ニュース

Dropbox Japan社長、「社員に働き方の選択肢を」と強調 ~ニューノーマルの働き方調査より

 Dropbox Japan株式会社は8日、ニューノーマルの働き方について調査した結果を公表した。この調査は、同社が電通マクロミルインサイトに委託し、国内の20歳から69歳の男女1500人を対象として4月に実施したものだ。

 今回調査を実施したのは、Dropbox Japanが2020年10月に「バーチャル・ファースト」という働き方の実施を発表したことが背景にある。バーチャル・ファーストの導入により、同社では社員がリモートワークを中心とした勤務形態を自由に選べるようになり、「社員の生産性や作業効率、ワークライフバランスが大きく向上した」と、Dropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏は話す。また、新たに入社した社員も、「Dropboxを選んだ理由としてバーチャル・ファーストを取り入れていることを挙げた割合が9割にのぼった」という。

Dropbox Japan 代表取締役社長 梅田成二氏

 そこでDropbox Japanは、同社だけでなく日本全体でのニューノーマルの働き方について調査。その結果、リモートワークによって幸福度が高まった人が増えていることがわかり、社員に選択肢を与えることの重要性を訴えかけている。

 まず、調査時点では、リモートワークを活用していると回答したのは全体の30%にとどまっている。一方で、理想的なリモートワークの頻度を聞いたところ、全体の40%以上が週に1日以上のリモートワークを希望しており、「経営陣と社員の間に意識のギャップがあることわかる」と梅田氏は指摘する。

リモートワークの活用状況

 リモートワークを実施している人に満足している点を聞いたところ、「通勤時間などの短縮」が54.7%でトップ。次いで、「自分のペースで仕事ができる」(45.9%)、「時間や場所の制約がない」(30.2%)と続いた。一方、不満点としては、「プライベートと仕事のメリハリがつかない」(30.6%)「水道光熱費・食費などが上がった」(29.7%)「印刷ができない」(24.3%)といったことが上位に挙げられた。

リモートワークの満足度

 リモートワークを導入している企業では、オンライン会議システムなどをはじめとするツールの整備は進んでいるものの、リモートワークの制度として「自宅の就労環境を整備するための補助金」を求める声が30.8%あったほか、「ワーケーションなど自由な働き方を奨励する制度」(25.9%)、「仕事の成果に基づいて働き方を評価する仕組み」(17.3%)を希望する意見も多かった。

 また、ワークライフバランスについて調査したところ、コロナ前後で仕事とプライベートの比重は大きく変わらなかったが、経営者・役員クラスでは、プライベートの比重が高いと答えた割合がコロナ前の19%からコロナ以降は28%と大幅に高くなった。同様に、リモートワークを週に3日以上実施している人も、プライベートの比重が高いとした人が17%から23%へと高まった。

 これに伴い、リモートワークを週3~4日実施している人は、「ワークライフバランスに対する幸福度が高い」と回答した率が51.4%と高いことがわかった。一方、リモートワークを実施していない人で、「ワークライフバランスに対する幸福度が高い」と回答した率は29.7%にとどまった。

経営者・役員と、リモートワークが週3~4日以上の人は、プライベートの比重が高くなった

 バーチャル・ファーストを実践するDropboxでは、対面やオンラインミーティング、電話など、仕事仲間と同じ時間を共有する「同期」のコミュニケーションと、メールやチャットなど個人が都合のいいタイミングで対応する「非同期」のコミュニケーションを使い分けるよう推奨している。この同期・非同期コミュニケーションを意識的に使い分けているか聞いたところ、37.4%が意識的に使い分けていると回答。特に20代では半数近くが使い分けていると回答しており、転職の際にも同期・非同期の働き方において自分とスタイルの合う企業を意識して選ぶと回答した人は20代で70.9%にのぼった。

 また、役職別での同期・非同期の使い分けは部長職が61.1%と突出して高く、会議を主催する際も部長職は「目的を明確にしておく」(64.8%)「設定時間内に終わらせる」(53.7%)「本当に必要な人だけに参加してもらう」(46.3%)といった会議を心がけている比率が他の役職と比較して最も高かった。

同期・非同期の使い分けは20代と部長職が高い

 梅田氏は、「リモートワークをしている人はワークライフバランスが改善し、幸福度も高まった。また、若手社員は自分の働き方が選択できる会社を選ぶ傾向が高い」と述べ、社員に選択肢を与えることの重要性を強調した。