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HPE、2022年度は総合的クラウドプラットフォーム「HPE GreenLake」でDX推進を支援
事業方針や日本市場での重点施策を発表
2021年12月21日 11:19
日本ヒューレット・パッカード合同会社(HPE)は20日、2022年度の事業方針に関する説明会を開催した。説明会では、代表執行役員社長の望月弘一氏が、グローバルのビジネス概況および2022年度に向けた戦略、日本市場での重点施策などについて紹介した。
まず、グローバルの2021年度(2020年11月-2021年10月)の業績について望月氏は、「2021年度はEDGE-TO-CLOUD戦略が奏功し、全事業のビジネスが加速した。受注は前年比で16%増、営業利益率は25%増となった。さらにフリーキャッシュフローについては2.8倍を達成した。コア事業では、コンピュート(サーバー)の受注が10%以上、ストレージの受注が1ケタ台後半、HPE Pointnext(サービス)の受注が1ケタ台半ばと順調に推移した。成長事業ではインテリジェントエッジ、HPC&AIともに受注が2ケタ成長を記録した。またAs-a-Serviceへの転換についても、受注が61%成長し、300社を超える企業が新規契約。総数は1250社を超えている」とした。
2022年度に向けた事業戦略については、「2021年度は、EDGE-TO-CLOUDプラットフォームの提供を通じて、顧客のDXの成功に貢献することをテーマに、さまざまな取り組みを行ってきた。2021年度はこれをさらに発展させ、EDGE-TO-CLOUD COMPANYとしてDATA-FIRST MODERNIZATIONを実現し、顧客のビジネス変革と持続可能な社会に貢献していくことをテーマに事業を推進していく」(望月氏)との方針を示した。
日本市場におけるフォーカス領域としては、「5G/IoT」「Hybrid CLOUD」「Data Management&AI」「Digital Workplace」の4つを挙げ、「5GやIoTの活用シーンの広がりによりエッジの需要が加速している。またパブリッククラウド、プライベートクラウドともに市場は拡大を続けており、ITインフラはさらにハイブリッド化が進むと予測される。Data Management&AIでは、複合的な環境に点在するデータをいかにつないで、そこから多くのヒントや考察を導き出していくことが重要になる。Digital Workplaceでは、コロナ後も複数のクラウドをまたがって複数の拠点から仕事をする働き方は変わらないとみている」(望月氏)と、各領域の市場環境を分析。
「これら4つのフォーカス領域においてDATA FIRST MODERNIZATIONを実現することで、顧客のDX推進を支援するとともに、持続可能な社会に向けてITの側面から貢献することを目指す。そのために、当社の持つエッジからクラウドまでを網羅するソリューションポートフォリオとセキュアな環境、さらにはアドバイザリー・運用・ファイナンスのサービスをラッピングし、『HPE GreenLake Edge to cloudプラットフォーム』(HPE GreenLakeプラットフォーム)としてクラウド上で提供する。これは、単なる従量課金モデルではなく、Webから発注・プロビジョニングができ、オンプレミスもパブリッククラウドも含めたIT全体の最適化を可能にするサービスポータルなどを通じて、クラウドの真の価値を顧客に提供していく」(望月氏)と、事業戦略のビジョンを語った。
同社では、すでに2021年度から4つのフォーカス領域に向けて、さまざまな取り組みを進めてきたという。例えば、「5G/IoT」では、本社内へのAI/IoT Data Pipeline Labの設置やAruba IoT Transport for Microsoft Azureの発表など。「Hybrid CLOUD」では、クラウド型のシステム管理「Cloud Console」の提供開始やデロイトトーマツ、レッドハットとの3社協業、200人を超えるAWS/Azure有資格者の育成など。
「Data Management&AI」では、HPE AI Bundleソリューションの販売開始やAI人財リソース強化として60人を超えるG検定/E資格者の育成、Ezmeral 5.3のリリース、GreenLake With OpenShiftサービスの発表など。「Digital Workplace」では、ゼロトラストソリューションのパートナーエコシステム構築やSIパートナー、NVIDIA、HPEの3社による高性能・高集約なVDIソリューションの発表、スマートオフィスソリューションの開発などだ。
これらの取り組みの成果として、各領域での国内企業への導入実績も増えてきており、同日には、NTT西日本グループが、自治体、教育機関、地域企業のためのハイブリッドクラウドサービス「地域創生クラウド」に、HPE GreenLakeプラットフォームを採用したことを発表した。
この事例では、HPE GreenLakeのDX推進基盤や専用保守サポートを活用することで、西日本全域の企業、教育機関、地方自治体が持つデータ安全性に関わる懸念を軽減することが可能となった。今後の計画として、特に「Smart10X」と呼ばれる重点分野において、これまで個別案件で開発してきたアプリケーションをクラウドサービス化することにより、「地域創生クラウド」の需要増を目指すとしている。
2022年度における各フォーカス領域の重点施策としては、「5G/IoT」では、HPE 5G Core Stackによるローカル5G接続環境の提供、ArubaによるIoT接続とセキュリティ環境の提供、用途特化型サーバーによるHigh Performance Edge Computingとパートナーエコシステムの拡大、移動体通信事業者向けOpen RAN Solutionの提供を予定している。
「Hybrid CLOUD」では、ハイブリッドクラウドの“Day2”ソリューションの推進、GreenLake Lighthouseの国内展開、マルチクラウド時代に即した人材育成を進める。
「Data Management&AI」では、EzmeralソリューションやGreenLake for HPC、Cray AIソリューションの販売拡大、AIパートナーエコシステムの拡充、IoTやハイブリッドクラウドソリューションとの連携強化によるAIソリューションのワンストップ提供などを図る。「Digital Workplace」では、HPE on HPEにおける人事、総務、ITの取り組みの共有、ゼロトラストの本格検討のためのリファレンスモデル提供、Digital Workplace向けGreenLakeサービスの販売推進などを計画している。
望月氏は、「2022年度は、4つのフォーカス領域すべてでHPE GreenLakeプラットフォームを提供可能にしていく一方で、戦略的パートナーシップ/アライアンスにも力を注いでいく。従来までのサーバーセントリックなパートナーシップに加え、ソリューションセントリックなパートナーシップを強化するとともに、新たにビジネスセントリックなパートナーシップを拡大する。これにより、EDGE-TO-CLOUDの実現に向けたパートナーとの相互連携を深めていく」と、国内でのパートナー施策も拡充していくと強調した。