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AWS re:Invent 2018レポート、ジャシーCEOが発表した20の新サービスを一挙に解説

AWSクラウドは“ビルダー”をレガシーから解放し続ける――

 「われわれはひとつのツールが世界を支配できるとは信じていない。われわれはすべての人々がその仕事に最適なツール(the right tool for the right job)を使えることを望んでいる」――。

 11月28日(米国時間)、米ラスベガスで開催されたAWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent 2018」(11/26~11/30)のキーノートに登壇したAWSのアンディ・ジャシーCEOは、5万人を超える聴衆を前にAWSクラウドのミッションを語ったが、この”the right tool for the right job”は、今回のキーノート中にジャシーCEOが何度も引用したフレーズである。

 いまだに膨大なレガシーの鎖につながれたままの状態にある人々を、クラウドでもって解放していく、それはAWSがサービス提供を開始した2006年から訴えてきたことではあるが、今年はその解放のスピードをさらに加速するかのように、ジャシーCEOは20ものサービスをキーノートで発表している。

 本稿ではその概要を紹介しながら、AWSがあらためて挑もうとしている“レガシーからの解放”について検証してみたい。

I want it all and I want it now -“すべてを、いますぐ”をかなえるストレージサービス

 昨年のキーノートでジャシーCEOは、AWSがフォーカスする5つのテーマごとに、それぞれを象徴する楽曲を最初にハウスバンドが演奏し、新サービスを紹介するというかたちで発表を行ったが、今回のre:Inventでも同じアプローチを用いている。

 最初のテーマは「ビルダーたちが求めるものはなにか(What do builders want?)」、そしてハウスバンドが演奏した曲はクイーンの「I Want It All」――。

 ジャシーCEOは「I want it all and I want it now(すべてが欲しい、いますぐ欲しい)」という歌詞になぞらえ、「ビルダーたちはいますぐすべてが欲しいのであり、AWSはその要望に応えていきたい」として、ストレージ/ファイルシステム関連の3つのアップデートを発表している。

Glacier Deep Archive

オンプレミスのテープより低価格で容易にコールドデータを管理できる、フルマネージドのアーカイブサービス。99.999999999%(ナインイレブン)の耐久性と1Gbあたり月額0.00099ドルという低コストで、2019年より全リージョンで提供開始

テープよりも安くて簡単に利用できるコールドデータのアーカイブサービス「Glacier Deep Archive」は12時間以内にオフサイトのデータの取得が可能に
Amazon FSx for Windows File Server

ネイティブWindowsファイルサーバー上に構築された、フルマネージドなWindowsファイルシステム。ほかの管理用のハードウェア/ソフトウェアを一切必要としない。ファイルシステムあたり最大2GB/秒のスループットと、サブミリ秒のレイテンシを備えた高速性に加え、データ保存時および転送中に自動で暗号化される安全性も提供。全リージョンですでにGA

AWSが最近力を入れているWindows関連のサービスとしてフルマネージドのWindowsファイルシステム「Amazon Fsx for Windows Server」が登場。PCI-DSS、ISO、HIPAAに準拠し、セキュリティやコンプライアンスも高いレベルで担保する
Amazon FSx for Lustre

HPCやマシンラーニング、メディアデータ処理など処理負荷の高いワークロードに適したフルマネージドなLustreファイルシステム。数百GB/秒のスループット、数百万IOPS、サブミリ秒のレイテンシという高速性で大量のデータセットを処理する。S3と統合されているため、S3データへのアクセスが容易なほか、Direct ConnectやVPN経由でのFSxファイルシステムにアクセスすることも可能。全リージョンでGA

もうひとつのフルマネージドのファイルシステムはLustreをサポートする「Amazon FSx for Lustre」

 データがどこに、どんなかたちで保存されていようとも、いますぐそれを取り出したい、しかもできるだけ、安く、簡単に、安全に――。これらのサービスは、そうしたユーザー(ビルダー)のリクエストに対するAWSからの回答となる。

 注目したいのは、低価格で高速であることはもちろんのこと、すべてフルマネージドで提供されているという点だ。AWSはここ数年、上位レイヤのサービスを、ユーザーが容易に利用できるフルマネージドの形態で提供することに注力しており、これら3つのストレージサービスもそうした流れをくんだものといえる。

新しくなったAWSのストレージオファリング。オブジェクトストレージとファイルシステムがアップデートされ、よりパワフルなストレージファミリが形成された