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Dropbox Japan新社長の梅田氏、2022年は「現場力が高まるデジタルツールを提供」

 Dropbox Japan株式会社は3日、事業戦略説明会を開催し、7月に同社の代表取締役社長に就任した梅田成二氏が、2021年を振り返るとともに2022年の方向性について語った。

Dropbox Japan 代表取締役社長 梅田成二氏

 まず梅田氏は、就任後4カ月が経過した現在のDropbox Japanの状況について、「ビジネスは好調。国内需要も旺盛で、まだ成長の余地がある。リモートやクラウドへの移行が進む中、新規顧客も順調に伸びているほか、既存顧客の更新率も高い」と語る。一方で、「ビジネスの成長スピードが非常に速く、体制が追いついていないため、その対策は必要だ」と述べた。

 2021年の全世界の状況については、「有料ユーザー数は1649万人にのぼる。また、Dropboxはコンシューマー向けのサービスだと思われがちだが、実際にはユーザーの80%が仕事で利用している」と説明。11月に発表した2021年第3四半期の売上高は、前年同期比13%増の5億5000万ドルにのぼったと述べ、「フリーミアムモデルから草の根的に広がったユーザーが、企業でIT部門が管理するビジネス版にも広まった」としている。

 特に法人ビジネスでは、「日本の成長率が世界トップクラス」と梅田氏。日本は欧米よりクラウド化が少し遅れ、成長市場にあることが要因としつつ、「現在は建設、ITサービス、メディアといった業界に顧客が多い。今後は、教育分野や地方自治体、中堅中小企業でも成長するだろう」と述べた。

数字で見るDropbox

 2022年は、「現場力上がる、使えるデジタル」というスローガンを掲げ、「現場が使いやすい、本当に生産性の上がるツールを提供し、日本のデジタル化推進に貢献する」と梅田氏。その実現に向けた優先事項について、「現在コンプライアンス対応に取り組んでいる。また、製品ポートフォリオを拡張し、他社ソリューションとの連携も強化する。そして新しい働き方を提案し実践する」と語った。

2022年の目標は「現場力上がる、使えるデジタル」

 製品ポートフォリオについては、「現場で効果を出すには、データの保管のみならずいかに利用するか大切だ」として、9月に発表した「Dropbox Capture」と「Dropbox Replay」を紹介した。Dropbox Captureは、画面を録画した動画やスクリーンショットなどでメッセージを伝えることができるツール。一方のDropbox Replayは、動画へのフィードバックや確認が容易にできる動画コラボレーションツールだ。

 これに加え、ドキュメントワークフロー用の製品群を追加していく予定で、「電子署名のHelloSignや、今年買収を発表したDocSendおよびCommand Eなどを提供する」と梅田氏。すでにHelloSignは数多くの引き合いがあるという。

製品ポートフォリオを拡張する

 パートナー戦略については、「日本では1年前より世界に先駆けて100%パートナー経由で販売している」と梅田氏。これにより、Dropboxのハイタッチ営業とパートナーとの協力関係による売上は、前年同期比で約6倍にまで成長した。このビジネスモデルが成功したことから、アジアやヨーロッパの一部地域でも100%チャネルファーストの方針を取り入れているという。

100%チャネルファーストが成功している

 パートナーとはソリューションの連携も強化している。「データを活用するにはデータを1ヶ所に集約したいとの要望が高いことから、さまざまなソフトウェアやハードウェアの共通ストレージ基盤として活用してもらえるよう、他社ソリューションとのAPI連携を進めている」と梅田氏は説明した。

他社ソリューションとの連携強化

バーチャルファーストへの移行

 Dropboxは、2020年10月にバーチャルファーストへの移行を発表、新しい働き方を実践している。企業文化を損なうことなくバーチャルファーストを実現するため、共同作業の時間と個人が自由に作業を進める時間を分け、コラボレーションコアタイムを設定した。一方で、対面でのコラボレーションが必要な時や、顧客との打ち合わせ、チームビルディングなどの際に集まる場所として、「Dropbox Studio」というスペースも設けた。

バーチャルファーストについて
Dropbox Studioから中継する梅田氏

 そして、このバーチャルファーストの試みを「バーチャルファーストツールキット」として公開、リモートワークに関するさまざまな原則をまとめた。今後はここにバーチャルファーストで学んだ知見も盛り込む予定だ。

 12月6日からは、新しい働き方にチャレンジする企業を応援するプログラムとして「バーチャルファースト・アンバサダー・プログラム 2022」を開始する。このプログラムでは、バーチャルファーストの趣旨に賛同する従業員300人以下の国内企業を対象に、「Dropbox Business」のライセンス費用を優待、オウンドメディアの「Dropbox Navi」などで新しい働き方に向けた取り組みを紹介する。

 梅田氏は、「このプログラムを通じ、顧客と一緒に日本市場に適した新しい働き方を模索していきたい」と述べた。

バーチャルファースト・アンバサダー・プログラム 2022