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ワークデイ日本法人、2023年は製品力と体制の強化で攻めの戦略を展開

 ワークデイ株式会社は12日、2023年の経営方針説明会を開催した。グローバルでの好調なビジネスを受け、日本でも攻めの戦略を展開し、「日本企業の組織変革を実現させるリーディングカンパニーとなることを目指す」(ワークデイ エグゼクティブ・プレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長 正井拓己氏)という。

ワークデイ エグゼクティブ・プレジデント 兼 日本担当ゼネラルマネージャー日本法人社長 正井拓己氏

 正井氏は、同社のグローバルでの業績が、2022年(2022年2月~2023年1月)のサブスクリプション収入で前年比22.5%成長になったと説明。従業員数は世界30カ国以上で1万7700人に達し、アジア太平洋日本地域は1000人を突破したという。「ワークデイは、人工知能(AI)と機械学習(ML)のイノベーションを促進している。プラットフォームの中心にAIとMLを組み込み、独自のアプローチによって未来の働き方を推進していく」と正井氏は述べている。

2022年のWorkdayの業績

 2023年の国内戦略としては、「今後5年間の日本の人事ソリューション市場での一層のビジネス拡大に向け、製品力と体制を強化し、攻めの戦略を展開する」と正井氏。具体的な施策として、「ソリューションのさらなる展開」「パートナーエコシステムの強化」「日本法人の拡充」の3点を挙げた。

2023年の日本法人の目標
日本法人の今年度の戦略

日本市場に対応した製品などを強化

 ソリューションの展開については、「HCM(人的資本管理)製品を日本市場の要件に合わせて強化する」と正井氏。これまで日本では、主に製造業や製薬業、プロフェッショナルサービス、テクノロジーといった分野の企業での採用が多かったというが、「米国では金融や公共といった業種でも導入が進んでいる。日本でもさまざまな市場に対応した要件を強化し、採用業界を拡大していきたい」としている。

ソリューションの展開について

 また、スキル関連機能やAI/MLの機能も強化するほか、HCMだけでなく財務や計画までカバーする統合ソリューションを推進する。新製品として、従業員のフィードバックをリアルタイムで収集・分析するプラットフォーム「Workday Peakon Employee Voice」も近日中に正式リリースする予定だという。

WorkdayのAIとML

 同社では、さまざまな製品群を統合したソリューションを「Workdayエンタープライズマネジメントクラウド」として展開している。これについて正井氏は、「統合化されたデータモデルとセキュリティモデルを中心に構築されたアーキティクチャでソリューションが構成されているため、変化の激しい経営環境の中で求められる迅速なデータの活用が実現できる」としている。

 またAIとMLについては、「10年以上前から取り組んでおり、AIとMLを製品の中枢に据えた開発投資を続けている。プラットフォームそのものにAIとMLを組み込んで運用しているため、アプリケーションを再設計することなくユーザーはAIとMLを活用できる」と正井氏。すでにHCMや財務分野でさまざまな提案や分析、異常値の検出といった機能にAIやMLを活用していると説明した。

 「こうした機能は使えば使うほどさらに進化するため、活用が進むことで当社のテクノロジーがより向上し、働き方の未来が実現する。引き続き信頼性の高いAI/MLの機能を開発することで、さらなる価値の創出を目指したい」と正井氏は述べている。

パートナーエコシステムの拡充

 パートナーエコシステムについては、「エコシステムの拡充を図るとともに、パートナーとの共同ソリューションの展開も強化していきたい。また、パートナー向けの製品トレーニングにもこれまで以上に注力する」と正井氏は話す。

 エコシステムの拡充について正井氏は、「人事制度改革の専門性の高いパートナーに対し、アドバイザリーパートナーという制度を導入するほか、チェンジマネジメントも含めた運用保守を担当するパートナーも新たに日本で展開する」という。また、ファイナンスプランニング領域のパートナーシップについては、「アクセンチュアおよびデロイトトーマツとのパートナーシップをこの領域にも広げ、拡販を目指したい」としている。

 パートナーとの共同ソリューションについては、「東芝デジタルソリューションズの給与管理ソリューションと、ワークデイの統合システムを結ぶ連携コネクタをリリースした」と正井氏。このほかにも、ESG(環境・社会・ガバナンス)や採用、財務といった分野での共同ソリューション開発が進んでおり、各パートナーと新規エリアのソリューション開発に注力していくという。

 また、専門家の育成に対する需要も高まっているとして、「Workdayコンサルタントの数を増やすべく、日本におけるパートナー向け教育プログラムを拡張する」(正井氏)という。トレーニングの日本語対応など、ローカライゼーションにも注力し、「日本におけるパートナー人材の倍増を目指したい」としている。

今年度の日本におけるパートナー戦略

日本法人の組織拡大に向けて

 日本法人の拡充については、営業体制の拡大とニューノーマルへの対応、採用力の強化に努める。

 営業体制は、製品特化型の営業チームやデジタルセールスチームを日本法人でも新設し、組織を拡大する。また、今年は日本法人独自で新たにパートナーとの協業ビジネス専任のセールス組織も新設したという。

 ニューノーマルへの対応としては、2022年7月に東京オフィスを移転し、フレックスワーク制度を導入。採用力の強化に向けては、日本専属の採用チームを発足したほか、日本独自のオンボーディングのプログラムも開始した。

日本法人の組織拡大

 米Workday 共同CEOのカール・エッシェンバック(Carl Eschenbach)氏は、「日本には大きな可能性があり、日本に寄り添った施策を実行していくことが重要だ。日本には独自のビジネス習慣や規制があるため、これまで以上に日本のビジネス環境に合った製品を増やし、ローカライゼーションを進めていきたい」と述べた。

米Workday 共同CEO カール・エッシェンバック(Carl Eschenbach)氏