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NTT AI-CIXとRetail AI、AIエージェントで流通サプライチェーンを最適化する新会社を設立
2025年7月9日 06:15
株式会社NTT AI-CIXと株式会社Retail AIは8日、AIエージェントで流通サプライチェーンの最適化を目指す新会社「株式会社Retail-CIX」を共同で設立したと発表した。資本金は1億円で、NTT AI-CIXとRetail AIが50%ずつ出資する。NTT AI-CIX 代表取締役社長の社家一平氏が、Retail-CIXの代表取締役社長を兼任する。
新会社では、流通サプライチェーンの業務最適化に向けたAIエージェントサービスやコンサルティングサービスを提供する。まずは、POSデータを活用した高度な需要予測と、業務プロセス間の連鎖型AIエージェントを用いたサプライチェーン最適化サービス事業を展開する。
新会社設立は、2024年1月に締結したNTT株式会社とトライアルホールディングス株式会社によるサプライチェーンマネジメント最適化実現に向けた連携協定がベースになっている。
トライアルホールティングス 代表取締役社長 兼 Retail AI 代表取締役CEOの永田洋幸氏は、「この協定により、業界のムリ・ムダ・ムラをなくして社会変革を実現する取り組みを推進してきた。初期サービスとして取り組んでいた補充発注最適化などの新サービスが実現できたことから、今後さらに事業を進めるために新会社を設立し、物流の効率化や、棚・店舗レイアウト設計などを含むプラノグラム、ターゲティング型マーケティングなどに取り組む」と述べている。
トライアルホールディングスとの取り組みでは、店舗作業のコストが20%削減できた事例や、店舗在庫が20%圧縮できた事例など、さまざまな成果が得られている。新会社の社長に就任した社家氏は、「今後は卸売業やメーカーと連携することで、生産と出荷計画の合理化や、製造現場の作業平準化、返品率や廃棄率の削減なども見込める」としている。
新会社のRetail-CIXでは、小売業向けに自動発注や棚割最適化を実現するサービスを提供するほか、卸売業向けに小売業と連携した需要予測で在庫最適化ができるサービスを提供する。また、メーカー向けには、小売業と連携して生産や出荷計画を最適化できる仕組みを提供する。
こうした機能を支える技術のひとつが、連鎖型AIエージェントによる最適化エンジンだ。上流と下流の需要をつなぎつつ、作業や物流リソースの効率化を考慮し発注をコントロールする。最終的には、共有可能なリソースの活用も含め、流通サプライチェーンの全体最適を目指す。
今後、複数の製造業者や流通業者、販売業者との連携を予定しており、既存の業界慣習による構造的な課題を連鎖型AIエージェントで解決するサービスを開発する。新サービスでは、需給の見える化や在庫圧縮、作業の標準化、配送の最適化によって日本の流通構造全体を再構築し、持続可能な商流モデルを実現するという。
Retail-CIXでは、2027年の黒字化を見込んでいる。すでに提供可能なサービスと、今後開発予定のサービスを組み合わせ、2030年ごろには数億円規模の事業を目指す。