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Concur Invoiceで請求書処理のための出社削減を支援――、コンカーがデジタルインボイス構想を表明

 株式会社コンカーは10日、請求書管理サービス「Concur Invoice」の国内における新規導入目標として、2024年までの4年間で1500社を目指す計画を明らかにした。2020年の導入実績の3.12倍になる。また、同社におけるConcur Invoiceの売り上げ構成比は、2019年の10%から2020年には22%に拡大しているが、これをさらに高め、2024年には40%を目指すという。

 コンカーの三村真宗社長は、「現在、国内の時価総額トップ100のうち49社でコンカーが採用されており、日本の企業の多くのビジネスパーソンを、紙とオフィスの仕事から解放させることができた」とする。

コンカーの三村真宗社長

 一方、「紙の請求書がボトルネックとなり、経理部門のリモートワーク化を妨げている。コンカーのソリューションは在宅勤務を想定して開発したものではなかったが、コンカーを導入していたからこそ、スムーズに在宅勤務に移行できたという声がある。最も在宅勤務が遅れているのが経理部門である」という点を指摘。

 「原因は紙であり、特に請求書は支払いが発生し、タイムリーに処理されなくてはならないため、オフィスへの出社が余儀なくされている。コンカーの次のテーマは、請求書のデジタル化である。これにより、経理部門をオフィスでの仕事から解放する」としたほか、「現時点では、経費精算のConcur Expenseが事業の中心だが、今後はConcur Invoiceが大きな柱に育っていく」と述べた。

紙の請求書がボトルネックとなり、経理部門のリモートワーク化を妨げている

 同社サイトへのアクセス数の推移を見ると、コロナ禍において、これまで多かった「経費精算」を「請求書」の需要が初めて上回り、さらにその差が広がっているという。

 「これまでは、現業部門がかかわることになる領収書などの経費精算の課題が優先され、そちらの導入ニーズが高く、請求書に対する問題意識は経理部門に限定されていたため、スポットライトが当たりにくかった。だが、コロナ禍においてそれが大きく変わった。アクセス数の変化は、紙の請求書が原因となって、経理部門が在宅勤務に移行できないことに頭を悩ましている企業が多いことの証しである。また、コロナ禍でConcur Invoiceの導入が加速している。今後、一気に請求書のデジタル化が進むと考えている」とした。

コンカーホームページへのアクセス数の推移

サードパーティ製品との連携も推進

 Concur Invoiceは、消耗品や水道光熱費、外部サービス費などの請求書に基づいて、支払い依頼、承認、支払い処理などのプロセスを自動化し、請求書支払いの処理プロセスの時間を短縮できるのが特徴だ。

 具体的には、紙やPDFなどの請求書をAI-OCR機能でデジタル化し、電子請求書やネットワーク化された電子取引を、支出情報の発生源と直接データ連携。統合されたデジタル請求書管理を実現するほか、請求書管理で必要な標準レポートや意思決定に必要なKPIを網羅したダッシュボードにより、請求書処理や支払い、キャッシュフローなどを見える化することができる。請求書情報の自動入力から承認、支払いまでのプロセスを包括的に支援し、ペーパーレス化および請求書業務の自動化を実現可能という。

 今回新たに、LINE AIカンパニーとの協業により、LINE CLOVAのAI技術を活用した文字認識サービス「CLOVA OCR」が、Concur Invoiceと連携することを発表した。紙で受領した請求書をCLOVA OCRでデジタル化することで、Concur Invoiceで、デジタル化した請求書の購買規定チェックや承認、分析、請求書保管などの一連の業務フローを行うことができる。同機能は、今年秋を目標にリリース。Concur App Centerによって提供する予定だ。

 LINE AIカンパニー カンパニーエグゼクティブCRO兼AI事業推進室室長の飯塚純也氏は、「請求書に特化した世界最高の認識精度を誇るCLOVA OCRにより、紙で受領した請求書をデジタルデータに変換する。項目の認識から分類までを自動化し、入力業務の負荷を劇的に軽減できる。請求書業務の革新を実現するものであり、請求書業務のこれからの当たり前を作っていく」とした。

