築が可能になる。

 また、Wi-Fi6対応のアクセスポイントについても現時点ではWLX413のみとなっているほか、第3世代アクセスポイントについてもWLX313に相当するミッドレンジクラスが存在しない。こうした製品が補完されてくれば、ヤマハの提案がより生きることになるだろう。早急な発表を期待したいところだ。