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Vibe Codingが急拡大 AI任せの開発に潜む「見えない脆弱性」

 「Vibe coding」が急速に普及している。プログラミング初心者のみならず、プロの開発者も利用して、驚異的な成果を生み出している。しかしその一方、手軽すぎてコードの詳細を理解せずに開発を進められることから、新たなリスクの恐れがあるという。もともとの生成AIコーディング自体の問題と相まって、セキュリティ懸念が浮上している。

現場にも広がる「身を任せるだけ」の開発

 OpenAIの共同創業者でAI研究者のAndrej Karpathy氏が「Vibe coding」を提唱して4カ月。「身を任せ、要求を出し続けるだけ」の開発手法は、広く開発現場で採用されるまでになっている。

 ニュースサイトのSemaforは、「Vibe codingがシリコンバレーのパワーバランスを変えるほどになった」と伝えている。Y CombinatorのCEO、Garry Tan氏は、2025年冬期(1~3月)のスタートアッププログラムの参加者の4分の1が「95%以上のコードをAI生成していた」とSemaforに語っている。「手書きのコードをまったく書かずにプロダクトを作った」という事例も次々と登場しているという。

 例えば、セールスエージェントスタートアップのOutlitは、1日14時間、LLM(大規模言語モデル)に指示して作業を代行させ、すべてをAIコーディングで行った。また強化学習スタートアップのTrainLoopはユーザーインターフェイス作成をVibe codingで行い、人間のデザイナーの採用はもう考えていないという。

 Vibe codingツールの伸長も目覚ましい。GitHub CopilotやWindsurf(Codeium)、Cursorのようなエディタだけでなく、Replit、Boltなどの統合型サービスも人気を得ている。新顔も次々に登場する。イスラエルのVibe codingプラットフォーム「Base44」は、Webサイト作成ツールのWixに8000万ドルで買収された。従業員8人、設立からわずか6カ月で25万のユーザーを獲得したスタートアップだ。

 Semafor自身も、Vibe codingで作成した「スタイルチェック」「ヘッドライン提案」「炎上ツイート予測」などのニュース業務アプリケーションを利用しているという。技術者ではない2人のジャーナリストが自身で開発したものだ。