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ServiceNow、新バージョン「Quebec」を発表 ノーコード開発をよりスムーズに実現する機能を追加

 ServiceNow Japan合同会社は12日、クラウドプラットフォーム「Now Platform」の最新バージョンとなる「Quebec」をリリースした。同日より利用可能となる。

 ServiceNowでは、半年ごとに新バージョンをリリースしており、それぞれのリリースに開発目的を設定。ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の高橋卓也氏によると、Quebecは「21世紀の企業を支えるプラットフォームのためのプラットフォーム」とすることを目的に開発され、「イノベーション」「ビジネスの俊敏性」「生産性」の3つを加速させる要素があるという。

 Quebecでは数百以上の機能が追加されているが、高橋氏はまず、IaaSのNow Platformそのものに追加された機能として、「AI Search」「Process Optimization」「Workforce Optimization」の3つを挙げた。

ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 部長の高橋卓也氏
Quebecで追加されたさまざまな機能

 AI Searchは、自然言語での検索が可能になる検索機能で、日本語にも対応している。また、個人の特性に基づいてAIがコンテキストを自動分析し、関連性の高い検索結果を提供するという。

 Process Optimizationは、ワークフローの最適化を支援する。これまでにもワークフロー最適化ツールは提供していたが、Process Optimizationでは「ビジネスに影響を与えるプロセスを可視化し、フローの中でボトルネックとなっている部分を特定、非効率な作業を洗い出し、解決策を提案する」と、高橋氏は説明している。

AI Search
Process Optimization

 Workforce Optimizationは、社内の人的リソースを最適化する。「例えばExcelにてカスタマーサービス担当者の人員配置を管理していると、休憩や休暇がうまく取れなかったり、パフォーマンスがなぜ落ちているのかわからなかったりする。Workforce Optimizationを使えば、チーム全体の業務進ちょくをリアルタイムでモニターできるほか、シフトを管理して休憩前にワークフローを分散し、担当者がきちんと休めるような仕組みを構築することも可能だ」(高橋氏)という。

Workforce Optimization

Creator Workflowsが登場

 Now PlatformはPaaSだが、同プラットフォームには「IT Workflows」「Customer Workflows」「Employee Workflows」という3つのSaaSが用意されている。Quebecでは、この3つに加えて新たに「Creator Workflows」が登場した。

 Creator Workflowsは、ノーコード開発を支援するソリューションだ。この中で、「App Engine Studio」という新アプリケーションを提供する。App Engine Studioでは、直感的なガイド付きのビジュアル開発環境により、コーディング経験のない人でもアプリの構築が可能になるという。

 これまでもServiceNowはローコード開発が可能なプラットフォームであることを強調していたが、これまでの違いとして高橋氏は、「従来よりServiceNowでは、コーディングがなくても開発可能だったものの、データモデルやテーブルの構成など、一部はIT開発者が認識する必要があった。それがApp Engine Studioを利用すれば、質の良いアプリを構築するためのテンプレートが提供されるため、それに従って業務担当者が開発できる」と話す。

 IT部門以外が開発を行う際の一般的な問題点として、「データをそのアプリ内にあらためて入れる必要がある」ことを高橋氏は挙げているが、「App Engine Studioを使えば、ServiceNowの中にあるデータにそのままアクセスできるため、現場の担当者がテンプレートを使用し自分の業務に必要なフローを自ら開発できる」としている。

 また、アプリのガバナンスに関する懸念点についても、「アプリをリリースするかどうかは、IT部門がコントロールできる」と高橋氏。「App Engine Studioにより、ServiceNowプラットフォーム上で既存の開発者と市民開発者をうまく結びつけながら開発できるようになる」と説明している。

App Engine Studio

3つのSaaSも機能強化

 このほか、従来より提供されていた3つのSaaSにもさまざまな機能が追加された。

 Customer Workflowsには、セルフサービスで自己解決するための機能として「Engagement Messenger」が追加された。これまでにもServiceNowでは同様の機能を提供していたが、ServiceNowのポータル、ナレッジ、仮想エージェントの3つを組み合わせて利用する必要があったという。それが今回のEngagement Messengerでは、「すでに利用しているサードパーティー製のポータルからも、仮想エージェントやナレッジを呼び出せるようになった。既存の環境との親和性高くなったことで、より早くServiceNowの機能が利用できる」と高橋氏は述べている。

Engagement Messenger

 IT Workflowsには、インシデントの予測が可能となる「ITOM Predictive AIOps」が追加された。これは、過去に発生したイベントや変更が問題につながった場合、それを機械学習が自動分析し、今後のインシデントの予兆を検知できるようになる機能。2020年1月にServiceNowが買収したLoom Systemsの機能をServiceNow上に実装し、ServiceNowの既存の機能と連携したものだという。

 Employee Workflowsには、リクエストを一括管理する「Universal Request」が追加された。これにより、部門間にまたがるリクエストでも一括で申請できるほか、申請したチケットのステータスが更新されるごとに通知を受けることができるという。

ITOM Predictive AIOps
Universal Request

 さらに高橋氏は、Employee Workflowsの新製品として法務部門の業務を支援する「Legal Service Delivery」を紹介した。これは前バージョンの「Paris」にて発表されていたが、北米のみでリリースしていた製品だ。Quebecでは、法的なeDiscoveryデータ収集プロセスを簡素化する「Digital Forensics」などの機能を追加し、日本でも提供する。

Digital Forensics

 なお、ServiceNowではバージョン名を世界の都市からABC順に採用しており、次回9月の新バージョンは「Roma」となる予定だ。