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Dropbox Japan、2022年は幅広い業界で採用が進むと説明 今後はドキュメントワークフロー分野にも注力
2022年11月17日 06:15
Dropbox Japan株式会社は16日、ビジネス戦略に関する説明会を開催し、この1年を振り返るとともに、今後の強化領域について説明した。
2021年7月にDropbox Japanに入社し、日本法人3代目の代表取締役社長に就任した梅田成二氏は、まず2021年のグローバルでの数値を振り返り、売上が21億5800万ドル(日本円で約3237億円)に達したと述べ、「クラウドストレージ専業ベンダーとしては世界最大級だ」とした。特に日本は世界のビジネス成長を大きく上回る成長率だったという。
Dropbox上に保存されているコンテンツ数も伸びており、現時点でその数は去年から1.5倍の8000億コンテンツ。有料ユーザー数は、個人向け・法人向けを含め1755万人で、Dropboxを仕事で利用しているユーザーの割合は80%にのぼるという。
梅田氏は、社長就任時に2022年の目標を「現場力上がる、使えるデジタル」と定め、「現場が使いやすい、本当に生産性の上がるツールを提供し、日本のデジタル化の推進に貢献する」としていた。その背景として、「実際に顧客を訪問すると、現場からの支持が非常に強いサービスだと感じたためだ」(梅田氏)と説明する。
また、「海外市場と日本市場に時間差があることも感じた」と梅田氏。つまり、デジタル化が進む海外では、オンプレミスのサーバーからクラウドストレージへの移行が大きく進んでおり、すでにその先のドキュメントワークフローのプロセスなどに主戦場が移っているというのだ。「日本も欧米と同様にその方向に進むだろうと考え、ポートフォリオの拡張や他社ソリューションとの連携強化にも注力することを優先事項とした」と梅田氏。またこの1年は、バーチャルファーストな働き方も推進し、新しい働き方の提案と実践にも注力してきた。
その結果、この1年で東急建設株式会社や株式会社はくばくなど、幅広い業界でDropboxの採用が進んだと梅田氏は強調する。また、他社ソリューションとの連携についても、ブレインズテクノロジー株式会社の企業内検索エンジン「Neuron Enterprise Search」や、mxHero, Inc.のクラウドメールセキュリティサービス「Mail2Cloud」、株式会社エムティーアイのファイルマネジメントツール「PlusFind」などと連携し、活用の幅を広げたとしている。
バーチャルファーストな働き方についても、社内調査では全体評価で97%が肯定的にとらえており、この働き方で得られた知見を社外にも公開しているという。ただし、社内外とのコミュニケーションについては、調査で一部中立的・否定的な回答があったことから、自発的にオフィスに集まる活動を展開したほか、運動不足など健康面への懸念を示す社員に対しても、ジムに通う経費を支給するといったような対策を進めているという。
このように、社長就任時に立てた目標はおおむね順調に達成できているとする梅田氏だが、製品ポートフォリオの拡張については「もう少しポートフォリオを広げたい」とする。
10月に正式リリースを発表した「Dropbox Capture」や、「Dropbox DocSend」の最新アップデート版も、ドキュメントワークフローを強化する製品群として、ポートフォリオ拡張の一端を担うことになる。
Dropbox Captureは、スクリーンショットやGIFを活用しながら、画面を直接録画した動画メッセージを作成できるというもの。Dropbox Japan アジア太平洋・日本地域総括ソリューション本部長の岡崎隆之氏は、Dropbox Captureの開発背景について、「メールやチャット、会議などを、短時間の動画に置き換えようという考えだった。短時間動画で非同期コミュニケーションをすることで、会議時間を減らし生産的な作業時間に充てることが可能だ。また、自分の顔を入れた動画などのパーソナライズメッセージにより、より深いつながりが追求できる」と説明する。
一方のDropbox DocSendは、安全にドキュメントを共有するためのツールだ。現在は英語版のみでの提供だが、共有したドキュメントを閲覧者が開くと通知が届き、各ページへのアクセスがリアルタイムに確認できる。共有後もリンクのアクセス権が編集可能で、パスコードや有効期限を追加することもできる。最新アップデートでは動画分析機能が追加され、動画再生の完了率や視聴時間、ジオタギング情報などが分析できるという。
この2つの製品と、電子署名ソリューション「Dropbox Sign」の3製品で、「これまでのクラウドストレージに加え、ドキュメントワークフローも強化していきたい」と梅田氏は述べた。