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NRI、自社データセンターに導入したパブリッククラウドを提供する「顧客向け専用パブリッククラウドサービス」を4月開始

 株式会社野村総合研究所(以下、NRI)は、NRIのデータセンター内に閉じた形で導入・構築したパブリッククラウド(以下、専用パブリッククラウド)の仕組みを、NRIが提供する金融ビジネスプラットフォームで利用するだけでなく、顧客企業が運営するシステムにおいても利用を可能とする「顧客向け専用パブリッククラウドサービス」を4月に提供開始すると発表した。

 NRIは、2012年からパブリッククラウドの活用に取り組んでおり、2020年には世界で初めて、自社のデータセンターに「Oracle Cloud Infrastructure Dedicated Region(以下、OCI Dedicated Region)」を導入し、専用パブリッククラウドとして自社のサービスに活用してきた。

 今回、蓄積したノウハウを生かし、自社で利用するのと同様のサービスを、オラクルの「Oracle Alloy」を活用して顧客企業向けにサービス提供することが可能な仕組みを構築した。

 サービスでは、NRIがこれまで培ってきた金融統制に対応した高水準のガバナンスやセキュリティを確保しつつ、企業がDXを実現する上で重要な成功要因のひとつである「パブリッククラウドの活用」を支える多様なサービス群を提供すると説明。昨今、経済安全保障の観点から注目されている「デジタル主権」を確保しながら、安全で安心な情報システムの利用が可能となるため、パブリッククラウドの活用に慎重な企業、特に「データ主権」を重視する企業において、サービスの採用が有効な選択肢になるとしている。

 サービスに用いる機器やソフトウェアは、NRIが運用する自社データセンター内に設置しているため、「データの置き場所」が明確になる。NRIが長年、プライベートクラウドを用いてSaaS運用を行う過程で培ってきたノウハウを基に、金融統制に準拠したルールでサービスを提供し、高いレベルでのガバナンスやセキュリティを確保している。

 サービスで活用しているOracle Alloyは、NRIのデータセンターに導入しながら、オラクルが提供するパブリッククラウドであるOCI(Oracle Cloud Infrastructure)のIaaS、PaaSのフルサービスの提供が可能で、パブリッククラウド利用と遜色のないタイミングで最新のサービス、機能の活用ができる。

 専用パブリッククラウドだけではなく、パブリッククラウドをも含めた、マルチクラウドサービスの一体的な運営が可能。ネットワークやサイバーセキュリティなども含め、オンプレミスを含めたシステム環境をトータルで運営・監視するマネージドサービス「atlax」を活用することで、専用パブリッククラウドだけでなく、顧客企業のシステム全体として最適な運用を実現できる。

NRIのマルチクラウド戦略を実現する「マネージドサービス」の概念(赤枠は、今回拡充した範囲を示している)

 NRIでは、2024年中に自社データセンターにおいて、専用パブリッククラウドとしてAmazon Web Services(AWS)の「AWS Outposts」を導入することや、AIの活用に不可欠なGPUをOCIへ導入することも計画していると説明。NRIは主要なパブリッククラウドベンダーとの間で、強固なパートナーシップを確保するとともに、NRIとしてのべ約5800人の社員がクラウド技術に関する資格を保有しており、マルチクラウド戦略の推進によって、顧客企業のパブリッククラウドを最大限活用したビジネス推進に今後とも寄与していくとしている。