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NRI、金融機関向けのセキュアな個社専用AIプラットフォームを2025年度上期中に提供

 株式会社野村総合研究所(以下、NRI)は10日、データ主権を確保しながら金融機関の求める高いセキュリティ水準を満たす「NRI 金融AIプラットフォーム(仮称)」(以下、金融AIプラットフォーム)を、2025年度上期中に提供開始すると発表した。なお同プラットフォームは、各社専用の環境をNRIのデータセンター内に構築され、安全かつ柔軟にAIを活用できるという。

 金融機関では、投資家保護や運用対象の多様化、規制等に対応した生産性の高いレジリエント(強靭)なオペレーション体制の構築が求められているため、高度な金融知識をLLM(大規模言語モデル)などのAI技術と組み合わせて利用するビジネス改革が有効な手段になるという。しかし一方で、金融ビジネスでのAI活用においては、個人情報や機微情報の適切な管理・保護も課題になっているとのこと。

 今回発表された「金融AIプラットフォーム」は、こうした課題を解決し、金融機関がさまざまな用途で適切にAIを活用できるようにするプラットフォームサービスで、金融ビジネスにおけるLLMの導入に関しては、回答の信頼性と正確性が重要となるため、カナダのAI企業であるCohere(コーヒア)のLLMを採用し、NRIが持つ金融ビジネスへの知見と、金融機関向けに提供しているITソリューション内のデータ等を取り込むという。

 また最新のGPUを導入し、金融ビジネスが求める性能要件に準拠した上で、膨大なデータ処理を実現するとした。なお採用するLLMについては、Cohere以外のモデルも検討していくとした。

 環境については、金融機関が求める高いセキュリティ水準に対応するため、NRIのデータセンターに導入したクラウドサービス基盤「Oracle Alloy」を活用して各社専用の環境を構築し、LLM等のAIによるデータ処理をデータセンター内で完結可能にしている。これにより、データ主権を確保しながら、堅牢かつ柔軟に活用できるAI環境を提供でき、情報収集のみにとどまらない、金融ビジネスや金融サービスへのAI活用が期待できるとしている。

 さらに、「金融AIプラットフォーム」を利用することで、NRIのデータセンター上で稼働するITソリューションにおいても、シームレスかつセキュアにAIを導入可能になるとのこと。具体的には、NRIがこれまでに培ってきた金融ビジネス支援のノウハウを生かして、特にAIの適用効果が高いと考えられる、「営業業務支援」「コンプライアンス業務支援」「事務の高度化・自律化」の3つの戦略分野について、このプラットフォームを活用した新しい金融ソリューションの提供を予定する。

 なお、金融ビジネスにおける「金融AIプラットフォーム」の活用方法については、NRIのデータサイエンティストやAIエキスパートが支援するとのことだ。