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シスコが中小企業向け事業戦略をアップデート、新たな販売ルートとしてビックカメラと交渉中
Amazon.co.jpでの販売も強化
2022年1月14日 11:47
シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は13日、中小企業向けビジネス戦略について説明会を開催した。
その中で、シスコ 執行役員 SMB・デジタル事業担当の石黒圭祐氏は、製品販売の新たなルートとしてビックカメラと交渉中であることを明かした。
石黒氏は、「従来のSIビジネスであれば、シスコのパートナーからソリューションを提供する形態が中心だったが、中小企業や自らシステムを構築したい顧客に対しては、新たな販売チャネルを検討する必要がある」として、市場にアプローチする新ルートの開拓に取り組んでいると説明。そのひとつがビックカメラだという。
ビックカメラには法人専用窓口が設けられており、各地域の専属営業部隊が顧客を訪問するなどして製品を販売している。シスコとしては、このビックカメラ法人専用窓口が販売する製品の中にシスコ製品を組み入れてもらいたい考えだ。
「コンシューマーに非常に近い存在であるビックカメラのような販売店に、当社の製品を提供してもらうことで、シスコソリューションをより身近に感じてもらいたい」と石黒氏は述べている。
またシスコでは、オンライン販売も拡充する。Amazon.co.jpでの販売もそのひとつだ。すでにシスコはAmazonにて70もの製品を販売しており、そのラインアップもネットワーク製品やアクセスポイント、スイッチングハブに加え、ウェブカメラやヘッドセットなど多岐にわたる。「大企業の社員であっても、今では各社員が中小企業の経営者のように個人で何かを購買するパターンが多くなった」と、石黒氏はAmazonでの販売を強化している背景について述べ、最近ではB2BのみならずB2Cのニーズもとらえているとした。
自社サイトのWebex.comも強化し、新たに双方向性とエンゲージメントを最大化する「Slido」を統合した。Slidoはシスコが買収した製品で、すでにSIビジネスで先行して製品統合が行われていたが、「オンライン購入の顧客に対してもSlidoのライセンスをWebexに統合し、ワンストップで購入できるようにした」と石黒氏。Slidoのライセンスを単体で購入すると月額3万円はかかるというが、Webexの基本機能として提供することで、Webexの月額サブスクリプション料金である1790円からの利用が可能だという。
もちろん、従来のパートナービジネスも引き続き拡大していく。石黒氏は、NTT東日本やリコージャパン、ダイワボウ情報システムといったパートナーが、ここ数年でマネージドサービスを中心にビジネスを大きく拡大したと紹介。近日中には、リコージャパンがシスコのクラウドセキュリティソリューション「Cisco Umbrella」を活用した新たなサービスをリリースするほか、ダイワボウ情報システムもセキュリティマネージドサービスを拡充する予定としている。
製品については、中小企業向けにネットワーク、セキュリティ、コラボレーションの3分野のソリューションを強化するとしており、中でもコラボレーション分野では「家庭でも使ってもらえるようなデバイスを数多く展開していきたい」と石黒氏。そのひとつとして、現在日本では未発売で国内に1台しかないという「Webex Desk Mini」を披露した。
ディスプレイ型のWebex Desk Miniには、持ち運びができるハンドルがついているほか、スピーカーとマイクが内蔵されており、「ボタンを押すだけですぐにリモート会議に参加できる」と石黒氏は説明する。同製品を、既存のネットワーク製品やセキュリティ製品と連携して提供していく考えだという。
なお、シスコ 専務執行役員 アジア太平洋地域SMBビジネス統括の鎌田道子氏によると、約3年前は中小企業市場の売上の約8割はオンプレミス製品だったというが、直近の四半期では6割近い売上がクラウドビジネスによるものだったとのこと。
特に日本は、パンデミック前と後で中小企業向けビジネスがアジア地域平均の成長率を大幅に上回り、特にクラウド関連の売上の成長が顕著だ。その背景について鎌田氏は、「パンデミックは予期せぬ出来事だったが、東京オリンピックを想定して推進してきたマネージドサービスとオンラインビジネス、クラウドビジネスが、今の市場にうまくマッチした」と分析している。