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AI inside、エッジコンピュータの新製品「AI inside Cube mini」を提供開始

大幅なコンパクト化・低価格化によりAIの活用シーン拡大へ

 AI inside株式会社は4日、エッジコンピュータ「AI inside Cubeシリーズ」の新たなラインアップとして、コンパクトサイズの「AI inside Cube mini」を提供開始すると発表した。

 同日には、「AI inside Cube」シリーズの概要および新モデル「AI inside Cube mini」の特徴や今後の展開について、オンライン説明会を開催した。

「AI inside Cube mini」を披露するAI inside 代表取締役社長 CEOの渡久地択氏。右は従来モデルの「AI inside Cube」

 「AI inside Cube mini」は、「AI inside Cube」シリーズのスピーディーな導入、シンプルな操作性、セキュアな環境を兼ね備えた上で、コンパクトなサイズを実現したエッジコンピュータの新モデル。コンパクトな筐体でありながら、十分な処理性能があり、場所を選ばずオフィスや工場など多様なシーンで利用できる。また、IoT活用も想定した、あらゆるAIを動かすことが可能で、より導入しやすいサブスクリプション価格で提供する。

AI inside Cube mini

 AI inside 代表取締役社長 CEOの渡久地択氏は、新製品の説明に先立ち、同社のビジネス概要について、「当社は“AI inside X”をビジョンに掲げ、誰でも、安く、早く、AIを作れて使える世界を目指して事業を展開している。そして、これを実現する製品として、AIを動かすためのハードウェア『AI inside Cube』、AIを作るためのソフトウェア『AI inside Learning Center』、AIを使うためのソフトウェア『DX Suite』を提供している」と紹介した。

AI inside 代表取締役社長 CEOの渡久地択氏

 AIを動かすためのハードウェア「AI inside Cube」は、デジタル化の促進とプライバシーの保護を実現するエッジコンピュータで、パワフルなCPU/GPUを搭載しながら、100V電源で稼働するためオフィスに設置でき、追加冷却も不要な点が特徴となっている。また、届いたその日から、Plug and Playでスイッチをオンにするだけで使い始めることが可能で、誰もが扱えるシンプルな操作性を実現している。

 今回の新製品「AI inside Cube mini」は、この「AI inside Cube」シリーズの新たなラインアップとしてリリースするもの。渡久地氏は、新製品の特徴について、「『AI inside Cube mini』では、従来の『AI inside Cube』シリーズの特徴を継承しつつ、さらに幅広いシーンでAIを活用してもらうため、よりコンパクトなエッジコンピュータを追求した。

 サイズは約150mm×150mm×150mm、重量は2.5㎏と、従来モデルに比べて大幅な小型軽量化を実現している。デザインにもこだわっており、外側から1本もネジが見えないヘアライン加工されたアルミボディを採用。排熱システムについても、下から吸気して上から排熱する煙突効果を利用した効率的なシステムとなっている」と説明した。

新製品「AI inside Cube mini」(左)と従来モデル「AI inside Cube」

 ストレージ容量は512GBを搭載。従来モデル同様、AI inside独自のAI管理ソフトウェアにより、あらゆるAI活用に対応できる。特に、同社が開発・提供するAIを使うためのソフトウェア「DX Suite」をインストールすることで、紙帳票の活字・手書き文字を高精度に読み取るAI-OCRシステムを導入することが可能となる。

 またセキュリティ面については、ユーザーが自身の情報をコントロールできるように設計されており、AI insideを含む第三者にデータを提供することなく、いつでもAIの処理を行うことができる。

 渡久地氏は今後の販売展開について、「従来の『AI inside Cube』シリーズは、大企業や金融機関、自治体を中心に導入を拡大してきた。特に自治体では、行政総合ネットワークのインフラとして、現在までに延べ500自治体に採用されている。今回の新製品『AI inside Cube mini』については、コンパクトかつ低価格である特長を生かして、大企業の支社・支店や中小企業、さらには屋外での利用、カメラやデジタルサイネージとの連携といったIoTでの活用にも導入提案を進めていく」との考えを示した。

 「AI inside Cube mini」の価格は、本体代金が月額3万円から。ソフトウェア利用料を合わせて、サブスクリプション価格で提供する。

 なお、説明会では、「AI inside Cube」シリーズの具体的な活用事例として、「AI Video OCR」、「本人確認書類と顔の照合(顔認証)」、「画像認識による危険物感知」の3つのシステムを紹介した。

 「AI Video OCR」は、映像上の活字をAI-OCRで読み取ることができるシステム。現在、テレビ朝日へ技術協力しており、スポーツ番組内の文字スーパーを読み取るAI Video OCRシステムに、「AI inside Cube」が活用されているという。

「AI Video OCR」の活用事例イメージ

 「本人確認書類と顔の照合(顔認証)」は、免許証やマイナンバーなどの顔写真付き本人確認書類と本人の顔を照合するシステムで、金融サービスや入場ゲートなどの本人確認業務に活用されている。「DX Suite」で文字を読み取った名前や住所などの本人情報(デジタルデータ)と突合することもできる。

「本人確認書類と顔の照合(顔認証)」の活用事例イメージ

 「画像認識による危険物感知」は、ゴミ処理場のベルトコンベア上にカメラを設置し、映像上で危険物感知をするAIシステム。「AI inside Cube」を導入し、AIを作るためのソフトウェア「AI inside Learning Center」によって、アノテーション処理を行うことで危険物を学習させ、危険物感知モデルを作成したとしている。

「画像認識による危険物感知」の活用事例イメージ