ニュース

HPEがx86サーバー新製品18モデルを発表、as-a-service戦略に沿った製品であることを強調

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(HPE:ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)は13日、x86サーバーの新製品18モデルを発表した。

 HPEでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するにあたって自らが2022年までにas-a-serviceカンパニーへと転換することをグローバルで宣言しており、同社 執行役員コアプラットフォーム事業統括の本田昌和氏は、これらの新製品がその戦略に沿ったものであることを強調した。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員コアプラットフォーム事業統括 本田昌和氏

 特に国内の顧客に対しては、「DXへのチャレンジに対し、エッジからクラウドまでをカバーするソリューションをas-a-serviceで提供する」と本田氏は述べ、新製品が「5GおよびIoT」「デジタルワークプレイス」「データマネジメントとAI」「ハイブリッドクラウド」に最適化されていると説明した。

 今回発表した製品は、「HPE ProLiantファミリー」と「HPE Cray EX supercomputerファミリー」。現行製品の上位モデルとなるハイパフォーマンスサーバーで、第3世代AMD EPYC 7003シリーズプロセッサまたは第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサを搭載する。

今回発表した新製品
HPE ProLiantファミリー
HPE Cray EX supercomputerファミリー

 それぞれ最新のプロセッサを搭載したことによる性能の向上に加え、本田氏は新製品の特徴について、「PCIe 4.0の採用により、I/O性能が高速化し帯域幅が従来の2倍になった。また、NVMe SSD RAIDのサポートやストレージデータ保護機能の強化によってストレージの可用性が向上した。セキュリティ面では、HPEが自社開発した管理チップ『iLO 5』を起点とするシリコンレベルの信頼性を実現している。運用面では、インテリジェントな自動化やクラウドベースのAI管理ツール『HPE InfoSight』によって自律的なシステム運用ができる。さらにはDX時代の新しい保守サービスとして、AIを活用した『HPE Pointnext Tech Care』を用意した」と述べている。

第3世代AMD EPYC 7003シリーズプロセッサ対応製品の価格と販売開始時期
第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサ対応製品の価格と販売開始時期

 こうした特徴を持つ新製品ではあるが、x86サーバーという汎用サーバーを顧客に提供するにあたっては、「HPEのコンピュート基盤が、ワークロードに最適化していることや、世界標準の安心サーバーであること、インテリジェントオートメーションを追求していること、as-a-serviceエクスペリエンスを提供できることに着目してもらいたい」本田氏はと話す。

 ワークロードの最適化については、「HPEが長年培ってきたサーバービジネスの経験に基づき、ワークロードごとの性能や配置、効率性を最適化してコンピュート基盤を提供している」と説明、HPEの自動化ツールでクラウド環境が5倍迅速に構築できたことや、VDIユーザーのCitrixへのログインが10倍高速になったことなどを挙げた。

新製品はワークロードの最適化に対応する

 セキュリティについては、米国国立標準技術研究所のセキュリティガイドライン策定に参画していることや、2017年6月よりハードウェアセキュリティ機構「HPE Silicon Root of Trust」をサーバーに標準装備し、継続的に機能を強化していることなどをアピールしている。

 インテリジェントオートメーションについては、HPEサーバーによって管理者の工数を削減したことにより、運用コストが35%削減でき、ITスタッフの効率が41%向上し、問題解決までの時間が68%短縮でき、サーバーの展開が57%早くなったという調査結果を紹介した。

世界標準の安心サーバー
インテリジェントオートメーションで管理いらず

 as-a-serviceエクスペリエンスについては、従量課金制のITサービス「HPE GreenLake」によって10年近くの経験があることを強調。「今回の新製品もすべてGreenLakeで提供できる。クラウドと同じようなベネフィットと使い勝手、エクスペリエンスがオンプレミスでも手に入る。これが今後IT環境に求められる重要な要素となるだろう」とした。

as-a-serviceエクスペリエンスを提供

 また、今回の新サーバーの発表に伴い、説明会では4月に発表した新たな保守サービス「HPE Pointnext Tech Care」についても紹介した。

 日本ヒューレット・パッカード 取締役 常務執行役員 Pointnext事業統括(兼)ストラテジック・アライアンス統括本部長の小川光由氏は、HPE Pointnext Tech Careが「新しいエクスペリエンスを提供する保守サポートだ」と説明、そのエクスペリエンスがHPE InfoSightとデジタルカスタマーエクスペリエンス(DCE)によって実現するとした。

HPE Pointnext Tech Careが提供する新たなエクスペリエンス
HPE Pointnext Tech Careのサポート内容
日本ヒューレット・パッカード 取締役 常務執行役員 Pointnext事業統括(兼)ストラテジック・アライアンス統括本部長 小川光由氏

 HPE InfoSightは、2017年に買収したNimbleが提供していたAIベースのテクノロジーで、データ活用によって積極的な情報提供を実現するもの。DCEは、HPEが提供するサポートポータルで、このポータルを強化して顧客が情報収集しやすい環境を整えるとしている。

 これにより、「デジタルとデータの活用」「パーソナライズと予測」「イノベーションとインテリジェンス」という3分野で新たなエクスペリエンスを提供すると小川氏は説明する。

 「デジタルとデータにおいては、例えば電話による保守サービスだけでなく、動画や画像によって口頭では伝わらない内容まで把握できるようにするほか、AIチャットなどで効率的に適切なアドバイスを提供する。パーソナライズと予測は、InfoSightをコアとしてデータを収集し、故障などを予測する。イノベーションとインテリジェンスでは、障害対応だけでなく、ITのライフサイクル全般を通じてさまざまなインテリジェンスを活用し、継続的に価値とサービスを提供する」(小川氏)

 小川氏は、HPEがas-a-serviceカンパニーへと向かう中で、保守サポートも重要なコンポーネントになると述べ、「HPE Pointnext Tech Careによって、as-a-serviceモデルをより推進していきたい」とした。