ニュース

Blue Prism、新体制での日本市場向けRPA戦略を発表 個人作業の自動化から業務プロセスの自動化へのレベルアップを支援

 英Blue Prismの日本法人であるBlue Prism株式会社は6日、記者説明会を開催。6月1日付で新社長に就任した長谷太志氏が、新体制での日本市場向け戦略について発表した。また、5月にリリースしたRPAプラットフォームの最新バージョン「Blue Prism v6.5」のポイントを紹介した。

 説明会の冒頭で、英Blue Prism チーフセールスオフィサーのピーター・オニール氏は、グローバルでのビジネス展開について、「当社は、従来のRPAのモデルとは大きく異なるコネクテッドRPAソリューションを提供している。これは、RPAで従業員の個々のタスクを自動化するのではなく、企業の主要な業務プロセスを自動化するものだ。実際に、当社の顧客の多くが100以上のロボット使い、大規模なRPAを実装することでビジネス価値を生み出している」と、価値をアピールする。

 一方で、「大規模なRPAを導入している企業はわずか13%という市場調査結果も出ており、RPAのビジネス上のメリットを享受できている企業は少ないのが現実だ。当社は、RPA市場のリーダーとして、今後も大規模RPAの導入拡大を推進していく」と述べた。

 また、日本市場については、「当社にとって日本は、世界で2番目に重要な市場と位置付けている。今回、長谷氏が新社長に就任したことを機に、さらなる市場開拓に力を注いでいく」と意欲を見せた。

英Blue Prism チーフセールスオフィサーのピーター・オニール氏

 続いて、Blue Prism日本法人の新社長に就任した長谷太志氏が登壇。2017年11月に日本法人が本格始動して以来、これまでのビジネス展開を踏まえて、新体制での日本市場に向けたアプローチとして、「スモールスタートの支援」「RPA本格展開への課題解決」「パートナーエコシステムの確立」の3点を挙げた。

Blue Prism 社長の長谷太志氏

 「スモールスタートの支援」について長谷氏は、「日本市場は、まだRPA導入のアーリーステージであり、RPAが本当に使えるのか、投資対効果があるのかを検証するため、スモールスタートでの導入を検討している企業が多い。そこで、今後も『Blue Prism』の日本市場での価格改定を継続し、1ライセンス120万円から提供していく。課金対象となるのは本番環境での最大同時実行数で、開発ライセンスは無償で提供する。また、6月からは、Azure Marketplace上で、最大3週間の無料トライアルライセンスを配布開始する予定だ」と説明した。

 「RPA本格展開への課題解決」としては、総務省が発表しているRPAにおける「三段階の自動化レベル」を示しながら、「日本企業のRPA導入の実態は、『三段階の自動化レベル』のクラス1『定期業務の自動化』にも至っていないと考えている。クラス0の『個人作業の自動化』が進んでいる状態で、使われているRPAは、ガバナンスやセキュリティ、組織として使うための運用・管理機能は全く備わっていない。また、RPAが個々のデスクトップで分散管理されているため、ロボットを改修する際には個別に実施する必要があり、本格的な大規模展開に向けて大きな課題を抱えている」と指摘する。

日本のRPA導入の現状

 これに対して同社の「Blue Prism」は、部品型・集中管理型のRPAソリューションになっており、今後の大規模展開に耐えうる運用管理機能を提供するという。「『Blue Prism』では、RPAの部品群を用意しており、これを業務部門が組み合わせることでプロセスを自動化し、簡単かつ柔軟に業務改善・業務改革を実現することができる。新しい部品が必要になったときには、IT部門に申請して開発してもらうことができる。また、部品群を集中管理することで、ロボットの改修が発生した際にも、一元的に全プロセスに反映することが可能となっている」とした。

 「パートナーエコシステムの確立」については、日本市場でのパートナーエコシステムをさらに拡大し、パートナーとの協業によって、顧客のニーズに応じた様々なRPAの部品群を開発・提供していくという。「これらの3つのアプローチによって、日本企業のRPA導入レベルをアップし、個人作業の自動化から大規模展開による業務プロセスの自動化へと導いていく」との考えを示した。

パートナーエコシステムで自動化部品群を提供

 なお同社では、RPAプラットフォームの最新バージョン「Blue Prism v6.5」を5月から日本市場でリリースしている。Blue Prism プロダクトマーケティング シニアディレクターの内田修氏は、最新バージョンの機能強化ポイントについて、「グローバル対応の強化として、日本語および多言語への対応を拡充した。とくに今回、ユーザーインターフェイスの完全日本語対応を実現している。また、データ管理機能の強化として、データゲートウェイ機能やGoogle Sheets VBOを提供。セキュリティ機能についても、ログインエージェントの機能を拡張した」としている。

Blue Prism プロダクトマーケティング シニアディレクターの内田修氏
完全日本語した「Blue Prism v6.5」のインターフェイス

 あわせて、インテリジェントオートメーションの強化も進めており、マーケットプレイスである「Blue Prism Digital Exchange(DX)」では、APIなどの細かい実装を気にすることなく、最新技術を自動化に適用できるようにした。また、エンタープライズ向けに、プライベートアセット管理機能をリリースしている。今後は、eコマース機能の拡充により、パートナーが「Blue Prism DX」上でソリューションを販売できるようにしていく計画。さらに、「Innovation Center」を通じて、RPAへのAI/コグニティブの可能性を提示していくほか、新規開発中のAIによるインテリジェント文書処理ソリューション「Blue Prism Decipher」のベータテストを開始することも明らかにした。