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ServiceNow JapanがNow Platformの最新版「San Diego」発表、新UIやAutomation Engineなどを提供

 ServiceNow Japanは29日、Now Platformの最新版「San Diego(サンディエゴ)」を発表した。

 Now Platformのメジャーリリースは上期と下期の年2回行われており、アルファベット順に都市名をつけてきた経緯がある。2022年上期版となるSan Diegoでは、最新のビジュアルデザインに一新したユーザーインターフェイス「Next Experience」を採用したほか、「Automation Engine」によって、ハイパーオートメーションを実現するために必要な新しいRPA機能を追加。企業や組織があらゆる業界や地域で直面している喫緊の課題に対応し、ニューエコノミーに向けてビジネスを変革できるように支援するという。

 さらに、銀行や保険会社、通信会社に加えて、新たにテクノロジープロバイダーのニーズに対応するインダストリーソリューションを提供する。

Now Platform 最新版「San Diego」リリース

 ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括本部の原智宏本部長は、「San DiegoはServiceNowの創業の地でもあり、本社でも力の入ったリリースになっている」と前置き。

 「Now Platformは、企業全体をシングルプラットフォームでデジタル化することで、業務を最適化し、人と人、業務と業務をつなぐことができる。San Diegoリリースでは、Now Platformでよりスマートなエクスペリエンスを実現するNext Experience、あらゆるものを自動化してServiceNowに接続するAutomation Engine、目的に応じたインダストリーソリューションにより、ビジネス価値実現を加速するインダストリーソリューションの拡張の3点が特徴になる」と述べた。

ServiceNow Japan 執行役員 ソリューションコンサルティング事業統括本部の原智宏本部長

 新たなユーザーインターフェイスである「Next Experience」は、コンポーネントライブラリやアイコン、フォント、イラストなどのデザインを一新し、最新のビジュアルデザインを提供する。

 またダッシュボードによるインサイト表示や、機械学習によるタスクの割り当て、次に取るべき最適なアクションの推奨などを含む次世代のビジュアルデザインを採用し、25種類以上の専用ワークスペースも提供するという。

 「コンシューマライズされ、モダンで直感的なUIと、パーソナライズ化され、コンテキストを理解したUIを実現することで、高い生産性の実現を後押ししていく」(原執行役員)としている。

新たなビジュアルデザインのユーザーインターフェイス「Next Experience」

 専用ワークスペースでは、カスタマーサービスやIT、人事、フィールドサービスといったように担当者別に準備したCSM Configurable Workspace、Dispatcher Workspace、HR Agent Workspace、Cloud Operations Workspace、Hardware Asset Manager Workspaceなどが含まれており、これらを活用することで、他部門からの問い合わせに対して、より効率的に対応ができるという。

 また、整流化したユーザーエクスペリエンスを提供し、ユーザーはあらゆるアプリケーションにおいて、最も重要な業務やタスクを把握しやすくなり、優先順位の高い作業から迅速に取りかかることができる。また、あらゆるアプリケーションを集約する一貫したユーザーエクスペリエンスを実現する最新のナビゲーションを提供し、「お気に入り」と「履歴」機能の強化によって、いつでも素早く作業に取りかかることができるという。

Next Experienceの特長

 ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャーの古谷隆一氏は、「Next Experienceは、拡張性、一貫性、セキュリティといった特徴を維持しながら、柔軟なカスタマイズ機能を提供している。サービスデリバリーの担当者など、1日の多くの時間をNow Platformの画面を見て過ごす人たちにとって、統一したナビゲーションや、シンプルなワークフローの効果は、すぐに実感できるだろう」と説明。

 また、「アクセシビリティや情報の密度、ライトモードやダークモードの選択などが可能であり、レイアウトがシンプルになったことで、自分の役割に関連する仕事に多くのスペースを割り当てることもでき、視認性も大幅に向上している。新たなUIを使いこなすためのTIPSも表示できる。業務や申請で必要な情報へ必要な時にアクセスすることができるようになり、優先順位の高いタスクから迅速に取り組めるようになり、一人ひとりのユーザーが、それぞれ最適な環境で作業できる機能を強化した」とも述べた。

ServiceNow Japan マーケティング本部 プロダクトマーケティング部 プロダクトマーケティングマネージャーの古谷隆一氏

 San Diegoの2つめの特徴は、ハイパーオートメーションの強化として、AIやRPA、ローコードアプリケーション開発といった技術を組み合わせ、複雑なビジネスプロセスを自動化するAutomation Engineの提供である。ハイパーオートメーションの実現に最重要と言える要素を既存のテクノロジーに追加。価値創出の実現までに要する時間を約3分の1に短縮できるメリットがある。

 また、ServiceNowのローコードアプリ開発製品であるApp EngineとAutomation Engineを組み合わせることで、ServiceNowの開発者がすぐに利用できるターンキーソリューションを提供し、従業員が繰り返し行っている手作業を自動化して、あらゆるシステムと連携できるようになるという。

