ニュース

アドビ、ビジネスプロフェッショナル向けのAIプラットフォーム「Acrobat Studio」を発表

 米Adobeは19日(米国時間)、AIを搭載したプラットフォーム「Adobe Acrobat Studio」を発表した。ビジネスプロフェッショナルをターゲットとして、同日より英語版を世界各国で提供開始する。日本語版は現在準備中だ。

Adobe Acrobat Studio

 アドビ Document Cloud プロダクトマーケティングディレクターの山本晶子氏は、同製品のターゲット層となるビジネスプロフェッショナルについて、「AIの登場や情報過多の中、必要な知識を素早く見つけ、成果を出すというプレッシャーに直面している。また、コミュニケーションやコラボレーションの形態が変化し、役割分担も従来以上に複雑化したことから、広範なスキルが求められるようになった」と話す。

アドビ Document Cloud プロダクトマーケティングディレクター 山本晶子氏

 その一方で、組織としてのビジネスニーズも変化しており、情報や人材、テクノロジーから最大限の価値を引き出す必要があるが、「非構造データが大半を占めアクセスが難しいことや、AIツールの費用対効果が不透明なこと、また予算の制約が厳しくなっていることが進捗を妨げている」と山本氏は指摘する。

 特に、非構造データの多くはPDFに蓄積されているが、「膨大な文書から必要な情報を人手で探すのには時間がかかるほか、共有はできても次のアクションに生かしづらい。また、文書の知見をコンテンツに変換し見栄えをよくするまでの流れを、ひとつのツールでは完結できなかった」と、山本氏はこれまでの文書活用の課題を述べ、「こうした課題を解決するために、文書作成から共有、レビュー、デザイン強化までを一貫して実施できるAcrobat Studioを開発した」と語った。

変化するビジネスニーズ

 Acrobat Studioには、PDF Spacesというワークスペース機能が用意されている。このPDF Spacesでは、保存されたファイルやWebサイトを対話型ナレッジハブに変換可能。またPDF Spaces内のAIアシスタントには、「インストラクター」「アナリスト」「エンターテイナー」といった特定の役割を割り当てることができ、例えばインストラクターの役割を持ったAIアシスタントは、教師が生徒に説明するようなスタイルで情報を提示する。加えて、ユーザーが自身のニーズに合わせて、新たに定義した役割をAIアシスタントに付与することも可能で、パーソナライズされたAIアシスタントも含め、チームメンバーや顧客らとの共有にも対応した。

 PDF Spacesの対応フォーマットは、PDF、DOCX、PPTX、TXT、RTF、XLSX、VTTなど。WebのURLや、コピーされたテキストのほか、クラウドファイルとしてはAdobeクラウドストレージ、Box、Dropbox、Google Drive、OneDriveに対応する。ただし、音声や動画ファイルには現時点では対応していない。

 また、Acrobat Studioには、クリエイターでなくてもビジネスプロフェッショナルが見栄えのよいコンテンツを容易に作成できるよう、Adobe Expressも搭載されている。Acrobat Studioでは、Adobe Expressプレミアムプランの全機能が利用でき、プロがデザインしたテンプレートやブランドキットのほか、「テキストから動画生成」や「テキストから画像生成」などのAdobe Firefly搭載ツールも利用可能だ。

 山本氏は、「アドビのビジョンは、膨大なナレッジが眠っているPDFなどの文書を、ビジネスプロフェッショナルが効率的に活用して新しく魅力的なものを作り出し、最終成果物にするまでの過程をシームレスにインテグレーションすることだ」と述べている。

Acrobat Studioの機能

Acrobat Studioは、14日間の無料トライアルで、PDF SpacesやAcrobat AIアシスタント、Adobe Expressプレミアム機能が無制限に利用できる。早期アクセス価格は、個人向けが月額24.99ドル、チーム向けが月額29.99ドルとなる。

ビジネスプロフェッショナルを支援するAcrobat Studio