特別企画

VMware Cloud on AWS、Kubernetes、ブロックチェーン――、CEOとCTOが語ったVMwareの最新技術

vForum Tokyo 2018を振り返る

VMware Cloud Foundation 3.5:“Any Cloud”の範囲をエッジコンピューティングまで拡大

 「5年前に私が“これからはハイブリッドクラウドが主流になる”と言ったとき、多くの人々が懐疑的な表情を見せていた」――。ゲルシンガーCEOは5年前をこう振り返っているが、たしかに2013年ごろはパブリッククラウドとしてAWSが急速に勢いを増していた時期であり、既存のITベンダやデータセンター事業者が大きな焦りを見せ始めた時期でもある。

 この当時のVMwareは、vSphere、vSAN、そして買収したNiciraの技術をベースにしたNSXでもって「SDDC(Software-Defined Data Center)」を推進しており、エンタープライズにおいてはオンプレミスとパブリッククラウドが混在することを想定していた。

 もっとも、現在のようにAWSからベアメタルリソースの提供を受けるような状況はまだ想定外だったろうが。

 このSDDCに管理ソフトウェアを統合し、オンプレミスのデータセンターでの稼働はもちろんのこと、AWSをはじめとする多くのパブリッククラウドプロバイダとの連携を前提としたハイブリッドクラウドプラットフォームへと進化したフレームワークが「VMware Cloud Foundation」である。

 この最新バージョンである「VMware Cloud Foundation 3.5」が、11月6日付でスペイン・バルセロナで発表され、新たに以下のアップデートが行われている。

・Dell EMCの次世代サーバー「Dell EMC PowerEdge MX」との「VMware vSAN ReadyNodes」における相互運用性強化
・「VMware SDDC Manager」と、HPEのコンポーザブルインフラストラクチャ「HPE Synergy」に搭載したIT管理ソフトウェア「HPE OneView」の統合
・ESXi以外のハイパーバイザにも対応するネットワーク仮想化製品「VMware NSX-T 2.3」との統合によりKubernetesサポートが拡充、コンテナ化されたアプリケーションのユースケースにも対応可能に、またマネージドKubernetesサービス「VMware PKS」にも対応
・「VMware vSphere 6.7 Update 1」「VMware NSX-T 2.3」「VMware vRealize Automation 7.5」「VMware vRealize Operations 7.0」「VMware vRealize Network Insight 4.0」などVMware製品の最新バージョンに対応

VMware Cloud Foundation 3.5では導入オプションが拡大し、対応ハードウェアのラインアップが増えている

 今回のアップデートを見ると、導入オプションの拡充やKubernetesサポートの強化など、オンプレミス側のエクスペリエンス拡張によりフォーカスされている印象をもつ。

 ゲルシンガーCEOは「パブリッククラウドにおいてはAWSやIBMはもちろん、(富士通やNiftyなど)日本のメジャーなクラウドプロバイダとも多く提携してきた。これらに加えVMware Cloud Foundationでは、より広い範囲のハイブリッドクラウドインフラをカバーし、アジャイルでスケーラブルなITインフラ環境を効率良いかたちで提供していく」と語っている。

 なお、ゲルシンガーCEOの説明によれば、VMwareの定義する“ハイブリッドクラウド”には、工場やブランチオフィスを対象にしたエッジコンピューティングも含まれている。VMwareは2018年8月の「VMworld 2018」においてエッジコンピューティングを実現するテクノロジ「Project Dimension」のテックプレビューを公開したが、VMware Cloud Foundationでもこれをサポートしていくとしており、特に製造業などIoTビジネスでの普及が見込まれる日本市場を「大きなオポチュニティ(機会)」(ゲルシンガーCEO)としてとらえていると語っている。

「VMworld 2018」で発表されたエッジコンピューティング技術「Project Dimension」を、VMware Cloud Foundationでカバーするハイブリッドクラウドとして位置付けている