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ワークデイ、AIエージェントを一元管理するシステムを発表 人材管理システムを応用
2025年2月28日 11:10
ワークデイ株式会社は27日、さまざまなAIエージェントを一元管理する「Agent System of Record」を発表した。Agent System of Recordは現在開発中で、今年後半に利用可能となる予定だ。
ワークデイ 最高技術責任者の小今井裕氏は、「今後、人間のワークフォースと、AIエージェントのようなデジタルワークフォースが協力してビジネスを進めるようになるのは明白で、こうしたハイブリッドなワークフォースを管理する単一の管理システムが必要となる。ワークデイは、20年にわたって人事管理システムのレコードを管理してきており、この管理プラットフォームがAIエージェントを管理するプラットフォームに一番適していると考えている」と、Agent System of Recordの開発に至った背景を説明した。
小今井氏は、「従業員とAIエージェントの管理に必要な機能は非常に似ている」と話す。その機能とは、ライフサイクルマネジメントと、ワークフォースの最適化、そしてガバナンスとコンプライアンスだ。
「ライフサイクルマネジメントにより、オンボーディングやオフボーディング、スキル管理などが可能となる。ワークフォースの最適化では、従業員とエージェントの配置や調整、パフォーマンス管理などが可能だ。ガバナンスとコンプライアンスでは、法律の順守やアクセス制御、倫理、ポリシーなどを考慮して管理する」と小今井氏は述べ、Agent System of Recordがこうした機能を提供するとした。
Agent System of Recordでは、すべてのAIエージェントを単一システム上で管理し、AIエージェントによる効果や効率性を見える化する。新たに導入するAIエージェントの役割やスキル、関連データへの安全なアクセスを定義するほか、AIエージェントの予算やROIを最適化、ビジネス成果の効率性や効果を確認できるようにする。また、AIエージェントの活動をリアルタイムにモニタリングしてオペレーションを可視化し、コストやパフォーマンスを最適化することに加え、設定の自動化やアクセス制御、ポリシーの適用によってセキュリティとコンプライアンスを確保する。
「AIエージェントの活用が進み、エージェントの数が増えてくると、エージェントを統合的に管理する仕組みが必要になる。こうした中、Agent System of Recordは重要な役割を果たす」と小今井氏は述べている。
Agent System of Recordに加え、ワークデイは現在開発中の新たなAIエージェントも発表した。2024年9月には、「リクルーターエージェント」「経費管理エージェント」「後継者育成エージェント」「最適化エージェント」をリリースしていたが、今回新たに「契約管理エージェント」「給与管理エージェント」「会計監査エージェント」「ポリシーエージェント」を追加する。
契約管理エージェントは、企業の契約を定期的に分析し、契約上の責任や改善の機会を顕在化。その情報を活用し、事業価値の最大化やリスク軽減に向けたアクションへとつなげる。給与管理エージェントは、間違った給与データを特定し更新するほか、監査ワークフローの自動化や修正案の提案を行う。
会計監査エージェントは、ビジネス資料を読み取り、取引の監視や残高照合、内部統制を確認することで、監査プロセスを効率化しリスクを低減する。ポリシーエージェントは、企業が定める内部規定や方針などを継続的に読み取り、必要に応じてその情報を従業員に提供、コンプライアンスの向上と人事担当者の業務負担軽減を実現する。
これらのAIエージェントは、「エージェントのマーケットプレイスを通じて提供することを検討している」と小今井氏。このマーケットプレイスでは、ワークデイが開発したエージェントはもちろんのこと、パートナーが開発したエージェントも公開し、そこからAgent System of Recordに登録して管理できるようにする予定だという。
「ワークデイは長年、人材管理やスキル管理など、人間に関するSystem of Recordの経験を積み重ねてきた。AIエージェントの時代には、人間とエージェントを単一システムでレコードとして扱う統合プラットフォームが求められるようになるが、ワークデイはこれまでのプラットフォームを自然に拡張することで、そのようなプラットフォームが提供できる。今後、人間とロールベースのエージェントが共存する世界において、人間とエージェントによるワンチームを実現する支援を行っていきたい」と小今井氏は述べた。