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日本マイクロソフト、Windows Server 2008サポート終了に向けた移行支援策を強化

 日本マイクロソフト株式会社は8日、2020年1月のWindows Server 2008(R2を含む、以下同じ)のサポート終了などを見据え、企業が最新のOS環境へ移行するための支援施策を強化すると発表した。

 Microsoftのライフサイクルポリシーに従い、Windows Server 2008は2020年1月14日に、SQL Server 2008は2019年7月9日に延長サポートフェイズが終了。以降は、セキュリティ更新プログラムの提供を受けることができなくなる。このため日本マイクロソフトでは、サポート終了までに余裕を持って新しいOS環境へ移行するよう、企業に対して呼びかけてきた。

 執行役員 常務 パートナー事業本部長の高橋美波氏によると、2018年8月時点ではWindow Server 2008が稼働しているサーバーに、日本全国で54万台あるとのこと。

 また業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部 本部長の浅野智氏によると、このうち約52%がLoB(ラインオブビジネス:Web、アプリケーション、データベースなど)用途となっており、これらを移行させることが今回の施策の主眼になるという。

古いサーバーは何に使われているか
業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部 本部長の浅野智氏

 日本マイクロソフトでは、Windows Server 2008やSQL Server 2008からの移行後の環境として、最新のWindows Server 2016やSQL Server 2017を推奨しているが、アプリケーションなどを最新環境に対応させる時間がどうしても足りない、といったケースもあるだろう。そのため、サポート終了後も最大3年間、セキュリティ更新プログラムの提供を継続して受けられる、「延長セキュリティ更新プログラム」を提供する。

 ただしこれは、大企業向けボリュームライセンス(Enterprise Agreement:EA)の契約企業が、さらに追加コストを支払って利用できる特別なもので、広く一般に利用できるものではなかったという。

 そこで今回は、Microsoft Azure(Azure Virtual Machines)でWindows Server 2008を稼働させる企業向けに、「延長セキュリティ更新プログラム」を最大3年間、無償で提供することが発表された。

 浅野氏は、システム環境をMicrosoft Azureへ移行させれば、アプリケーションのコードを変更せずに利用を継続できるため、アプリケーション改修などにかける時間を稼ぐことが可能になると説明する。

 同社では、オンプレミスで稼働しているシステムを同じようにクラウドで動かす、いわゆる「リフト&シフト」を移行の選択肢の1つとして提唱しており、この施策によって、企業におけるクラウド利用をさらに加速させたい考えだ。

 もちろん、システム環境をどうしてもオンプレミスから動かせないものも存在するが、その場合は、最新環境へ移行するか、前述したようにEA契約での有償版「延長セキュリティ更新プログラム」を利用してもらうことになる。

 一方で、アプリケーションをリファクタリングし、コンテナプラットフォームへ移してしまいたい、といった企業もある。そうした場合などには、基本コンピューティング料金のみでMicrosoft Azure上でもOS環境を利用できる「Azureハイブリッド特典」を効果的に使うことにより、最大55%のコストを削減できるとアピールしている。

最新インフラへの移行方法
顧客のメリット

 もっとも企業の中には、自社のシステムのどの部分を、どこへ、どうやって移行したらいいのかを見極められないところも、多く存在するだろう。このため、そういった企業を支援する目的で、日本マイクロソフトでは57社のパートナーと連携し、それぞれの企業が持つニーズに応じて適切なパートナーを紹介する「マイクロソフトサーバー移行支援センター」を設立した。

 このセンターでは、仮想環境の移行からAIを活用したビジネス変革までを広く支援するとのことで、2019年6月末までに全国で240回、7000人規模の移行支援セミナーを開催するほか、パートナーとあわせて4000名の移行技術者も育成する。

マイクロソフトサーバー移行支援センター

 高橋氏は、「オンプレミスのソリューションをクラウド化することで、安定化、セキュリティ強化などを実現できるほか、Azureのコグニティブを加えてエンドユーザーへのサービス提供を強化する、といったことなどが可能になる。(OSなどの)サポート終了で危機感を煽(あお)るというよりは、お客さまのデジタルトランスフォーメーション(DX)を促していきたい」と述べ、サポート終了を契機として、新たな付加価値を顧客に提供することにより、企業競争力強化を支援したいという考えを示している。

執行役員 常務 パートナー事業本部長の高橋美波氏
パートナーとの記念撮影も行われた