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日立とパナソニック コネクトが協業、PBIと顔認証により新サービスの創出を図る

 株式会社日立製作所(以下、日立)とパナソニック コネクト株式会社は27日、生体認証のグローバルな展開・加速に向け、協業を開始すると発表した。日立が持つ、生体情報を暗号化する公開型生体認証基盤「PBI(Public Biometric Infrastructure)」と、パナソニック コネクトの持つ顔認証技術を組み合わせ、安心・安全かつ快適な生体認証サービスの創出に向け、取り組みを進めるとしている。

 日立のPBIは、生体情報を復元不可能な形に暗号化する独自技術で、ICカードや暗証番号、二次元バーコードなどと比べ、紛失や不正授受など、第三者による不正利用を低減できる点が特長である。同社は、この技術による厳格な本人認証を核とし、さまざまな利用シーンや運用形態に応じて、指静脈や顔、虹彩などの認証モーダルや認証端末を問わず、一括管理・運用の可能な「生体認証統合基盤サービス」を提供しており、飲食店での決済やゴルフ場の受付・ポイント連携、ワクチン接種証明の本人確認、デジタル地域商品券の利用・決済などで幅広く適用されているという。

 一方のパナソニック コネクトが提供している顔認証技術は、顔画像の登録が簡単なことに加え、2つの顔画像が同一人物か否かを判定する1:1認証方式で世界1位の評価結果を得ているとのこと。また、ハンズフリーで快適に利用できる点が評価されており、空港での厳格かつ円滑な本人確認や、イベントでのチケットレス入退場、店舗でのキャッシュレス決済、施設・オフィスでのカードレス入退室などで活用されている。

 今回は、こうした技術を持つ両社の協業により、高信頼で快適な顔認証を実現するための取り組みを進めるとした。具体的には、パナソニック コネクトの顔認証によって得られた顔の特徴を抽出し、日立の持つPBIをもとに、顔情報を復元できない形に変換、保管・照合するという一連の流れを開発・実装する。

 また買い物、エンタメや医療といった、暮らしやビジネスを想定したさまざまな分野でのユースケースの開発・実証に共同で取り組み、利用者のさらなる快適性を追求して、サービスの改善と強化を図っていく考え。2023年春からは、利用シーンとしてトラベルを想定し、全国規模で展開する小売店舗において、来店時のスマートなポイント付与を実現する「手ぶらスタンプラリー」の実証を行う予定で、小売業界における新たなマーケティング施策としての有効性を実証するとしている。

 なお、日立は今回の協業を通じ、「生体認証統合基盤サービス」の認証モーダルの一つとしてパナソニック コネクトの顔認証をサポートし、スマートフォンなどのWebブラウザからのアクセスによる、より容易な登録、快適な顔認証を提供するとのこと。

実証ユースケース・イメージ(トラベル)