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HPE、グローバルの事業概況と「HPE Discover 2021」を説明
as-a-service基盤「HPE GreenLake」の新たなサービスやテクノロジーを紹介
2021年9月16日 11:05
日本ヒューレット・パッカード合同会社(以下、HPE)は15日、バーチャルイベント「HPE Discover 2021」が6月23日~25日に開催されたことを受け、グローバルのビジネスアップデートおよび、「HPE Discover 2021」で発表された新しいサービスやテクノロジーに関する説明会を開催した。
まず、日本ヒューレット・パッカード 代表執行役員社長の望月弘一氏が、グローバルのビジネス状況について、「グローバルにおける2021年度第3四半期(2021年5月-7月)の業績は、受注、収益、フリーキャッシュフロー(FCF)のすべてが好調に推移した。受注は前年同期比11%増、売上高は同3%増、営業利益率は同28%増、フリーキャッシュフローは同4.3倍となった」と説明した。
同社が推進するedge-to-cloudカンパニー戦略の事業概況としては、「『成長事業』では、インテリジェントエッジ事業が前年同期比23%増となった。HPC&MCS事業は、通期の売上成長率目標8-12%達成に向けて順調に推移している。『コア事業』では、コンピュート事業とストレージ事業ともに受注ベースで2桁成長を記録した。また、HPE Pointnextは、通期の受注・売上高で成長を見込んでいる。『as-a-serviceへのビジネス転換』では、中核を担うHPE GreenLakeが受注ベースで前年同期比46%増、売上高も同33%増と堅調に推移した。すでに1100社を超える企業がHPE GreenLakeを契約しており、契約総額は54億ドルに達している」(望月氏)という。
「THE FUTURE IS EDGE TO CLOUD:Edge to Cloudがつくりだす新しい未来」をテーマに開催されたバーチャルイベント「HPE Discover 2021」については、「今年もオンラインでの開催となったが、グローバルでは約6万人、日本からも3500人を超える多くのユーザーが参加した。米HPE 社長兼CEOのアントニオ・ネリは基調講演で、“Age of Insight”(洞察の時代)に求められる、『新しいデータドリブンなビジネス変革』には、データのVolume(量)、Variety(種類)、Velocity(増加速度)にValue(価値)を加えた“4V”が重要であると訴えた。また、2019年にアントニオ自らが宣言した『2022年までにすべてのポートフォリオをas-a-serviceで提供できる会社になる』という変革が順調に進んでいることを受け、最終段階に向けた新サービス、新プログラムが数多く発表された」(望月氏)と、イベントのハイライトを紹介した。
「HPE Discover 2021」で発表された主な新サービスおよびテクノロジーアップデートとしては、(1)HPE GreenLake Cloud Servicesの拡充、(2)パートナーとのアライアンス強化、(3)HPE GreenLakeの“aaS”としてのサービス・管理レベル向上のための機能強化――の3点を挙げた。
HPE GreenLake Cloud Servicesは、顧客が指定するあらゆる場所で、as-a-serviceプラットフォームを提供するサービス。「各種サービスから選択し、HPE資産として設置」、「常に需要に先んじて予備キャパシティを確保可能」、「需要増減に応じ従量課金制でスモールスタート」、「顧客の代わりに運用するマネージドサービス(オプション)」といった特徴をもつ。
日本ヒューレット・パッカード 常務執行役員 Pointnext事業統括(兼)ストラテジック・アライアンス統括本部長の小川光由氏は、HPE GreenLake Cloud Servicesのアップデート内容について、「ミッションクリティカルな業界アプリケーションとプラットフォーム向けのメニュー拡充として、HPE GreenLake for Critical Industry Applications/Platformsを発表した。具体的には、電子カルテ向けの『HPE GreenLake for Electronic Medical Records(EMR)』、金融決済向けの『HPE Greenlake for Core Payment Systems』、データ/リスク解析向けの『HPE GreenLake for Splunk』、5Gソリューション向けの『HPE GreenLake for 5G Core Stack』など、インダストリーに特化したas-a-serviceを提供していく」と説明した。
パートナーとのアライアンス強化では、インテルとのパートナーシップにより、新機能「HPE Silicon On-Demand」を開発。これにより、ユーザーが使いたい時だけ、プロセッサコアとメモリレベルで新しいキャパシティを追加することが可能となった。このほかにも、マイクロソフトやニュータニックス、Veeamなどとのアライアンス強化を発表している。
HPE GreenLakeの“aaS”としてのサービス・管理レベル向上のための機能強化としては、まずプライベートクラウドをさらに進化させる新技術「HPE GreenLake Lighthouse」を発表した。小川氏は、「HPE GreenLake Lighthouseでは、パブリッククラウドのように、事前定義済みのカタログから必要なモジュールを選択し、展開することができる。また、クラウドとしての機能を強化し、シンプルで迅速なVM環境のプロビジョニングを実現する。さらに、自律的なライフサイクル管理によって、IT運用を簡素化することが可能となる」と、「HPE GreenLake Lighthouse」の特徴を紹介した。
また、HPE GreenLakeにおけるクラウドネイティブなセキュリティの実現に向けて、新たなゼロトラストアーキテクチャ基盤「Project Aurora」を発表した。日本ヒューレット・パッカード 執行役員 コアプラットフォーム事業統括の本田昌和氏は、「現在、多くのビジネスサービスは、エッジからクラウドにまたがって提供されており、ハイブリッドクラウド環境での安全性の担保が重要になっている。しかし、エッジからクラウドまでを、多種多様な脅威から守るのは非常に難しいのが実情だ。これに対して、Project Auroraでは、ゼロトラストセキュリティをEdge to Cloudで実現するアーキテクチャ基盤を提供する」としている。
このほか、HPE GreenLakeの“aaS”を支えるハードウェアテクノロジーの刷新として、「Compute Cloud Console」と「Data Service Cloud Console」が発表された。「Compute Cloud Console」は、サーバーの監視・運用管理をクラウドから行えるサービス。ハードウェアの統合管理サーバーをクラウド上に用意し、VPN不要でいつでもどこでもコンソールにアクセスすることができるという。日本国内では、今年秋ごろにノミネーション制のパイロットプログラムを予定している。
「Data Service Cloud Console」は、データサービスとインフラサービスをクラウドから一元提供するサービス。各種データ管理機能を通じて、誰もが安全にデータを操作することができる。また、アプリケーションに最適化されたデータ保護サービスを提供し、信頼性を向上する。インフラサービスでは、セットアップ、構成、および展開を自動化し、ポイントアンドクリックによるシンプルな管理を実現。さらに、AIによるインテリジェンスを適用して、効率、信頼性、リソースを最大化できるという。