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日本オラクルが「Oracle Compute Cloud@Customer」発表、企業が自社データセンター内でOCIサービスを利用可能

Compute Cloud@Customer

 日本オラクル株式会社は9日、Oracle Compute Cloud@Customerの提供を開始すると発表した。

 Oracle Compute Cloud@Customerは、OCI ComputeサービスおよびOCI Storageサービス、OCI Networkingサービスを、ひとつのラックで提供し、自社データセンターで使用することができるフルマネージドクラウドプラットフォームとなる。

Oracle Compute Cloud@Customer - OCI Computeを1ラックに

 米Oracle システムズ・プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのジェイソン・シェーファー(Jason Schaffer)氏は、「Oracle Compute Cloud@Customerは、顧客からの強い要望により誕生した製品であり、当社の分散クラウド戦略を拡張するものになる。どこにいても、OCIサービスを利用できる環境が実現できるようになる」と位置づけたほか、「AWS Outpostsなどの競合製品に比べてもラック密度が高く、VM(仮想マシン)あたりのコア数やストレージの拡張性でも競争力を持ち、優位なポジションにある」と強調した。

米Oracle システムズ・プロダクト・マネジメント担当バイスプレジデントのジェイソン・シェーファー氏

 最小構成として、552個のプロセッサーコア、6.7TBメモリ、150TBのブロックストレージやファイルストレージ、オブジェクトストレージを提供。パブリッククラウドと同様に柔軟にリソースを変更できるのが特徴であり、最大で6624個のプロセッサーコア、80.4TBメモリ、3.4PBのストレージ容量にまで、ダイナミックな拡張が可能だ。もちろんコストを優先し、利用するリソースを柔軟に縮小することもできる。

Compute Cloud@Customerのスケーラビリティ

 また、クラウドネイティブアプリケーションやエンタープライズアプリケーションを効率的に実行するとともに、OCIとの互換性によって、データセンターとクラウド間のワークロードを容易に移動させることができる点も特徴に挙げた。

 「一度開発したアプリケーションは、Oracleが提供するすべての分散クラウド環境で利用できる。データのセキュリティを担保し、業界の規制や各国の基準を満たした運用が可能になる。OCIの柔軟性、ポータビリティも実現でき、パブリッククラウドと同様のVM環境、API、SDK、管理コンソールも利用である。OCIと同じSLAも実現している」という。

 Compute Cloud@Customer上のデータは常に暗号化されており、セキュリティ面も強化。OCIコンソールから、データの局所性、レプリケーション、バックアップを完全に制御できる。これにより、データレジデンシーやプライバシーに関する厳しい要件にも対応できる。

 さらに、Oracle Exadata Cloud@Customerとの組み合わせによって、Oracleのデータベースと密接に統合したワークロードにも対応。自社のデータセンターとOCIのリージョンで、同じOCIサービスを活用しながら、開発者やIT担当者が、同じAPIや管理ツールを利用し、場所を問わずに一貫したユーザー体験を提供できる。

Compute Cloud@Customerの特徴

 「Oracle Exadata Cloud@Customerは、データベースだけの提供になっているため、導入しているユーザーからは、ミドルウェアもアプリケーションもサポートした環境が欲しいという要望があった。Oracle Compute Cloud@Customerは、1ラックでありながらも、Oracle Exadata Cloud@Customerと同じ性能を実現するだけでなく、1秒あたり800GB相当のスループットでの接続可能が可能であり、自社データセンターでクラウドネイティブアプリケーションを走らせながら、その横でOracle Exadata Cloud@Customerによりエンタープライズアプリケーションを走らせることができる。高可用性のクラウドインフラを活用しながら、オンプレミスのデータレジデンシーを実現したいという要望にも対応できる」とコメント。

 「Oracle Compute Cloud@Customer の製品化は、Oracle Exadata Cloud@Customerを利用しているユーザーから特に要望が多かったものであり、まずは、Oracle Exadata Cloud@Customerユーザーによる導入が先行するだろう」と予測した。

Oracle Compute Cloud@CustomerとOracle Exadata Cloud@Customerを直接接続

 また、OCIパブリッククラウドおよびOCI Dedicated Regionを、コントロールプレーンとして活用できるほか、これらとの接続が遮断されてもOracle Compute Cloud@Customerの運用が継続できるという。

Compute Cloud@Customerは、OCIパブリッククラウドおよびOCI Dedicated Regionとネイティブに統合されているという

 コストメリットについても訴求。「OCIによるパブリッククラウドと同等の価格設定となっており、同等のサービス、同等の拡張性が提供し、それを世界共通の価格で提供する」と述べた。

 価格設定は、CPUが1時間あたり0.03ドル、オブジェクトストレージは1GBあたり0.0255ドルなどとなっている。また、Oracleが直接、構築やインストール、所有、管理を行う包括的なクラウドプラットフォームであるため、ユーザーによる保守やアップグレードの負担が軽減されるというメリットもある。

Compute Cloud@Customerは、OCIパブリッククラウドと同じ価格でサービスを提供

 OCIの導入オプションも利用でき、ユーザーが指定した場所や必要なパフォーマンス、セキュリティ、コンプライアンス、オペレーションモデルに応じて、100以上のOCIサービスの機能を含めることができるほか、サブセットのみを含めることもできるという。

 シェーファー氏は、「オラクルでは、どこでもOCIの価値を利用できる『分散クラウド戦略』を打ち出しており、すでにOCI Dedicated RegionやOracle Exadata Cloud@Customerなどを提供。Oracle Database Service for Azureにより、他社にクラウドを利用しながらOCIを利用したり、EU Sovereign Cloudによる専用クラウドにもアクセスできるようにしている。今回のOracle Compute Cloud@Customerも、分散クラウド戦略を実現するソリューションのひとつになる」と発言。「分散クラウド戦略は、パブリッククラウドの柔軟性を維持した形で活用したいといったユーザーに加え、オンプレスミから離れられない、セキュリティを確保しなくてはならない、レイテンシーの課題を解決しながら、コンピューティングパワーを活用したいといったさまざまな顧客のニーズにも対応したものにある。97%のユーザーがフル機能のプライベートクラウドを活用していたり、あるいは活用したいと考えており、Oracle Compute Cloud@Customerは、そうしたニーズに応えることができる製品である」と語った。