特別企画

VMware Cloud on AWS、Kubernetes、ブロックチェーン――、CEOとCTOが語ったVMwareの最新技術

vForum Tokyo 2018を振り返る

カーボンニュートラル目標達成の前倒しに見る“Technology for Good”へのフォーカス

 ロバートソン社長に続いてキーノートに登壇したのが、この日の主役であるパット・ゲルシンガーCEOだ。Intel時代から50回以上の来日を果たしているゲルシンガーCEOだが、日本のVMwareユーザーを前にあらためて「今日、この場に帰って来られたことを心からうれしく思う。私はこの国と、この国に生きる人々を本当に愛している」とあいさつし、VMwareが日本市場と日本のユーザーを重要視していることを強調している。

VMwareのパット・ゲルシンガーCEO

 続けてゲルシンガーCEOは、VMwareがサーバー/デスクトップ/ネットワークの仮想化を通じて多くの課題を解決してきたことを紹介。さらにVMwareによる新たな「世界規模の大きな貢献」(ゲルシンガーCEO)として、同社の事業活動におけるカーボンニュートラルの目標を、当初の予定だった2020年よりも2年早く達成したことを紹介している。

 VMwareは仮想化ソリューションを世界に広げたことにより、顧客が排出するはずだった、累計5億4000万トンの二酸化炭素を削減したといわれているが、同社自身もまたエネルギー効率化や再生可能エネルギーの購入などを通して、積極的な省エネ活動を展開してきた。

 ほかの最新技術に先駆けてカーボンニュートラルの目標達成をゲルシンガーCEOが取り上げたことは、最近のVMwareがテクノロジによる社会貢献(Technology for Good)に注力していることを示している。

VMwareが社会貢献の一環として取り組むカーボンニュートラルの目標を2年前倒しで達成できたことを報告

VMware vSphere Platinum:AppDefenseをネイティブ統合したvSphereの新フラグシップ

 VMwareの最新技術として最初に紹介されたのは「VMware vSphere Platinum」、2017年のVMworldで初めて発表されたVMwareのセキュリティサービス「AppDefense」をvSphereにネイティブに統合した、新たなフラグシップ製品である。

2017年に発表されたセキュリティ技術AppDefenseをvSphereにネイティブ統合した「vSphere Platinum」の提供が開始

 AppDefenseは「現在のセキュリティ製品にありがちな後付けのセキュリティではなく、最初からセキュリティがインフラにビルトインされている状態」(ゲルシンガーCEO)をアプリケーションに提供する。

 具体的には、

1) アプリケーションの既知のあるべき姿や振る舞いをAIで学習
2) 1)で学習した知識をもとにアプリケーションの状態をチェックし、保護
3) 適切な状態や振る舞いとは異なる挙動を検知した場合はロックし、あらかじめ決めてある対策を自動で実行する

といったプロセスを通して、vSphereネイティブの機能としてアプリケーションを保護し、さらに学習を繰り返すことで保護対象をより限定して、運用負荷を軽減していく。

vSphere Platinumでアプリケーションに対するスレット(脅威)を検出しているデモ画面。アプリケーションの状況をリアルタイムで把握し、通常の振る舞いと異なる場合はすぐにロックし、対策を採る

 ゲルシンガーCEOは、このAppDefenseによるアプリケーション保護のプロセスを「Learn(学習)/Lock(保護)/Adapt(適応)」と呼んでおり、これらを自動で実行できるメリットを強調している。

 「VMwareはマイクロセグメンテーションによりネットワークセキュリティを強化してきたが、vSphere Platinumはこれをアプリケーションレベルにまでエンハンスした“アダプティブ・マイクロセグメンテーション”の実現である。ポストオペレーション(後付けの処理)のセキュリティの時代はもう終わりにするべきだ」(ゲルシンガーCEO)。