 さらに、デジタルロボットを監視、管理、展開するためのコマンドセンターとして、新たなRPA Hubを提供。企業は反復的な手作業を自動化し、ビジネスプロセスを整流化することで、人的エラーを軽減し、従業員の生産性向上を図ることができる。

 RPA Hubは、自動化による価値創出の実現までにかかる時間を短縮することを目的に、1300以上の構築済みコンポーネントと、RPA Desktop Design Studioを提供。ユーザーは自動化プロセスを、必要に応じて拡張しながら人間主導型、あるいはロボット主導型のボットの設計や、テスト、公開を進めることができる。

 「RPAによる業務の自動化にとどまらず、機械学習を用いて、類似した業務プロセスを探索し、蓄積したデータをもとにAIが自動化の範囲を拡大。自動化した領域を再評価することで、継続的にパフォーマンスの改善を行うことができる」(古谷氏)という。

 また、Flow Designerを通じて、RPA Hub Spokeを介したRPA Hubへのノーコードアクセスを提供。ServiceNowの開発者であれば、誰でも、使い慣れたインターフェイスで、以前からのIntegration Hubとともに、RPA Hubを活用することができる。
「Integration Hubにより、APIをベースとしたシステム間連携を進めてきたが、これに加えて、UIアクションを自動化し、レガシーシステムへの連携を強化するRPA Hubを提供する。APIを持たないシステムに対してもServiceNowを通じた業務の統合を図ることができる」(原執行役員)とした。

Automation Engine

 一方で、Now Platformですぐに利用可能なインダストリーソリューションを提供する。

 銀行業界向けソリューションでは、新たに「Deposit Operations」機能を追加し、普通預金や当座預金、譲渡性預金に関する一般的なリクエストを自動化し、銀行業務を迅速に完了できる。また「Client Lifecycle Operations」では、取引開始や口座更新、KYC(顧客の本人確認手続き)の更新、死亡通知プロセスなどを、迅速かつコンプライアンスに準拠した方法で管理できるとした。

 保険業界向けには、保険業務を最適化、最新化する業界初のソリューションを提供。「Personal and Commercial Lines Servicing」により、保険商品サービスの提供が可能になり、ACORD規格に準拠することで一貫性と連携を向上することができるという。

 また通信業界向けソリューションとして、「Order Management」、「Service Management」、「Operations Management」などを追加することを発表した。

 さらにテクノロジー業界向けにも新たなソリューションを提供。「Technology Provider Service Management」により、AIを活用したセルフサービスおよびサポートを提供するほか、「Order Management for Technology Providers」によって、企業は製品やサービスを迅速に企画、開発して提供できるようになるという。

 「テクノロジープロバイダーの多くはサイロ化した組織となっており、連携すべきパートナー企業からも切り離されているという課題がある。また、組織や製品ポートフォリオの拡大、クラウドベースのサービス移行などに伴い、バックオフィス業務の複雑化という課題もある。Technology Provider Service Managementにより、こうした課題が解決でき、よりよい顧客エクスペリエンスを実現するとともに、コスト削減につなげることもできる」(古谷氏)とする。

 Technology Provider Service Managementに含まれるService Bridgeでは、Now Platformを利用する顧客、パートナーとワークフローを連携し、デジタル化によって、オペレーションを効率化できるという。

テクノロジー業界向けソリューション
Service Bridge

 原執行役員は、「顧客エクスペリエンス、従業員エクスペリエンスが重視される状況が生まれているものの、顧客や従業員の満足度が高まらないという課題がある。また、日本の企業は労働生産性が低く、コロナ前の水準に戻れていない実態もある。その解決のためには、オフラインを補完するデジタルといった考え方ではなく、デジタルを起点に高度化、効率化を図り、業務の深いところでテクノロジーを活用し、さらに、ユーザー主導型のDXの推移のためにデジタル人材を育成していく必要がある。DXを推進するテクノロジー戦略は、企業戦略そのものである」と、企業を取り巻く環境の変化について説明。

 「ServiceNowは、新たなブランドタグラインとして、『The world works with ServiceNow』を掲げた。すべてのビジネスには、ビジネスエクスペリエンスを実現するプロセスがあり、サイロ化したプロセスに横ぐしを通すことができるワークフローが必要である。そのためのプラットフォームとしてServiceNowを利用してもらう提案を進めていく。ServiceNowの根幹となるNow Platformは、顧客エクスペリエンスの向上、従業員エクスペリエンスの向上、事業運営の高度化および効率化、テクノロジーのさらなる活用、DXを推進する人材の育成という5つの領域に対して、取り組みを加速させることができる。Now Platformによって、一貫したユーザーエクスペリエンスの提供、共通のデータモデルやデータ基盤の実現、AIや機械学習を通したデータの活用とハイパーオートメーションの実現、ユーザー主導の取り組みを後押しするローコード・ノーコード開発を提供することになる」と述べた。