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シスコ、中小企業向け新ブランド「Cisco Designed」をスタート クラウド管理ソリューションとパートナー連携に注力

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は26日、2015年から国内市場で独自に展開してきた中小企業向けブランド「Cisco Start」を、グローバルに展開する「Cisco Designed」としてリブランディングし、中小企業へのフォーカスをさらに強めていく方針を明らかにした。

 報道関係者向けにオンライン発表会を行った、シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括 大中裕士氏は「国内労働人口の68%を雇用し、企業数にして99%を占める中小企業は日本を元気にしていく原動力。Cisco Designedという新たなブランドのもと、クラウド型システムのポートフォリオを中心にして、パートナーとともに中小企業のデジタル変革を支援していきたい」と語っており、国内中小企業のクラウド移行を新たなアプローチから推進していく構えだ。

シスコがグローバルで新たに展開する中小企業向けのブランド「Cisco Designed」はニューノーマルにおける中小企業のデジタル化を支援する
シスコ 専務執行役員 パートナー事業統括 大中裕士氏

従業員数25名から250名の企業がメインターゲット

 Cisco DesignedはCiscoがグローバルで掲げる中小企業向けのソリューションブランドで、従業員数25名から250名の企業がメインターゲットとなる。

 コアとなるコンセプトは以下の通り。

デジタル変革の支援

新型コロナウイルスの感染拡大後の世界である”ニューノーマル”を見据えて、テレワークやデジタルコラボレーションを推進することで中小企業のデジタル化を支援する

クラウドマネージドソリューション

インフラやセキュリティの専門人材が社内にいない(あるいは非常に少ない)中小企業の事情を配慮して、初期導入に専用機器/ソフトウェアを必要としないクラウドマネージドソリューションにフォーカスする

パートナー連携

中小企業を熟知するパートナーと緊密に連携し、運用サポートやライフサイクルサポート、月額サブスクリプションなどをパートナーごとに最適化されたマネージドサービスとして提供する

 この3つのコンセプトにもとづき、Cisco Designedは協賛するパートナーを通じて、「クラウドマネージドをフォーカスに、中小企業のデジタル化を促進する最適なソリューション」(シスコ APJCアーキテクチャセールス ビジネス開発担当 中元聡氏)として提供される。

シスコ APJCアーキテクチャセールス ビジネス開発担当 中元聡氏

 現時点でCisco Designedに含まれる製品群は以下の通り。

クラウド管理ネットワーク

「Cisco Meraki」シリーズ

コラボレーション

「Cisco Webex」シリーズ、「Ciscoハンド/ヘッドセット」

セキュリティ

「Cisco Duo Security」「Cisco Umbrella」「Cisco AnyConnect」「Cisco ASA/ Firepower」「Cisco AMP」

ルータ

「Cisco ISR 900」シリーズ

スイッチ

「Cisco Catalyst 1000」シリーズ、Cisco SGシリーズ

ワイヤレス(無線LAN)

「Cisco Aironet 1800/2800」シリーズ、「Cisco WAP」シリーズ

ハイブリッドクラウドコンピューティング

「Cisco HyperFlex Edge」「Cisco UCS」「Cisco Intersight」

Cisco Designedに含まれる製品群。MerakiやWebExなどマネージドクラウドを意識した製品はもちろん、HyperFlex EdgeやUCSなどクラウドへの移行がしやすいハードウェアやセキュリティ製品群が含まれている点が特徴

 なお、今回のCisco Designedのリブランディングにともない、シスコはマネージドサービスパートナープログラム「CSMP(Cisco and Managed Services Program)」に新たなエントリレベル「CSMP Express」を新設、現時点でダイワボウ情報システム、富士通マーケティング、北陸通信ネットワーク、KDDIまとめてオフィス、NTT東日本、NTT西日本、大塚商会、オプテージ、リコージャパンの9社がこれに参加している。

Cisco Designedに協賛し、新たに国内マネージドサービスパートナーとしてエントリする9社

中小企業のための「Designed for “ニューノーマル” Business」

 新型コロナウイルスの感染拡大は世界中の企業の事業活動に大きなインパクトを与えたが、中小企業の場合は特に、セキュリティ、ビジネスの継続、そしてデジタル変革という3つの課題が以前よりも大きくのしかかってきている。Cisco Designedはそうした課題に直面する中小企業に対し「Designed for “ニューノーマル” Business」(中元氏)をサポートすることを狙いとしている。

 「シスコはコロナ後の中小企業のビジネスにおいて4つのユースケースを想定している」と中元氏は説明する。

・テレワークへの本格対応、バーチャル環境や在宅環境での業務の拡大
・テレワーク環境でのセキュリティ、なりすましや情報漏えいへの対策
・オンライン医療やオンライン教育、オンラインイベント、オンラインセールスなどコラボレーションのデジタル化
・デジタル変革を支えるインフラソリューションへの移行、オートメーション化

Cisco Designedにおける4つのユースケース。ビジネスの維持継続から、ビジネス変革とさらなる成長へと向かうフェーズに分かれている

 このうち前半2つは「ビジネスの維持/継続」となるフェーズ、後半2つは「ビジネスの変革から成長」へとつながるフェーズである。コロナ禍、あるいはコロナ後にあって中小企業がまず取り組むべきはテレワークの本格対応とセキュリティの確保であり、そこから発展的にオンラインコラボレーションへのフォーカスやインフラのシフト、さらには自動化へと進めていくことで、先に挙げたコロナ禍におけるチャレンジを乗り切ることが可能となるとしている。

 MerakiやWebExがCisco Designedのポートフォリオに含まれていることからも、クラウドマネージド型のテレワークやデジタルコラボレーションへの投資が中小企業にとっても欠かせないというコンセプトであることがわかる。

 すでに国内でもMerakiの導入でテレワーク環境整備を実現した福島コンピューターシステムなどCisco Designedの事例が出てきているが、シスコでは今後「法人数約170万社に対してCisco Designedの導入率30%」(シスコ マーケティング本部 部長 水谷雄彦氏)を目指して展開していくとしている。

「ニューノーマルにおける中小企業のビジネスをデザインする」というCisco Designedは、まずは中小企業におけるテレワークの本格的な定着をめざす
Cisco Designedの国内事例のひとつ、福島コンピューターシステムでは緊急事態宣言にともない、「Cisco Meraki Z3」を250台導入し、全社員のテレワーク環境を早期に構築した
Cisco Designedでは従業員25名から250名の中小企業をメインターゲットに、170万社に対して約30%の導入率を狙う
シスコ マーケティング本部 部長 水谷雄彦氏