LINE AIカンパニー カンパニーエグゼクティブCRO兼AI事業推進室室長の飯塚純也氏

 また、53万社が利用しているインフォマートの「BtoBプラットフォーム請求書」との連携についても説明。インフォマートの長尾收社長は、「BtoBプラットフォーム請求書で受け取ったデータをボタンひとつで、Concur Invoiceと連携することで、さらなる生産性の向上、さらなるペーパーレス化が実現できる。民間企業のみならず、自治体や学校法人を対象に展開し、コンカーのApp Centerパートナーとして連携を深め、国内の請求書業務の電子化に取り組む」とした。

 コンカー ソリューションコンサルタントの吉野孝亮氏は、「BtoBプラットフォーム請求書とCLOVA OCRとの連携により、入力レスやペーパーレスを実現でき、請求書の受け取りから保管までの請求書業務が効率化される。また、コンカーの自動チェックや分析を利用することでガバナンスを強化できる。請求書業務の課題を解決できる」と述べた。

インフォマート 代表取締役社長の長尾收氏
BtoBプラットフォーム請求書とConcur Invoiceとの連携

 なお、今後は、サードパーティとの協業により、Concur InvoiceとECサイトの連携のほか、VAT(Value Added Tax)還付や、リモート監査などにも対応。さらに、2023年10月以降に導入されるインボイス制度にも対応していくことになるという。

請求書の電子化に関する実態調査

 また、請求書の電子化に関する実態調査について発表した。

 「リモート経理に向けた請求書の電子化に関する実態調査」と題した今回の調査は、日本CFO協会の会員を中心とした日本企業の財務幹部など455人から有効回答を得ており、2020年12月22日~2021年1月18日の期間、インターネットを利用して行った。

 これによると、請求書業務(受取、入力、承認、支払いなど)が負担だと思うという回答は87%に達しているほか、請求書業務が効率化されていない原因として「紙業務の多さ」を挙げた人が66%と最も多かった。

請求書業務が効率化されていない原因は?

 「受領する請求書がPDFなどにデジタル化されている比率が10%未満」とした企業は50%に達し、75%の企業が請求書業務のために出社を強いられていたことがわかった。特に、請求書のデジタル化率が20%未満の企業では、「出社頻度が多かった」と回答した人が53%にも達していた。

 「請求書のデジタル化の比率と在宅勤務の比率には強い相関関係が見られる。紙の請求書が在宅勤務を阻害している。請求書をデジタル化すれば、在宅勤務が難しいと言われる経理部門でも、在宅勤務が利用できる」とし、「請求書のペーパーレス化の必要性を感じる人は93%に達している状況にある」と指摘した。

 だが、請求書のペーパーレス化の実現時期については、取り組んでいる企業と1年以内に取り組むとしている企業が51%、3年以内する企業が41%となっているものの、現時点でデジタル化した請求書に対応する請求書管理システムがあるとい回答した企業は37%にとどまった。

 今回の調査から、約9割が請求書のペーパーレス化の必要性を感じながらも、実態はアナログから抜け出せないという実態が明らかになったとしている。

請求書のデジタル化の割合と出社頻度
請求書の電子化にかかわる現状について

コンカーが推進するデジタルインボイス構想

 さらに、同社が推進する「デジタルインボイス構想」について説明した。

 同構想は、日本企業の請求書業務をデジタル化することを目指すもので、紙の請求書が元凶となって、プロセス全体がアナログ処理になっていることに着目。入力の自動化、電子ワークフローの導入、購買規定の自動チェックやデータ分析による不正検出、オフィス外や自宅からスマートフォンを使った電子承認などによって、請求書業務の課題を解決することになる。

 三村社長は、「直接材の購買プロセスは、デジタル化により最適化が進んでいるが、間接材の購買プロセスでは、アナログの業務で最適化が遅れている。ここをデジタル化していく必要がある」と指摘した。

 Concur Invoiceをハブとして、AIを活用した自動入力機能の採用や、外部パートナーのサービスとの連携によって、請求書業務の受け取りから入力、チェックや承認といった各業務フローを効率化し、最終的には請求書のデジタル化による「請求書業務改革」を実現することになる。

 ここでは、BPOサービスによって、受取代行、入力代行、チェック代行などの人手がかかわる作業を代行し、デジタル化を支援する体制も準備しているという。

デジタルインボイスへの進化
デジタルインボイス構想を構成する要素