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日本マイクロソフト、Windows Server 2008サポート終了に向けた進捗を説明

移行先としてクラウド志向が高まるも、セキュリティに不安を感じる企業はまだ多い

 日本マイクロソフト株式会社は6日、2020年1月14日にWindows Server 2008/2008 R2の延長サポートが終了することを受け、移行に関する現時点での進捗状況や、移行支援施策について説明した。

 その中で、サポート終了時点の稼働台数が10万2698台になるとの予測値を発表したが、2018年6月に32万5197台、2019年1月には17万3792台であったのに比べると、稼働台数は大幅に減少する見込みという。

Windows Server 2008/2008 R2の延長サポート終了が迫っている
稼働台数の推移予測

 日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズビジネス本部の浅野智本部長は、「日本ではハードウェアメーカーを通じて、Windows Server 2008/2008 R2をバンドル提供していたため、バージョンアップ権がない状態のOSが6割強ある。これは日本特有のものであり、日本以外はここまでの台数は残っていない」と前置き。

日本マイクロソフト 業務執行役員 クラウド&エンタープライズビジネス本部の浅野智本部長

 「期間内に移行できない場合には、Microsoft Azure上であれば延長セキュリティ更新プログラムを無償で3年間提供するとともに、ほかの環境でも延長セキュリティ更新プログラムを有償提供するといった取り組みを進めてきた。その後、ブロッカーとなる要因を排除するために、サーバー移行支援センターの設立や、Windows Server 2019によるハイブリッドクラウドの提案、ファイルサーバー移行支援の強化、Azure Stack HCIによる既存システムの最新化などの施策を展開し、それらの相乗効果により、いい形で進展している」とした。

 また、「移行先としてクラウド志向が高まっており、2018年3月の調査では7.2%だったものが、2019年6月の調査では26.9%に増加している。Azureの指名が増えている傾向がある」と、進行について説明している。

クラウド指向は高まっている

クラウド移行への大きな障壁は“セキュリティ”

 だが、その一方で、「残りの7割は、仮想化などオンプレミスにとどまるとしているのが実情であり、これは欧米とはまったく逆の状況。これが解決されないと、日本のデジタル化やAI活用には限界が生じる」と警鐘を鳴らす。

 なお、現時点で大きな障壁になっているのが、セキュリティなのだという。「今年2月の調査では、クラウドへ移行できない事情として、『機密情報の取り扱い上、導入できない』とする回答が39.4%、『クラウド利用のセキュリティリスクが判断できない』との回答が28.5%と、あわせて半数近くになっている」という現状を紹介。

クラウド移行の障壁はセキュリティ

 その上で、「Microsoftは、米国防総省に次いで世界で2番目にサイバー攻撃を受けている組織。年間1000億円を超えるセキュリティ投資を行っており、3500人を超えるセキュリティエキスパートが在籍、1兆を超える多様な兆候を検知し、これをもとにして、セキュリティを強化している。また、各国の基準に対応しコンプライアンスに準拠している」と述べ、Microsoftは高いセキュリティを維持していることをアピールする。

Microsoftではセキュリティに大きな投資を行っている
コンプライアンス基準にも準拠

 さらに「当社では、マルチサービスセキュリティ、ハイブリッドセキュリティ、マルチクラウドセキュリティによる、クロスプラットフォームに対応したセキュリティを提供しているのが特徴。統合されたセキュアなID基盤のAzure Active Directoryや、包括的にセキュリティを担保するAzure Sentinelの組み合わせによって、どんな環境で利用しても、どんなクラウドで利用しても、一元的に管理することができる」などと述べた。

クロスプラットフォーム対応のセキュリティを提供
モダナイズされたIT基盤の理想像

 今回の会見では、Windows Server 2008/2008 R2のサポート終了を受けた新たな環境への移行を推進するために、マイクロソフトのセキュリティが重要な役割を果たすことを強調してみせた。

 そのなかでも、ゼロトラスト型セキュリティが重要であるとし、Azure Sentinelについての説明に時間を割いた。

 Azure Sentinelは現在、プレビュー版の提供が開始されており、2019年下期に正式サービスを開始する予定だ。

 日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏は、「物理隔離やネットワーク管理前提のセキュリティから、ID管理やデバイス管理、ログ収集/監査を前提としてゼロトラスト型セキュリティモデルの採用により、テクノロジー活用による生産性とアジリティの向上につなげることができる」とし、「Azure Sentinelは、クラウドネイティブのSIEMであるとともに、マイクロソフトが蓄積した知見を活用したAIを組み込んでいるのが特徴」とする。

 Data Connectorにより、接続されたログを分析する専用ダッシュボードをデフォルトで提供。KUSTOクリエを活用することによってカスタマイズが可能になる。

日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏
ゼロトラスト型セキュリティモデル
Azure Sentinelの全体像
デフォルトのダッシュボード

 また、Microsoft 365 & Azure Security Centerセキュリティアラート、Analytics、ビルトイン機械学習モデル、ML FUSION、ユーザー分析(開発中)、カスタム機械学習モデル(開発中)の6つの脅威検知の手法を提供し、Casesページで検知アラートをすべて表示する。

 さらに、250種類以上のConnectorを活用した自動ワークフロー、および脅威への自動対処を行うPlaybookを提供している。

 「製品に組み込まれたセキュリティとAIによる自動化、IDによるアクセス/ファイル管理の実現、ガバナンスポリシーベースの設定、既存セキュリティソリューションとの親和性を実現できる。Azure Sentinelによって、働き方改革とデジタルトランスフォーメーションを強力に進めることができる」(佐藤氏)。

脅威の検知
Playbook

大規模な移行事例を紹介

 このほか今回は、いくつかの移行事例を発表した。

 カゴメでは、2015年からMicrosoft Azureによるクラウド化を推進しており、SAP S/4HANA移行により、業務システムの大半をクラウドに移行した。管理部門において、年間4.6万時間の効率化を実現。マイクロソフトによる基盤からソフトウェアまでの統合サポートを得られるという。

 三井情報では、IT基盤をMicrosoft Azureへ移行してグローバル基盤を統合。延長セキュリティ更新プログラムの利用によるコストメリットを享受しているほか、PaaSへの移行による将来性や、Microsoft 365との親和性といったメリットが生まれているとした。