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NTT Comとパナソニック、顔認証を統合IDとするデータ利活用の事業共創を開始

Smart Data Platform for Cityと顔認証入退システムKPASを連携

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とパナソニック システムソリューションズ ジャパン(以下、パナソニック)は8日、NTT Comが4月に開設した共創環境「CROSS LAB for Smart City」(以下、CROSS LAB)で、顔認証を統合IDとするデータ利活用事業の共創を6月から開始したと発表した。

 同日には、NTT ComのSmart City分野における取り組み、およびパナソニックとの事業共創の概要について、オンライン説明会が行われた。

NTT Comのデータ利活用基盤とパナソニックの顔認証を連携

 今回の事業共創では、NTT Comのデータ利活用基盤の1つである「Smart Data Platform for City」と、ディープラーニング(深層学習)を応用した顔認証技術を活用する、パナソニックの顔認証入退セキュリティ&オフィス可視化システム「KPAS(ケイパス)」を連携。新型コロナウイルス感染症の拡大にともない需要が高まっている非接触での入退室や、属性に合わせたパーソナルな照明・空調制御を行うことで、オフィスでの生産性向上を目指す。

 NTT Com ビジネスソリューション本部 スマートシティ推進室長の塚本広樹氏は、Smart City分野における取り組みについて、「当社ではスマートシティ推進室を2019年10月に発足し、ICTの活用により安心・安全、サスティナブルな都市の実現を支援してきた。当社が創るSmart Cityの世界観としては、セキュリティ、省エネルギー、パーソナル、ダイバーシティの4つの社会課題にフォーカスし、これらの課題解決のためにICTを活用した街作りを推進することで、『デジタルツインを用いた人々が幸せになれる街』を目指している。将来的には、『Smart Data Platform for City』をデータ利活用の基盤として、バーチャル空間上でモノ・ヒトなどが自由自在につながり合い、社会課題の解決や革新的サービスの創出を実現していく」と述べた。

NTTコミュニケーションズ ビジネスソリューション本部 スマートシティ推進室長の塚本広樹氏

 「Smart Data Platform for City」は、都市から収集されたさまざまなデータの利活用に必要な「収集」「蓄積」「管理分析」に関する機能をワンストップで提供するプラットフォーム。Smart Cityにおいて、異なる分野やシステムを「つなぐ役割」を担い、各領域のデータをリアルタイムに収集・整理して分野横断的にさまざまなサービスに展開することができるという。

「Smart Data Platform for City」の概要と特長

 一方、パナソニックは、高精度の顔認証技術を活用した顔認証ソリューションをはじめ、センシングソリューションやエッジデバイスなどの“現場センシングソリューション”を提供し、鉄道・空港やアミューズメントパーク、店舗やオフィスなどあらゆる現場の課題解決に取り組んでいる。

 今回、NTT Comがもつデータ利活用基盤との連動による新たな価値の創出を目指し、事業共創を開始する。

 パナソニック システムソリューションズ ジャパン パブリックシステム事業本部 システム開発本部 スマートセンシング事業センター センシングマーケティング部 マーケティング課 課長の寺木毅氏は、「当社の画像認識技術は60年以上の歴史があり、社会インフラを支え続けてきた。特に、顔認証技術については、顔の『向き』や部分隠ぺいや経年変化対応の認証が可能なことに加え、カメラメーカーとして培った逆光補正やノイズ除去などの画像処理技術を活用し、実務に適用しやすい顔認証技術を開発。世界最高水準の顔認証性能を達成している。また、顔認証の利用用途・ユースケースに合わせてさまざまなソリューションを用意しており、今回のNTT Comとの事業共創では、顔認証 入退セキュリティ&オフィス可視化システム『KPAS』との連携を実施する」と説明した。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン パブリックシステム事業本部 システム開発本部 スマートセンシング事業センター センシングマーケティング部 マーケティング課 課長の寺木毅氏

 具体的には、「Smart Data Platform for City」と「KPAS」を連携させ、「Smart Data Platform for City」上で、顔画像とひもづいた情報を統合IDとして管理し、「CROSS LAB」のさまざまなシステムと連動させる。顔画像をIDに活用することにより、利用者側はIDカードなどの紛失によるセキュリティリスクを低減でき、衛生的にも優れる非接触での認証が可能となる。管理側としても、カメラや認証端末を設置するだけで利用できる顔認証を活用し、サービスの利便性を高められるという。

 両社による事業共創の取り組みとしては、「KPAS」の入退ゲートの顔認証で得た属性情報に応じて、室内のエリアごとの照明や空調を制御する。例えば、色を正しく見る必要がある印刷やデザイン関係の仕事をする人のエリアでは照明を自然光に近い明るさにするなど、一人ひとりの業務内容に合わせた環境作りをすることで、ストレスの少ないオフィス環境の実現に向けた検討を行っていく。

事業共創の取り組み内容

 今後は、「Smart Data Platform for City」とパナソニックの顔認証技術の連携をさらに深め、顔認証を統合IDとした、利便性の高い新たなソリューションの提供を目指す。

 一例として、オフィスビルでは、待ち時間の短縮によって密を回避する仕組みを検討する。一人ひとりの行き先階を把握しエレベーターの制御を行うことで、利用者を効率よくエレベーターに誘導することが可能となる。

 また、スタジアムやアリーナでは、タッチレスな入退場や決済環境に加え、一人ひとりに合わせたパーソナルなファンサービスの提供を検討していく。