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パナソニックが顔認証クラウドのパートナープログラムを展開、3つのカテゴリで支援を提供

 パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社とパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社は、顔認証技術を活用したクラウドサービスのパートナープログラムを2020年12月1日からスタートした。なお、本プログラムのパートナーは2020年7月から募集しており、現在10社程度の加入があるという。

 プログラム開始に先駆けて開催された発表会において、パナソニック システムソリューションズ ジャパン パブリックシステム本部システム開発本部スマートセンシング事業センター長の新妻孝文氏は、「新型コロナウイルス感染症の影響により、非接触タッチパネルや体表面温度測定など非接触技術のニーズが高まり、さまざまな非接触ソリューションが各社からリリースされている。パナソニックとしても、ニューノーマル時代を迎えるにあたり、非接触技術ツールとして、あるいは変化の激しい現場の課題を解決するソリューションとして顔認証技術を役立ててほしい」と述べている。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン パブリックシステム本部システム開発本部スマートセンシング事業センター長 新妻孝文氏
新型コロナウイルス感染症の影響により、非接触技術への需要が拡大している

組み込みやすいクラウドサービスでの提供を拡大

 富士経済研究所の調査によれば、日本国内の顔認証市場は2025年までに2300億市場へと急速に拡大することが予測されている。セキュリティ用途をはじめとして、幅広い業界・用途での導入が進んでいくという。

日本国内の顔認証市場は2025年までに2300億市場へと急速に拡大することが予測されている

 こうした市場のニーズを背景に、パナソニックでもモノや人との接触の削減、多様な働き方に対応するPCログインや勤怠管理の手段とし顔認証の提案を進めている。新妻氏は「顔認証に対するニーズが高まり、顧客からは『すぐに導入したい』『自社サービスに組み込みたい』『導入コストを抑えたい』といった顧客のさまざまな要望に応えることができる」と説明する。

 また、これまでは顧客ごとにカスタマイズされたシステムやソリューション、あるいはモジュールをパッケージしたプロダクトを中心に提供を行ってきたが、顔認証技術を広く利用してもらうため、今後は組み込みやすいクラウドサービスでの提供を拡大していくという。

顔認証のニーズの高まりに合わせ、顧客からはさまざまな要望が寄せられている
組み込みやすいクラウドサービスでの提供を拡大

 このクラウドサービス展開の戦略に沿って、パナソニックでは2020年11月4日に「顔認証API エンタープライズ エディション」と、顔認証SaaSプラットフォームの第一弾となる「点呼・勤怠管理用アプリケーション」の提供を開始している。そのほかにも、今後は教育現場などでの「出欠確認」、オンライン上での身分証明を目的とした「本人確認」、顔認証によるスマートな「決済」、コンサート・スポーツ観戦のチケット所有者確認や試験会場の本人確認などで利用する「なりすまし防止」、受付やチェックインを簡略化する「簡易入退」など利用シーンに合わせてさまざまなSaaSサービスの提供が予定されている。

利用シーンに合わせてさまざまなSaaSサービスの提供が予定されている

パートナープログラムによって事業拡大を図るセカンドステップ

 新妻氏は「パナソニックの顔認証クラウドサービスは、あえてAPIやSaaSといった基本機能で提供している。この基本機能をパートナーが自社のサービスに組み込むことで、さまざまな用途の新しいアプリケーションが開発できると考えている」と説明。この機能提供の構築をファーストステップと位置付け、セカンドステップとしてパートナープログラムによる事業拡大を推進していくという。

 また、「パナソニックの開発や販売のリソースだけでは、急速に拡大する顔認証市場に対応していくことは不可能。本プログラムを通じて、パートナー企業の顔認証アプリケーション、パッケージ、ソリューションがスピード感をもって開発できるように支援していきたい」と語った。

機能提供の構築をファーストステップと位置付け、セカンドステップとしてパートナープログラムによる事業拡大を推進

 このパートナープログラムは、顔認証プラットフォームをパートナーのアプリケーションと組み合わせることで、急成長する顔認証市場に柔軟にスピーディーに対応し、消費者にとって安心・安全な新たな価値を提供することを目的としている。

 パナソニック システムソリューションズ ジャパン サービスインテグレーション本部サービス事業担当 執行役員の水野登志子氏は、本プログラムの基本方針を「パナソニックとパートナーが顔認証技術を通じて、『同じ未来を語り』、その実現に向かって『ともに進んでいく』もの」と説明。

