ニュース

コンカー、最後まで残る“承認レス”の実現へ向け、経費の不正検知ソリューションを提供する2社と協業

 株式会社コンカーは7日、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)、デロイト トーマツ リスクサービス株式会社(以下、デロイト トーマツ)と、不正検知ソリューションに関する戦略的協業を行うことを発表した。

 コンカーが行った「経費管理と不正リスクに関する調査」で、担当者の7割が「経費精算の不正を見つけたことがある」と回答。さらに9割の担当者が「人による目視チェックだけで不正を見つけるのは難しい」と回答している。今回、日本IBM、デロイト トーマツとの戦略的協業を行い、共催セミナーなどを通じて両社のソリューションをコンカーのユーザーに提案。両社のソリューションを活用して、経費精算領域の不正検知の精度向上と承認業務の効率化を目指す。

経費精算業務における業務フローの変化

 コンカーの代表取締役社長である三村真宗氏は、「当社が目指すのは経費精算のない世界。不正検知ソリューションによって経費精算の承認レスを実現する最後のピースが埋まった」と説明。不正検知ソリューションによって経費精算時の承認業務の自動化を目指していく。

コンカーの代表取締役社長、三村真宗氏

“承認レス”の実現へ向けた取り組みを実施

 不正検知ソリューションを提供する2社と協業する背景として、三村氏は「あらゆるビジネスパーソンにとって、付加価値のない仕事が経費精算。経費精算のない世界実現に向け、日本に進出した10年かけてさまざまな施策を進めてきた。すでにキャッシュレス、入力レスを実現し、2022年1月からの電子帳簿保存法改正によってペーパーレスとなる規制緩和も実現する。しかし、最後まで残っているのが承認レス」と述べ、経費精算の承認作業をなくすのは難しかったと指摘する。

 実際に、コンカーの管理部バイスプレジデント COOの金澤千亜紀氏は、管理部門責任者として「承認レス実現は難しいのではないかと考えていた」と明らかにする。

経費精算のない世界へ向けて

 その一方で、コンカーが行った調査では経理担当者の43%が「内容チェックが不十分」と回答し、承認作業が形骸(けいがい)化していることがうかがえる。さらに67%の人が「不正を見つけたことがある」と回答している。不正を見つけたと答えている経理担当者は、従業員数5000人以上の企業から100人以下の企業まで企業規模を問わない。経理担当者は、「接待費」、「物品購入費」の不正についてはリスクが低いと考えているものの、「出張費」、「近隣交通費」は不正が発生する傾向にあるという。不正の金額については、1万円未満が54%と最も多いが、5万円以上の不正も24%発生しているという。

 承認作業を行っていても不正が発生。2022年1月からスタートする電子帳簿保存法の改正では、スマートフォンで領収書を撮影することが認められるため、異なる部署でひとつの領収書を使い回すといった不正が起こっても、人間の承認作業では気がつきにくい。

 コンカーでは、社員に対し「誓約書による意識の引きしめ」とともに、法人カード、交通系ICカード、QRコード決済、タクシー配車アプリなどを利用することによる「キャッシュレス決済」の実現で、不正が起こる余地をなくすことの必要性を訴えている。

不正経費の具体例とデジタルを活用した対策

 さらに、ITを活用し、不正を検知する仕組みを作ることが必要としている。個別の経費申請に対しては、監査ルール機能、確認作業のアウトソーシングの利用、日本IBMが提供する「経費精算不正検知ソリューション」の利用などの対策が考えられるという。

承認レスの具現化手段

 日本IBMの経費精算不正検知ソリューションは、日本IBMがコンカーのソリューションを販売してきた経験とともに、IBMの承認レス・不正検知のノウハウによる事前・事後チェックを実現。さらに自社規定との整合性など社内外のデータの活用、様式の異なる領収書を読み取るAI-OCR機能などを組み合わせ、各社に適した仕組みを構築する。

 「特徴は、IBM自身がこのテーマにチャレンジしてきた経験、ノウハウをベースにしている点だ。さらにコンカーのデータに加え、ほかの社内システムのデータを合わせることで精度を高めた。OCRは日本語用OCRを利用し、読み取りの精度を高めている。お客さまごとの検知ノウハウを加味することで、かゆいところに手の届く自動化を実現している」(日本IBM パートナーの松本直也氏)。

 導入までの期間は1.5カ月から6カ月程度で、価格は顧客ごとに応相談となっているが、「数百万円規模から導入できる」(松本氏)という。

日本IBMの経費精算不正検知ソリューション

 蓄積した経費データに関しては、Concur Intelligenceを利用した分析機能、異常値を検知した場合メールでアラートを送るアラート機能、日本IBMの経費精算不正検知ソリューションの利用に加え、デロイトトーマツの「Risk Analytics on Cloud」を利用できる。

 Risk Analytics on Cloudは、デロイトトーマツの監査法人としてグローバルでの豊富な事例と経験を基にしたリスクシナリオと分析ロジックを備えたアプリケーション。初期投資を抑え、短期間で導入することが可能となっている。

 「デロイトトーマツが会計検査の経験を通じて得た経験、不正リスクシナリオのライブラリーを持っている。このシナリオを基に、2018年、Risk Analytics on Cloudをリリースした。企業は持っているデータをCloudにアップロードするが、経費・労務分析アプリなどいくつかのシナリオが用意されている。経費分析アプリを実行すれば、経費に関連するリスクが高い部署や社員の洗い出しが行える」(デロイトトーマツグループ パートナーのカイル・ランネルズ氏)。

 製品の特徴としては、リスクシナリオを継続的に提供し、データを蓄積していくことによって、分析精度が恒常的に上昇可能なほか、プログラミング等を学習しなくとも気軽に利用可能な点を挙げた。

 また初期費用を抑え、1カ月から1.5カ月程度と短期間に導入できる点も特徴とのこと。価格は個別に応相談だが、数百万円程度で導入できるとしている。

Risk Analytics on Cloud

 コンカーでは2社と戦略的協業を行うことで、両社のソリューション導入を進め、今後はすべての新規導入企業に対し「承認レス」を推奨する考え。さらに、現在1400社となっているコンカーの導入企業に対しても、「承認レス」導入の必要性をアピールし、今後4年間で半数の企業への導入を目指す。

 三村氏は、「承認レスソリューションは、特定の業種だけでなくすべての業種が導入できるソリューションだが、出張が多い営業職を多く抱える企業の関心が高い。例えば製薬会社のMA業務のように営業活動が多い業種からの注目が高いようだ」と説明している。