 これはパナソニックの創業者である松下幸之助氏が、パートナーとの共存共栄を精神を大切にしてきたDNAを引き継いだものであり、パナソニックの顔認証プラットフォームを、パートナーの製品やサービスと組み合わせ、現場と共創することで消費者にとって安心・安全な新たな価値を提供していくという。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン サービスインテグレーション本部サービス事業担当 執行役員 水野登志子氏
パートナープログラムを通じて、パナソニック、パートナー、現場が共創し、消費者にとって安心・安全な新たな価値を提供する

3つのカテゴリで支援を提供

 具体的な施策としては、パナソニックの顔認証SaaSプラットフォームを販売連携する「セールスパートナー」、自社製品・サービスとセットでソリューションを展開する「ソリューションパートナー」、顔認証APIやSaaSプラットフォームを自社製品・サービスに組み込んで新たな商品を開発する「テクノロジーパートナー」という3つのカテゴリに分けられている。

パートナープログラムは、「セールスパートナー」「ソリューションパートナー」「テクノロジーパートナー」の3つのカテゴリで展開

 パートナープログラムに参加すると、顔認証APIの無料トライアルを最大6カ月間延長できるほか、展示会・イベントへの招待、パートナー限定ウェビナーを通じたリリース前の新サービス情報提供といった基本特典が提供される。また、共同マーケティングやセールストレーニングを提供するマーケティング支援、開発に必要なドキュメントやエンジニアによる技術サポートを提供する開発支援、コミュニティ支援なども受けられるとのこと。なお、これらのベネフィットは参加するパートナープログラムのカテゴリによって異なっており、詳細については同社のWebサイトに記載されている。

パートナープログラムによるベネフィット

 2021年度以降には、パナソニックの施設内にパートナーの試作品の開発検証(PoC)などができる共創ラボを設立する予定となっている。水野氏は共創ラボについて「パートナーの商品を展示してデモ環境の場として利用できるほか、パナソニック製品を含むハードウェア(タブレットやネットワークカメラ、入退ゲートなど)を活用した検証、さらにはパートナー同士がサービスを連携するための検証にも利用できる」と説明した。

2021年度には、パナソニックの施設内に開発検証を行うための共創ラボを設立予定

パートナープログラムのロードマップ

 パートナープログラムのロードマップについては、すでにマーケティング支援として共同マーケティング、開発支援としてエンジニアサポートやエンジニアセミナー(定期開催)が12月1日から提供が開始されている。

 2021年度以降には、前述した共創ラボの開設やセールストレーニングの定期開催などが予定されている。また、パートナーの販売規模に応じて「Professional」「Standard」などのレベル分けも検討されているという。このレベル分けについて水野氏は、「Professionalレベルのパートナーには、さらなるベネフィットの提供していく」と説明した。

パートナープログラムのロードマップ

 すでに本パートナープログラムには、イーリバースドットコム、ネオレックス、Tixplus、タップなど約10社の企業が参加している。それぞれイーリバースドットコムは建設現場入退場履歴管理システムに、ネオレックスはクラウド勤怠管理システム、Tixplusは電子チケットシステムにおける転売防止、タップはホテル情報システムでパナソニックの顔認証技術を活用していることを明らかにしている。

すでにパートナープログラムの参加による製品、サービス、ソリューション展開が開始・予定されている

 パナソニックでは、2025年度までに250社のパートナー企業の参加を目指し、クラウドサービスで100億円以上の売り上げを目標としている。富士経済研究所は、2025年の国内顔認証クラウド市場は全体で約350億円規模となると試算しており、1/3に迫るシェアの獲得を目指していることになる。また、現場センシングソリューション事業全体では、2025年に約1,000億円の事業規模を目標にしており、そのうち、顔認証では575億円、センシングで215億円、高性能エッジデバイスで217億円を想定している。

2025年度までに250社のパートナー企業の参加を目指し、クラウドサービスで100億円以上の売り上げを目標とする

「パナソニックは顔認証のクラウドサービスを拡充することにより、どこにいても顔認証でつながる、顔認証が当たり前の世界を実現する」(水野氏)。

顔認証のクラウドサービスを拡充し、どこにいても顔認証でつながる、顔認証が当たり前の世界を実現する